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グランドベゼル編
9 シンのチーム
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side シン=オーガスト
兄さんの提案で始まったトロイメライでのチーム戦。勝利した側は敗北した側にひとつだけ何かを買ってもらうわけだが、俺は正直に言って特に何が欲しいわけでもない。だから別に勝利への意欲も高くはない。
だが兄さんのあの様子を見る限り、わざと負けるとか手を抜くとかをすると、がっかりさせてしまいそうだ。それだけ兄さんは楽しそうにしていた。
俺たちは現在、五分間の作戦会議をしている。メンバーは、俺、秀、カズハ、セツナの四人だ。
「早速でわりぃが、カズハ。ちょっといいか」
「ん?何ー?」
「お前が持ってる情報はこれ以上出すな。じゃなきゃフェアじゃねぇからなぁ」
「ちょうどそのことを相談したかったんだよねー。でもいいの?私の情報があれば勝率はかなり上がると思うけど」
それはそうだ。下手をすれば完璧な情報があるならここにいる誰かひとりだけが戦ったとしても十分勝てる。そのぐらい戦いにおいて情報は重要な要素と言える。
だからカズハがいるというのはこのチーム最大のアドバンテージと言ってもいい。秀はそれを自ら無くそうとしているわけだ。まあ、俺は別にどちらでも構わないがな。
「ああ。かまわねぇ。んなもんなくても俺たちなら十分勝てんだろ」
俺は単純にこのチームは強いと思っている。全員が前を張れる。兄さんのチームがバランス型チームなら、こちらは超攻撃型チームと言えるか。
秀は式神で手数が増やせる。カズハは情報抜きにしても最強の盾がある。セツナは最上位精霊である青龍がついている。
各々が単独でも余力を残して相手どれるような実力者揃い。一見すればこちらが圧倒的有利に見えるだろう。
だがひとつ、このチームには問題がある。
「……あんた、馬鹿なのか?」
「ああ?」
セツナの呆れた目が秀を捉える。秀はというとセツナへ鋭い睨みをきかしている。
「持ってるものを使わなくてどうする?わざわざドブに捨てるとか、頭おかしいだろ」
「おいおい、俺の話を聞いてたかぁ?俺はチート行為は無しにすんぞって言ってんだよ」
「チート?何がチートなんだ?」
「だぁかぁらぁ!カズハの持ってる情報を俺たちが共有しちまったら、勝負にならねぇって言ってんだよ。ゲームが成り立たなくなっちまったら意味ねぇだろうが」
「それは相手に失礼じゃないのか?」
「あ?」
「あっちだってカズハの情報分、不利なことは承知の上だろ。それも考慮に入れての勝負だ。……手を抜くなよ」
「手ぇ抜くわけじゃねぇよ。それにカズハの情報なしでも俺たちに勝機は十分あんだろうが」
「それを本気でやってないって言うんだろ?本気でやらずに勝負?はっ。笑わせるな。ちょっと甘すぎるんじゃないか?赤髪過保護野郎」
「ああ?……今なんつった?」
「聞こえなかったのか?赤髪過保護野郎と言ったんだ。その歳でもう難聴か?」
……やはりこうなったな。
このチームの最大の問題。それは秀とセツナが同じチームであることだ。仲の悪さは俺が説明するまでもない。
なぜここまで険悪なのかは俺は知らないが、これではチームとしての働きは機能しないだろう。チーム戦においての強みと言えば、やはり連携力が上位にくるだろう。
個人戦との圧倒的違いとも言える連携という力が、俺たちのチームは使えない。普通ならこれは大きなデメリットだが、俺たちは個々が単純に強い。ならば、連携などせずとも倒せるのが道理。どうとでもなるが……。
「………お前、俺のこと舐めてるだろ」
「……舐めてはない。興味ないだけ」
険悪な雰囲気がこの場に漂い続ける。
最悪、俺が単独で倒せばいい話だ。
「………………」
「………………」
いつまで続くのかと見ていれば、今度はよくわからない睨み合いが始まった。
俺としてはこのまま放っておいても構わないが、もし兄さんがこれを見れば余計な気苦労をかけてしまうかもしれない、か……。
ちっ……面倒だな。
俺はカズハに目配せをした。カズハは「……マジで?」と言いたげな顔をする。
「はぁぁ……えーと、お二人さーん。そろそろ仲直りしてもらっていいかなー。もう時間もないしさー」
カズハが仲裁に入る。だが……。
「カズハはちょっと黙ってろ」
「口挟むな」
見事に玉砕した。
「ええぇ……」
カズハの説得も水泡に帰する結果となった。会議時間の残りはあとわずかだ。
まったくもって先が思いやられる。
結局秀とセツナは会議時間全てを、くだらない口論に使った。
その後、どちらが先に攻略するかの話になり、兄さんのチームから行くことになった。兄さんたちが巨門に触れると、光に包まれ消えていった。
幸いにも兄さんに俺たちのチームの雰囲気の悪さは伝わらずに済んだ。湊は何か察していそうだったがな。
兄さんが出てきたのはちょうど十五分経ってからだ。時間を測る道具として、砂時計を持ってきている。全ての砂が落ちるまで五分かかる。砂が落ち切る前に出てきた場合でも、この砂時計には一分ずつ砂が溜まった分のメモリが振ってある。
つまりはタイム差がつけられるのは一分刻みということになる。同タイムとなりやすいと言えばその通りだが、戦いは何が起こるかはわからない。今回の勝負においては、激しい差が出て然るべきだ。一間分刻みであっても問題はない。
そしてこの間、俺たちがどう過ごしていたか。普通なら、作戦会議の続きをするだろう。もしくは軽い世間話でもしていたかもしれないな。だがあいにくと、このチームにそんなものが容易に訪れるはずもない。
「前から思ってたが……セツナ、お前、ちょいと生意気すぎねぇか?」
兄さんたちがトロイメライへ向かってからの沈黙を破ったのは秀だ。カズハが何か話題を切り出そうとしたとほぼ同時だったな。
「は?あんたに気を遣うのなんて面倒だしやらない」
「お前なぁ……大体なぁ、なぜ俺にだけ敵対心を向けやがる。別になんもしてねぇのはもう分かってんだろ」
「……私は鏡写しに返してるだけ。あんたが私に敵意を向けたから、私もそうした。それだけのこと」
「ああ、つまりあれか?それは俺がわりぃってことかぁ?」
「察しが悪いな。聞かなくてもわかるだろ、それぐらい」
「…………………」
「…………………」
また始まったな、意味のわからない睨み合いが。
いつまでやるつもりだ、この茶番は。
カズハもついていけなくなったのか、まるで無関係な一般人であるかのように、離れた場所で「暇だー」と呟いている。
このバラバラなチームを唯一まとめられそうなカズハが匙を投げたわけだ。
全くもって未来がないな。
「俺としては今ここで、勝負をつけてやってもいいんだぞ」
「それはこっちのセリフ」
両者ともに戦闘準備を整え始めた。そして謎に氣を外へ放出しまくって相手を威嚇する。
……いい加減五月蝿いな。何より氣が鬱陶しい。
俺は座った状態のまま剣を一本抜く。そして壊れるか壊れないかギリギリの量の氣を剣に流し込み、軽く投げた。
「「っ!」」
投げた剣は睨み合う二人の間を一直線に割って入り、壁に突き刺さる。突き刺さった剣はぼろぼろと崩れて無くなり、壁には剣の突き刺さった箇所を中心に枝分かれした、大きな亀裂が走っていた。
秀とセツナは、いきなり飛んできた物体に驚いた様子だ。壁に突き刺さった剣を見たかと思えば、すぐに投げた側、つまりは俺の方へと身体を向けた。
「ガキじゃないんだ。そのくだらない喧嘩とっととやめろ」
あまり人に干渉しない俺が止めに入るなど、前代未聞レベルで珍しいことだ。自分自身でさえそう思っている。
それを成した二人はある意味天才だが、邪魔なことこの上ない。
「「…………」」
秀とセツナは同時に矛を収めた。そして二人は対峙する形から、背中合わせの形となって歩き出し、座り込む。
少ししてカズハが俺に近寄ってきた。
「すごいねー、シン。あの二人をあんなあっさり止めるなんて」
少し小声で話すカズハ。この重苦しい雰囲気に呑まれているのだろう。
「そんなことはどうでもいい。それより、こちらはどういう戦法でいくつもりだ」
「えー。私に聞かれても……一応私たちシンチームだから、リーダーはシンでしょー?シンが適当に指示すれば、その辺はあの二人もちゃんとやってくれるんじゃない?」
「指示?やりたいようにやれと俺は言うつもりだが?」
カズハは目を見開いた。
「え?……マジ?」
「ああ。俺は嘘は嫌いだ」
ぽかーんとするカズハ。
そんなに驚くことか?超攻撃型チームなんだ。力で押せば大抵はどうにでもなる。もしダメならその時考えればいい。
「…………ま、まあ、シンが言うなら大丈夫……かも?」
なぜ疑問形で答える。
「ていうかさ、このままみんな離れた位置にいるのヤバいよね。仲悪いです感が半端ないんだけど……」
「実際その通りだが?」
「いやいやいやいや。そこは否定してよー。このままだとノアたち悲しむでしょー、絶対」
……それはそうだ。兄さんがこんなどうでもいいことに余計な心配をかける必要など全くない。
「カズハはセツナを連れてこい。俺はあの阿呆をどうにかする」
「りょーかい。……やっぱりノアのことになると行動的になるなー、シンって……」
去り際、カズハが何かを呟いた。
「……何か言ったか?」
「あ、いやー……なんでもないよー。あはははー」
カズハはぎこちなく笑い、セツナのもとへと向かった。
「秀」
秀は門の近くで何をするでもなくただただ座っていた。俺が名を呼ぶと、渋々といった感じで顔を上げた。
「……何だ?」
「歳」
「あ?」
「秀は今いくつだと聞いている。二度も言わせるな」
「……二十五だが?」
「いい歳した大人がくだらない喧嘩をしていたわけか。しかも俺と同程度の年齢の相手に」
「なんだぁ?大人なんだから寛容になれって言いにきたってか?随分とご苦労な事だなぁ」
ここまで冷静さを欠いた秀は……意外と見てるな。兄さんが傷ついた時や兄さんが探検しに行って行方知れずになった時……あとは俺が暴走気味になった時とかか。
秀は情に厚いタイプだ。しかもそれが割と表に出やすい。兄さんに似ている。
人を思いやることや優しくすることには慣れてるが、敵意を向けられるとすぐに反撃しようとする。秀はそんなやつだ。身内に甘く敵に厳しくといったところ。
よく言えば仲間想い、悪く言えば喧嘩っ早い。
「とまぁ、言いてぇとこだが……シン、お前の言う通りだ。ちょっと言い合う程度で済ませるつもりが、いつのまにやら頭に血が上ってたみてぇだな」
だが秀は冷静になれば反省ができるやつだ。落ち着いて物事を考え、自分の落ち度をしっかり認める。
自分は悪くないんだ、などと言うガキなどでは決してない。
「それにこれは俺が仕掛けたことだからなぁ。最後まで責任取らねぇと男じゃねぇわな……」
ボソッと呟く秀。どうやら自己解決したらしい。
正直、わざわざ俺が来るまでもないとは思っていたが……やはりな。無駄足だったか。
「わりぃな。無駄な時間取らせちまって」
「分かってるならいい。早く戻るぞ」
秀を連れてくると、まだカズハたちは戻ってはいなかった。だが、数分して二人揃ってこちらへ来た。
なぜだかカズハは上機嫌だったが、カズハの少し後ろを歩くセツナも先程よりスッキリとした面持ちだった。
どうやらカズハがうまくやったらしいな。
そしてほんの数分ではあったが、まともな作戦会議というものが実施された。
まあ、俺はさっきも言った通り、各々やりたいようにやれ、としか発言していない。この一言にカズハ以外は納得していたしな。カズハは俺以外の二人もこの案に賛成したことに驚いていたが、仲間の総意ということでカズハも結局は了承していた。
そうこうしていると、兄さんたちが戻ってきた。俺は砂時計を瞬時に見る。すると、ちょうど回してから三回目の砂が全て落ちたところだった。
「シン!何分経った?!」
兄さんが慌てたように駆け寄って来る。
「十五分ジャストだ」
「うーん、早いのか遅いのかわからん。でも、オレがあんなことしなきゃもっと早く……はぁぁ」
兄さんは頭を抱えた。何があったのかはわからないが、相当落ち込んでいるらしい。
「大丈夫か、兄さん」
「あ、ああ。大丈夫大丈夫……はぁぁ……」
やはり何かあったようだ。大きなため息をつくほどに。
兄さんは下を向きながらとぼとぼと歩いていく。隣にはリュウやエルが付き添い、何やら励ましの言葉をかけている。
「次はお前たちだ。行ってこい」
俺が兄さんに視線を向けていると、後ろから湊が声をかけて来た。
「負けねぇぞ、湊」
「俺個人との勝負ではないがな」
「わーってるよ……ったく。細けぇことは気にすんなってーの」
やはり湊が絡むと秀は生き生きする。長年の友だからというところか。
俺たちは巨門へと触れる。眩しい光に包まれ、俺たちはトロイメライへと入った。
side セツナ
「セーツナっ!」
私の名を呼ぶ声と同時に横から突然、重さがのしかかる。
こうして抱きついて来る女は、あいつしかいない。
「……何?カズハ。重いんだけど」
「ちょっとちょっと、ひどくなーい?レディに重いは禁句だよー?」
「そんなこと知らないしどうでもいい」
「ひどいなーもう…………あのさ、私の昔話興味ない?今なら安売りだよー」
は?
急に何を言い出すかと思えば……カズハはよく私の常識の外にあることをやりだす。よく喋るし、明るい。私とは正反対の生き物だ。
「意味がわからない。それに別に聞きたいわけでもーーー」
「私さ、ノアズアーク入るまではソロの冒険者だったんだー」
……私の話、全く聞いてない。
「適当に依頼こなして適当に魔物倒しての無情な日々。正直心から楽しめたことは一度もなかったかも」
…………。
「ノアたちに会うまではさ、死んでいったグラディウスのみんなの分も生きなきゃだめなんだって思ってたからさ。それだけが私の生きる糧だったんだよ」
…………。
「でもそれだけじゃさ、やっぱ人間ってやってけないんだよ。何で私生きてるんだろうって、何であの時逃げたんだろうって……あの時私も死んじゃえばよかったのにって……こういうどうしようなくネガティブな言葉ばっかり頭をよぎってさ……心が塞いじゃうことも少なくなかったんだ」
カズハは、一つ一つ丁寧に言葉を紡ぐ。もの悲しそうな表情を浮かべる。いつもの、あのお気楽な口調や笑顔は、まるで初めからなかったかのように消えていた。
「これからどうしようかなって……生きる理由を失いかけてた時に、ちょうどノアたちに出会った。一緒に過ごしていく中で、ノアもシンも秀も湊も……ほんといいやつだなーって、心からそう思った。このどうしようもない私を救ってくれたんだ。だから……ほんと感謝してる」
カズハは私とは別の類の闇の中にいた。その闇に呑まれそうになっていた。けどすんでのところで、ノアズアークという希望に包まれた、ということなんだろう。
「あ、これ内緒ね?気恥ずかしいからさー。あははは」
ただふざけるのが好きなおちゃらけた女だと……苦しんだことなど一度もない、人生を楽に生きてきた女だと……そう認識していたけど……。
蓋を開ければそんな単純なことでもなかった。少し……いや、完全に認識を改める必要が出てきたようだ。
カズハが今、こうして心から笑い楽しめているのは、やはりあいつらのおかげ、ということになる。
カズハだけじゃない。リュウもそうだ。今のリュウは以前よりはるかに幸せそうにしている。美味しいものをお腹いっぱい食べて、好きな人たちに囲まれて……本当に楽しそうだ。おそらくはエルもノアズアークに助けられたクチだろう。
「あ、そう……」
今までノアズアークとして私も過ごしてきたわけだけど、カズハもエルもリュウも、全員が心から笑っている。これは覆すことのできない事実だ。私がこの目で見てこの肌で感じたことなのだから。
「えー、何それー。そんな興味ないみたいな雰囲気出さないでよー」
秀も別に悪いやつではない。それは一緒にいれば嫌でもわかる。ただなんとなく相性が悪い。それに、特にノアに甘々で過保護野郎なところは、正直きもい。
「別に興味がないとかでは、ない。……あんたもいろいろあったんだなって思っただけ」
私は最初の印象値だけで判断し過ぎている。これは私の悪い癖だ。今はそう、感じている。
一度こいつはこういうやつなんだと認識した場合、私はそれを覆すための努力を自ら進んですることはない。
今みたいに……カズハが自分自身の心を見せてくれたように、なんらかの大きなきっかけがあれば別だけど、基本的には変えない。
だから一度貼ったレッテルはそのまま。所詮人間などどいつもこいつもくだらないクソどもだと、心の底から思っていたからな。
だけどいい加減、現実を見ないといけない。私自身が本当は感じていること。ノアズアークの奴ら……ノアやシン、湊、カズハ、エル、リュウはもちろんのこと……一応秀のやつも……全員がいい奴だ。少なくとも私にはそう映ってしまった。
ノアは私に氣術を教えることを拒まなかった。それどころか……。
「セツナってかっこいいよな」
「……何、突然」
「いやさー、こうやって一生懸命努力してんのもそうだし、ノアズアークに来るまでリュウをずっと見守ってくれてたしさー」
「……私にもよく分からない」
「え?何て?」
「別に。ていうか、今集中してるから話しかけないで」
「ご、ごめん」
シンはノアにべったりなブラコン男だが、ノア以外の仲間に対してはそれなりに情があるようにみえた。
「リュウ。剣筋は悪くなかった。だが、急所を外すこともしばしばある。気をつけろ」
「うん……!」
湊はシンのようなクールタイプだが、カズハの鍛錬に付き合ったり、リュウにケーキを過度に買ってきたりと、優しい人柄が出ていた。
正直に言えば、こういう優しいタイプの人間は私は好きではない。初めは優しく接し、後で裏切る。そういう経験を今まで腐るほどしてきた。無償の優しさほど怖いものはない。
だけど……。
「あんたって意外と人に構うんだな」
「……?言っている意味がよくわからないが」
「カズハと手合わせしたりリュウにケーキをあげたりしてただろ」
「まあそうだな」
「それだけ優しくしてるなら、あの二人に見返りを求めたりしないのか」
「見返り……?なぜ俺がそんなものを求める必要がある」
「打算的な考えがあるわけじゃないのか?」
「打算……?何を言っている。そもそも俺は人に優しくしたことなど皆無だが?」
私は湊のこの困惑した言動を見た時に、スッと腑に落ちたことがある。
ああ、この男はただ自分がしたいようにしているだけだと。相手に、自分への見返りとしての利益を求めるなどという、利己的な考えは一切ないと。そして、自身の行為を優しい行いとすら認識していないと。
「セーツナ!」
「……何?」
「ちょいちょい、そんな怖い顔しないでよー。そんなんじゃ、人生楽しく生きてけないよー?」
「……あんたが気にすることでもないだろ」
「あー、待ってよー、セツナー……!」
カズハは元気な奴というのが第一印象だった。それと距離感が近い。私が苦手なタイプだ。太陽が近すぎれば何であろうと焼き尽くされる。私にとってはそれと同じ感覚だ。生涯を闇に沈めてきた私には……あまりにも眩しい光だ。
そして同時に苛立ちと妬ましさを感じていた。なんの苦労もなく生きてきた、私とは別世界の人間。光の中でぬくぬくと育った人間。カズハは私とは正反対の人間だ。
なぜ私はこんなにも醜い人生を無駄に生きてきたのか。この女は優しい両親に愛され、楽しい人生を送っているというのに。
なぜ私はこんなにも身も心も卑しく汚いのか。この女は心身ともに清らかで美しいというのに。
この女と私の決定的な差といえば、生まれた環境だ。それはつまり……運だ。幸運ならば温かな世界、不運ならば冷酷な世界へ。それだけの話だ……それだけの……。
私はあらゆるものを諦めてきた。家族も友も幸せも欲も……何もかも切り捨ててきた。そしてそれは感情も例外じゃない。
だから嫉妬なんてものがまだ私の中に残っていたことに、私自身も驚愕した。
ただ、さっきのカズハの身の上話を聞いた私には、今までのカズハへの認識を改める必要が生まれた。カズハは人生勝ち組の人間でも、毎日を楽に生きてきた人間でもないと。
それに私がひねくれているだけで、カズハが私に積極的に声をかけてくるのは、ただ単にカズハの優しさからくる行為だと捉えることもできる。
……私の曇り切った心では、すぐに気づくことはできなかった。
エルは真面目なやつだ。そしてよく周りを見ている。
「足、怪我してますよね……?」
「…………」
「戦闘が始まった時と終盤時とでは全然動きが違ってました。見せてください」
「……別にこれくらい、大したことじゃーーー」
「だめです!悪化したらどうするんですか。早期治療が大事なんです」
「……ポーションを飲めば問題ない」
「……いいですか、ポーションは確かにすごい薬です。いろんな研究者が長い長い年月をかけてここまで効力の高いものを開発してくれたんですから。ですが、どんなものも過度に使えばなんらかのデメリットが生じるものなんです。ポーションの場合、使えば使うほど次第にその効力が薄まっていくんです。そして最後には……分かりますよね?」
「…………」
「もし、遠い未来に致命傷を負ってしまったら?その時、ポーションが意味をなさなくなっていたら?……私はみなさんにそんな悲しい終わり方をしてほしくないんです。だから私は、薬師を目指したいと考えています。そしてポーションではない別の薬を開発することで、仲間を支えたいんです。それに、もし完成すればノアズアークのみなさんだけでなく、いろんな人を助けてあげられます」
「……随分とご大層な夢だな……」
「私もそう思います。でも絶対に諦めません」
「…………」
「話、それちゃいましたね。さ、早く足を見せてください。ちなみに、拒否権はないですから」
エルは自身の掲げる目標を夢物語だと諦めることなく、真剣に向き合い成し遂げようとしていた。
リュウは……言わずもがなだ。周りの為ばかりに心をすり減らし、自分は二の次。けどまあ今は日々心から笑い、心から楽しんでいる。それだけで私は十分だ。
そして、秀……。第一印象は、失礼な奴。そしてリュウを殺そうとしていたクソ野郎。その後、赤髪過保護野郎のレッテルが追加された。
私が居場所をなくし生きる理由がわからなくなったあの日の夜。リュウに私が居て欲しいと言われ、なんとなくでついてきたものの、この時の私は本当にここにいるのが正解なのか、よく分からなかった。
だから私は、リュウたちが焚き火を囲んで談笑する中こっそりと立ち去った。もしかしたら、未来への不安というより、あの空間に私がいることが不相応に感じていたのかもしれない。あんなにも眩しくて温かな空間は、生まれて初めての経験だったから。
だが、立ち去ってすぐ、あの男……秀に声をかけられた。
「おいおい、どこに行くつもりなんだぁ?」
「……別に。どこに行こうと私の勝手だ」
「ま、それはそうなんだが……何の挨拶もなしにふらっと居なくなられると、こっちも色々迷惑被んだわ」
「は?なんでそうなるわけ?私みたいなどうしようもない人間、どこで何しようが誰も興味ないだろ」
「はぁぁ。分かってねぇな、お前」
「は?」
「俺個人としては、お前の素性をまだ把握しきれていない以上、俺たちの前から居なくなるのには反対しねぇ」
「だったらーーー」
「けどなぁ、ノアはそうじゃねぇんだ。俺のように、まず人を疑うってことをしねぇ。直感的にいい奴だと思ったら、そいつに裏があろうとなかろうと、簡単に信じちまう。そんで、いい奴以上に気に入った時は……そいつが居なくなったりしてみろ、心配になって探しに出ちまうんだわ」
「…………」
「ノアは俺と違って本当にいい奴だからなぁ。ほんと、いい主すぎて俺にはもったいねぇくらいだ。……だからこそ俺や湊がいるわけだが……ま、それはいいとして、だ。つまり、なにが言いてぇのかというとだなぁ……ノアに余計な負担をかけさせんじゃねぇぞ……ってことだ。俺の言ってること、分かるよなぁ?」
「……それ、私には関係ないだろ」
「お前に拒否権はねぇんだよ……と、言いてぇとこだが……まあお前の好きにしてもいいぜ?」
「……やけにあっさり引き下がるな。あんなに熱弁していたくせに」
「だがひとつ、人生の先輩たる俺からお前に忠告だ」
「…………」
「ノアやカズハたちはリュウのことをいたく気に入っているようだが……俺はどうだろうなぁ。お前は知らねぇかもしれねぇが、あいつ、ノアを手にかけようとした前科があんだよ」
「っ……!まさか……!」
「湊のやつは許す気みてぇだが……俺はそんなに甘くねぇんだわ。主を危険に晒した……ましてや殺そうとした人間を…….なぜ生かしておく必要がある?」
「っふざけんな!」
「……おい、放せよ。服にしわが残んだろうが」
「……殺す」
「ああ?」
「あんたを今ここで殺せば、リュウは幸せになれる」
「はははははははっ」
「……なにがおかしい!!」
「いや、なんだ。情のねぇつまらねぇ女だと思ってたが、どうやらそうでもねぇらしい」
「……は?あんた、なに言って……」
「話はこれで終いだ。ほんの少しだが、お前のことは掴めてきた」
「どこに行く?!私の話はまだーーー」
「リュウが心配なんだろ?なら、お前が側にいて守りゃあいい。それだけの話だ」
「……なんなんだ、あんた……」
「ま、俺を殺すってのは百年早えぇがな」
この後、まるで何事もなかったかのように平然と立ち去る秀を足早に抜き去り、私はリュウのもとに向かった。
主にこれが原因で私は秀を警戒し、反発していたわけだけど……冷静に自分の置かれた状況を考えれば、あの男はわざとリュウのことを引き合いに出して私がノアズアークに入るように仕向けたのだと、最近ようやく気づいた。
あの男はリュウに対し全く殺す意思をもってない。というか、あの男の力量ならいつでも簡単に殺せるし、機会もいくらでもあった。
私が精霊殿に行くことになった時、リュウから私は離れてしまった。これはあの男にとって絶好のチャンスだったはずだ。だというのに、あの男は何の手も下さなかった。
その後、魔物を討伐したり依頼をこなしたりして過ごしたわけだけど……いやでも気づく。この男、秀はリュウに手を出す気など始めからなかったのだと。
それに気づいてからは、警戒もある程度緩めた。リュウに張り付くこともしなくなったしな。ただ、いけすかないのは変わりなかったから、友好を結ぼうなどと考えたことは一ミリもなかったな。
結局のところ、私はノアズアークのことを気に入ってしまっているんだろう。……認めたくないやつがひとり混じっているけど。
「……っ!なんだー。セツナって無愛想で可愛げないなーなんて思ってたけど、全然そんなことないじゃーん!……あ、今度さ、一緒に服買いに行かない?セツナに着て欲しいなーって思ったやつあるんだよねー。ね、どうー?」
だけどまあ、認めよう。このパーティは……ノアズアークはどうしようなく居心地のいい場所だと。不本意だが、事実だ。本当に不本意だがな。
「……別にいいけど」
「やった!決まりねー」
セツナは立ち上がり、私に手を差し伸べる。一瞬戸惑ったが、私はその手を取った。
「ふふん。セツナにめっちゃ合うコーデ、たくさん見つけるぞー」
カズハは上機嫌に私の先を歩く。
……それにしてもあれは……ちょっと浮かれすぎだ。
兄さんの提案で始まったトロイメライでのチーム戦。勝利した側は敗北した側にひとつだけ何かを買ってもらうわけだが、俺は正直に言って特に何が欲しいわけでもない。だから別に勝利への意欲も高くはない。
だが兄さんのあの様子を見る限り、わざと負けるとか手を抜くとかをすると、がっかりさせてしまいそうだ。それだけ兄さんは楽しそうにしていた。
俺たちは現在、五分間の作戦会議をしている。メンバーは、俺、秀、カズハ、セツナの四人だ。
「早速でわりぃが、カズハ。ちょっといいか」
「ん?何ー?」
「お前が持ってる情報はこれ以上出すな。じゃなきゃフェアじゃねぇからなぁ」
「ちょうどそのことを相談したかったんだよねー。でもいいの?私の情報があれば勝率はかなり上がると思うけど」
それはそうだ。下手をすれば完璧な情報があるならここにいる誰かひとりだけが戦ったとしても十分勝てる。そのぐらい戦いにおいて情報は重要な要素と言える。
だからカズハがいるというのはこのチーム最大のアドバンテージと言ってもいい。秀はそれを自ら無くそうとしているわけだ。まあ、俺は別にどちらでも構わないがな。
「ああ。かまわねぇ。んなもんなくても俺たちなら十分勝てんだろ」
俺は単純にこのチームは強いと思っている。全員が前を張れる。兄さんのチームがバランス型チームなら、こちらは超攻撃型チームと言えるか。
秀は式神で手数が増やせる。カズハは情報抜きにしても最強の盾がある。セツナは最上位精霊である青龍がついている。
各々が単独でも余力を残して相手どれるような実力者揃い。一見すればこちらが圧倒的有利に見えるだろう。
だがひとつ、このチームには問題がある。
「……あんた、馬鹿なのか?」
「ああ?」
セツナの呆れた目が秀を捉える。秀はというとセツナへ鋭い睨みをきかしている。
「持ってるものを使わなくてどうする?わざわざドブに捨てるとか、頭おかしいだろ」
「おいおい、俺の話を聞いてたかぁ?俺はチート行為は無しにすんぞって言ってんだよ」
「チート?何がチートなんだ?」
「だぁかぁらぁ!カズハの持ってる情報を俺たちが共有しちまったら、勝負にならねぇって言ってんだよ。ゲームが成り立たなくなっちまったら意味ねぇだろうが」
「それは相手に失礼じゃないのか?」
「あ?」
「あっちだってカズハの情報分、不利なことは承知の上だろ。それも考慮に入れての勝負だ。……手を抜くなよ」
「手ぇ抜くわけじゃねぇよ。それにカズハの情報なしでも俺たちに勝機は十分あんだろうが」
「それを本気でやってないって言うんだろ?本気でやらずに勝負?はっ。笑わせるな。ちょっと甘すぎるんじゃないか?赤髪過保護野郎」
「ああ?……今なんつった?」
「聞こえなかったのか?赤髪過保護野郎と言ったんだ。その歳でもう難聴か?」
……やはりこうなったな。
このチームの最大の問題。それは秀とセツナが同じチームであることだ。仲の悪さは俺が説明するまでもない。
なぜここまで険悪なのかは俺は知らないが、これではチームとしての働きは機能しないだろう。チーム戦においての強みと言えば、やはり連携力が上位にくるだろう。
個人戦との圧倒的違いとも言える連携という力が、俺たちのチームは使えない。普通ならこれは大きなデメリットだが、俺たちは個々が単純に強い。ならば、連携などせずとも倒せるのが道理。どうとでもなるが……。
「………お前、俺のこと舐めてるだろ」
「……舐めてはない。興味ないだけ」
険悪な雰囲気がこの場に漂い続ける。
最悪、俺が単独で倒せばいい話だ。
「………………」
「………………」
いつまで続くのかと見ていれば、今度はよくわからない睨み合いが始まった。
俺としてはこのまま放っておいても構わないが、もし兄さんがこれを見れば余計な気苦労をかけてしまうかもしれない、か……。
ちっ……面倒だな。
俺はカズハに目配せをした。カズハは「……マジで?」と言いたげな顔をする。
「はぁぁ……えーと、お二人さーん。そろそろ仲直りしてもらっていいかなー。もう時間もないしさー」
カズハが仲裁に入る。だが……。
「カズハはちょっと黙ってろ」
「口挟むな」
見事に玉砕した。
「ええぇ……」
カズハの説得も水泡に帰する結果となった。会議時間の残りはあとわずかだ。
まったくもって先が思いやられる。
結局秀とセツナは会議時間全てを、くだらない口論に使った。
その後、どちらが先に攻略するかの話になり、兄さんのチームから行くことになった。兄さんたちが巨門に触れると、光に包まれ消えていった。
幸いにも兄さんに俺たちのチームの雰囲気の悪さは伝わらずに済んだ。湊は何か察していそうだったがな。
兄さんが出てきたのはちょうど十五分経ってからだ。時間を測る道具として、砂時計を持ってきている。全ての砂が落ちるまで五分かかる。砂が落ち切る前に出てきた場合でも、この砂時計には一分ずつ砂が溜まった分のメモリが振ってある。
つまりはタイム差がつけられるのは一分刻みということになる。同タイムとなりやすいと言えばその通りだが、戦いは何が起こるかはわからない。今回の勝負においては、激しい差が出て然るべきだ。一間分刻みであっても問題はない。
そしてこの間、俺たちがどう過ごしていたか。普通なら、作戦会議の続きをするだろう。もしくは軽い世間話でもしていたかもしれないな。だがあいにくと、このチームにそんなものが容易に訪れるはずもない。
「前から思ってたが……セツナ、お前、ちょいと生意気すぎねぇか?」
兄さんたちがトロイメライへ向かってからの沈黙を破ったのは秀だ。カズハが何か話題を切り出そうとしたとほぼ同時だったな。
「は?あんたに気を遣うのなんて面倒だしやらない」
「お前なぁ……大体なぁ、なぜ俺にだけ敵対心を向けやがる。別になんもしてねぇのはもう分かってんだろ」
「……私は鏡写しに返してるだけ。あんたが私に敵意を向けたから、私もそうした。それだけのこと」
「ああ、つまりあれか?それは俺がわりぃってことかぁ?」
「察しが悪いな。聞かなくてもわかるだろ、それぐらい」
「…………………」
「…………………」
また始まったな、意味のわからない睨み合いが。
いつまでやるつもりだ、この茶番は。
カズハもついていけなくなったのか、まるで無関係な一般人であるかのように、離れた場所で「暇だー」と呟いている。
このバラバラなチームを唯一まとめられそうなカズハが匙を投げたわけだ。
全くもって未来がないな。
「俺としては今ここで、勝負をつけてやってもいいんだぞ」
「それはこっちのセリフ」
両者ともに戦闘準備を整え始めた。そして謎に氣を外へ放出しまくって相手を威嚇する。
……いい加減五月蝿いな。何より氣が鬱陶しい。
俺は座った状態のまま剣を一本抜く。そして壊れるか壊れないかギリギリの量の氣を剣に流し込み、軽く投げた。
「「っ!」」
投げた剣は睨み合う二人の間を一直線に割って入り、壁に突き刺さる。突き刺さった剣はぼろぼろと崩れて無くなり、壁には剣の突き刺さった箇所を中心に枝分かれした、大きな亀裂が走っていた。
秀とセツナは、いきなり飛んできた物体に驚いた様子だ。壁に突き刺さった剣を見たかと思えば、すぐに投げた側、つまりは俺の方へと身体を向けた。
「ガキじゃないんだ。そのくだらない喧嘩とっととやめろ」
あまり人に干渉しない俺が止めに入るなど、前代未聞レベルで珍しいことだ。自分自身でさえそう思っている。
それを成した二人はある意味天才だが、邪魔なことこの上ない。
「「…………」」
秀とセツナは同時に矛を収めた。そして二人は対峙する形から、背中合わせの形となって歩き出し、座り込む。
少ししてカズハが俺に近寄ってきた。
「すごいねー、シン。あの二人をあんなあっさり止めるなんて」
少し小声で話すカズハ。この重苦しい雰囲気に呑まれているのだろう。
「そんなことはどうでもいい。それより、こちらはどういう戦法でいくつもりだ」
「えー。私に聞かれても……一応私たちシンチームだから、リーダーはシンでしょー?シンが適当に指示すれば、その辺はあの二人もちゃんとやってくれるんじゃない?」
「指示?やりたいようにやれと俺は言うつもりだが?」
カズハは目を見開いた。
「え?……マジ?」
「ああ。俺は嘘は嫌いだ」
ぽかーんとするカズハ。
そんなに驚くことか?超攻撃型チームなんだ。力で押せば大抵はどうにでもなる。もしダメならその時考えればいい。
「…………ま、まあ、シンが言うなら大丈夫……かも?」
なぜ疑問形で答える。
「ていうかさ、このままみんな離れた位置にいるのヤバいよね。仲悪いです感が半端ないんだけど……」
「実際その通りだが?」
「いやいやいやいや。そこは否定してよー。このままだとノアたち悲しむでしょー、絶対」
……それはそうだ。兄さんがこんなどうでもいいことに余計な心配をかける必要など全くない。
「カズハはセツナを連れてこい。俺はあの阿呆をどうにかする」
「りょーかい。……やっぱりノアのことになると行動的になるなー、シンって……」
去り際、カズハが何かを呟いた。
「……何か言ったか?」
「あ、いやー……なんでもないよー。あはははー」
カズハはぎこちなく笑い、セツナのもとへと向かった。
「秀」
秀は門の近くで何をするでもなくただただ座っていた。俺が名を呼ぶと、渋々といった感じで顔を上げた。
「……何だ?」
「歳」
「あ?」
「秀は今いくつだと聞いている。二度も言わせるな」
「……二十五だが?」
「いい歳した大人がくだらない喧嘩をしていたわけか。しかも俺と同程度の年齢の相手に」
「なんだぁ?大人なんだから寛容になれって言いにきたってか?随分とご苦労な事だなぁ」
ここまで冷静さを欠いた秀は……意外と見てるな。兄さんが傷ついた時や兄さんが探検しに行って行方知れずになった時……あとは俺が暴走気味になった時とかか。
秀は情に厚いタイプだ。しかもそれが割と表に出やすい。兄さんに似ている。
人を思いやることや優しくすることには慣れてるが、敵意を向けられるとすぐに反撃しようとする。秀はそんなやつだ。身内に甘く敵に厳しくといったところ。
よく言えば仲間想い、悪く言えば喧嘩っ早い。
「とまぁ、言いてぇとこだが……シン、お前の言う通りだ。ちょっと言い合う程度で済ませるつもりが、いつのまにやら頭に血が上ってたみてぇだな」
だが秀は冷静になれば反省ができるやつだ。落ち着いて物事を考え、自分の落ち度をしっかり認める。
自分は悪くないんだ、などと言うガキなどでは決してない。
「それにこれは俺が仕掛けたことだからなぁ。最後まで責任取らねぇと男じゃねぇわな……」
ボソッと呟く秀。どうやら自己解決したらしい。
正直、わざわざ俺が来るまでもないとは思っていたが……やはりな。無駄足だったか。
「わりぃな。無駄な時間取らせちまって」
「分かってるならいい。早く戻るぞ」
秀を連れてくると、まだカズハたちは戻ってはいなかった。だが、数分して二人揃ってこちらへ来た。
なぜだかカズハは上機嫌だったが、カズハの少し後ろを歩くセツナも先程よりスッキリとした面持ちだった。
どうやらカズハがうまくやったらしいな。
そしてほんの数分ではあったが、まともな作戦会議というものが実施された。
まあ、俺はさっきも言った通り、各々やりたいようにやれ、としか発言していない。この一言にカズハ以外は納得していたしな。カズハは俺以外の二人もこの案に賛成したことに驚いていたが、仲間の総意ということでカズハも結局は了承していた。
そうこうしていると、兄さんたちが戻ってきた。俺は砂時計を瞬時に見る。すると、ちょうど回してから三回目の砂が全て落ちたところだった。
「シン!何分経った?!」
兄さんが慌てたように駆け寄って来る。
「十五分ジャストだ」
「うーん、早いのか遅いのかわからん。でも、オレがあんなことしなきゃもっと早く……はぁぁ」
兄さんは頭を抱えた。何があったのかはわからないが、相当落ち込んでいるらしい。
「大丈夫か、兄さん」
「あ、ああ。大丈夫大丈夫……はぁぁ……」
やはり何かあったようだ。大きなため息をつくほどに。
兄さんは下を向きながらとぼとぼと歩いていく。隣にはリュウやエルが付き添い、何やら励ましの言葉をかけている。
「次はお前たちだ。行ってこい」
俺が兄さんに視線を向けていると、後ろから湊が声をかけて来た。
「負けねぇぞ、湊」
「俺個人との勝負ではないがな」
「わーってるよ……ったく。細けぇことは気にすんなってーの」
やはり湊が絡むと秀は生き生きする。長年の友だからというところか。
俺たちは巨門へと触れる。眩しい光に包まれ、俺たちはトロイメライへと入った。
side セツナ
「セーツナっ!」
私の名を呼ぶ声と同時に横から突然、重さがのしかかる。
こうして抱きついて来る女は、あいつしかいない。
「……何?カズハ。重いんだけど」
「ちょっとちょっと、ひどくなーい?レディに重いは禁句だよー?」
「そんなこと知らないしどうでもいい」
「ひどいなーもう…………あのさ、私の昔話興味ない?今なら安売りだよー」
は?
急に何を言い出すかと思えば……カズハはよく私の常識の外にあることをやりだす。よく喋るし、明るい。私とは正反対の生き物だ。
「意味がわからない。それに別に聞きたいわけでもーーー」
「私さ、ノアズアーク入るまではソロの冒険者だったんだー」
……私の話、全く聞いてない。
「適当に依頼こなして適当に魔物倒しての無情な日々。正直心から楽しめたことは一度もなかったかも」
…………。
「ノアたちに会うまではさ、死んでいったグラディウスのみんなの分も生きなきゃだめなんだって思ってたからさ。それだけが私の生きる糧だったんだよ」
…………。
「でもそれだけじゃさ、やっぱ人間ってやってけないんだよ。何で私生きてるんだろうって、何であの時逃げたんだろうって……あの時私も死んじゃえばよかったのにって……こういうどうしようなくネガティブな言葉ばっかり頭をよぎってさ……心が塞いじゃうことも少なくなかったんだ」
カズハは、一つ一つ丁寧に言葉を紡ぐ。もの悲しそうな表情を浮かべる。いつもの、あのお気楽な口調や笑顔は、まるで初めからなかったかのように消えていた。
「これからどうしようかなって……生きる理由を失いかけてた時に、ちょうどノアたちに出会った。一緒に過ごしていく中で、ノアもシンも秀も湊も……ほんといいやつだなーって、心からそう思った。このどうしようもない私を救ってくれたんだ。だから……ほんと感謝してる」
カズハは私とは別の類の闇の中にいた。その闇に呑まれそうになっていた。けどすんでのところで、ノアズアークという希望に包まれた、ということなんだろう。
「あ、これ内緒ね?気恥ずかしいからさー。あははは」
ただふざけるのが好きなおちゃらけた女だと……苦しんだことなど一度もない、人生を楽に生きてきた女だと……そう認識していたけど……。
蓋を開ければそんな単純なことでもなかった。少し……いや、完全に認識を改める必要が出てきたようだ。
カズハが今、こうして心から笑い楽しめているのは、やはりあいつらのおかげ、ということになる。
カズハだけじゃない。リュウもそうだ。今のリュウは以前よりはるかに幸せそうにしている。美味しいものをお腹いっぱい食べて、好きな人たちに囲まれて……本当に楽しそうだ。おそらくはエルもノアズアークに助けられたクチだろう。
「あ、そう……」
今までノアズアークとして私も過ごしてきたわけだけど、カズハもエルもリュウも、全員が心から笑っている。これは覆すことのできない事実だ。私がこの目で見てこの肌で感じたことなのだから。
「えー、何それー。そんな興味ないみたいな雰囲気出さないでよー」
秀も別に悪いやつではない。それは一緒にいれば嫌でもわかる。ただなんとなく相性が悪い。それに、特にノアに甘々で過保護野郎なところは、正直きもい。
「別に興味がないとかでは、ない。……あんたもいろいろあったんだなって思っただけ」
私は最初の印象値だけで判断し過ぎている。これは私の悪い癖だ。今はそう、感じている。
一度こいつはこういうやつなんだと認識した場合、私はそれを覆すための努力を自ら進んですることはない。
今みたいに……カズハが自分自身の心を見せてくれたように、なんらかの大きなきっかけがあれば別だけど、基本的には変えない。
だから一度貼ったレッテルはそのまま。所詮人間などどいつもこいつもくだらないクソどもだと、心の底から思っていたからな。
だけどいい加減、現実を見ないといけない。私自身が本当は感じていること。ノアズアークの奴ら……ノアやシン、湊、カズハ、エル、リュウはもちろんのこと……一応秀のやつも……全員がいい奴だ。少なくとも私にはそう映ってしまった。
ノアは私に氣術を教えることを拒まなかった。それどころか……。
「セツナってかっこいいよな」
「……何、突然」
「いやさー、こうやって一生懸命努力してんのもそうだし、ノアズアークに来るまでリュウをずっと見守ってくれてたしさー」
「……私にもよく分からない」
「え?何て?」
「別に。ていうか、今集中してるから話しかけないで」
「ご、ごめん」
シンはノアにべったりなブラコン男だが、ノア以外の仲間に対してはそれなりに情があるようにみえた。
「リュウ。剣筋は悪くなかった。だが、急所を外すこともしばしばある。気をつけろ」
「うん……!」
湊はシンのようなクールタイプだが、カズハの鍛錬に付き合ったり、リュウにケーキを過度に買ってきたりと、優しい人柄が出ていた。
正直に言えば、こういう優しいタイプの人間は私は好きではない。初めは優しく接し、後で裏切る。そういう経験を今まで腐るほどしてきた。無償の優しさほど怖いものはない。
だけど……。
「あんたって意外と人に構うんだな」
「……?言っている意味がよくわからないが」
「カズハと手合わせしたりリュウにケーキをあげたりしてただろ」
「まあそうだな」
「それだけ優しくしてるなら、あの二人に見返りを求めたりしないのか」
「見返り……?なぜ俺がそんなものを求める必要がある」
「打算的な考えがあるわけじゃないのか?」
「打算……?何を言っている。そもそも俺は人に優しくしたことなど皆無だが?」
私は湊のこの困惑した言動を見た時に、スッと腑に落ちたことがある。
ああ、この男はただ自分がしたいようにしているだけだと。相手に、自分への見返りとしての利益を求めるなどという、利己的な考えは一切ないと。そして、自身の行為を優しい行いとすら認識していないと。
「セーツナ!」
「……何?」
「ちょいちょい、そんな怖い顔しないでよー。そんなんじゃ、人生楽しく生きてけないよー?」
「……あんたが気にすることでもないだろ」
「あー、待ってよー、セツナー……!」
カズハは元気な奴というのが第一印象だった。それと距離感が近い。私が苦手なタイプだ。太陽が近すぎれば何であろうと焼き尽くされる。私にとってはそれと同じ感覚だ。生涯を闇に沈めてきた私には……あまりにも眩しい光だ。
そして同時に苛立ちと妬ましさを感じていた。なんの苦労もなく生きてきた、私とは別世界の人間。光の中でぬくぬくと育った人間。カズハは私とは正反対の人間だ。
なぜ私はこんなにも醜い人生を無駄に生きてきたのか。この女は優しい両親に愛され、楽しい人生を送っているというのに。
なぜ私はこんなにも身も心も卑しく汚いのか。この女は心身ともに清らかで美しいというのに。
この女と私の決定的な差といえば、生まれた環境だ。それはつまり……運だ。幸運ならば温かな世界、不運ならば冷酷な世界へ。それだけの話だ……それだけの……。
私はあらゆるものを諦めてきた。家族も友も幸せも欲も……何もかも切り捨ててきた。そしてそれは感情も例外じゃない。
だから嫉妬なんてものがまだ私の中に残っていたことに、私自身も驚愕した。
ただ、さっきのカズハの身の上話を聞いた私には、今までのカズハへの認識を改める必要が生まれた。カズハは人生勝ち組の人間でも、毎日を楽に生きてきた人間でもないと。
それに私がひねくれているだけで、カズハが私に積極的に声をかけてくるのは、ただ単にカズハの優しさからくる行為だと捉えることもできる。
……私の曇り切った心では、すぐに気づくことはできなかった。
エルは真面目なやつだ。そしてよく周りを見ている。
「足、怪我してますよね……?」
「…………」
「戦闘が始まった時と終盤時とでは全然動きが違ってました。見せてください」
「……別にこれくらい、大したことじゃーーー」
「だめです!悪化したらどうするんですか。早期治療が大事なんです」
「……ポーションを飲めば問題ない」
「……いいですか、ポーションは確かにすごい薬です。いろんな研究者が長い長い年月をかけてここまで効力の高いものを開発してくれたんですから。ですが、どんなものも過度に使えばなんらかのデメリットが生じるものなんです。ポーションの場合、使えば使うほど次第にその効力が薄まっていくんです。そして最後には……分かりますよね?」
「…………」
「もし、遠い未来に致命傷を負ってしまったら?その時、ポーションが意味をなさなくなっていたら?……私はみなさんにそんな悲しい終わり方をしてほしくないんです。だから私は、薬師を目指したいと考えています。そしてポーションではない別の薬を開発することで、仲間を支えたいんです。それに、もし完成すればノアズアークのみなさんだけでなく、いろんな人を助けてあげられます」
「……随分とご大層な夢だな……」
「私もそう思います。でも絶対に諦めません」
「…………」
「話、それちゃいましたね。さ、早く足を見せてください。ちなみに、拒否権はないですから」
エルは自身の掲げる目標を夢物語だと諦めることなく、真剣に向き合い成し遂げようとしていた。
リュウは……言わずもがなだ。周りの為ばかりに心をすり減らし、自分は二の次。けどまあ今は日々心から笑い、心から楽しんでいる。それだけで私は十分だ。
そして、秀……。第一印象は、失礼な奴。そしてリュウを殺そうとしていたクソ野郎。その後、赤髪過保護野郎のレッテルが追加された。
私が居場所をなくし生きる理由がわからなくなったあの日の夜。リュウに私が居て欲しいと言われ、なんとなくでついてきたものの、この時の私は本当にここにいるのが正解なのか、よく分からなかった。
だから私は、リュウたちが焚き火を囲んで談笑する中こっそりと立ち去った。もしかしたら、未来への不安というより、あの空間に私がいることが不相応に感じていたのかもしれない。あんなにも眩しくて温かな空間は、生まれて初めての経験だったから。
だが、立ち去ってすぐ、あの男……秀に声をかけられた。
「おいおい、どこに行くつもりなんだぁ?」
「……別に。どこに行こうと私の勝手だ」
「ま、それはそうなんだが……何の挨拶もなしにふらっと居なくなられると、こっちも色々迷惑被んだわ」
「は?なんでそうなるわけ?私みたいなどうしようもない人間、どこで何しようが誰も興味ないだろ」
「はぁぁ。分かってねぇな、お前」
「は?」
「俺個人としては、お前の素性をまだ把握しきれていない以上、俺たちの前から居なくなるのには反対しねぇ」
「だったらーーー」
「けどなぁ、ノアはそうじゃねぇんだ。俺のように、まず人を疑うってことをしねぇ。直感的にいい奴だと思ったら、そいつに裏があろうとなかろうと、簡単に信じちまう。そんで、いい奴以上に気に入った時は……そいつが居なくなったりしてみろ、心配になって探しに出ちまうんだわ」
「…………」
「ノアは俺と違って本当にいい奴だからなぁ。ほんと、いい主すぎて俺にはもったいねぇくらいだ。……だからこそ俺や湊がいるわけだが……ま、それはいいとして、だ。つまり、なにが言いてぇのかというとだなぁ……ノアに余計な負担をかけさせんじゃねぇぞ……ってことだ。俺の言ってること、分かるよなぁ?」
「……それ、私には関係ないだろ」
「お前に拒否権はねぇんだよ……と、言いてぇとこだが……まあお前の好きにしてもいいぜ?」
「……やけにあっさり引き下がるな。あんなに熱弁していたくせに」
「だがひとつ、人生の先輩たる俺からお前に忠告だ」
「…………」
「ノアやカズハたちはリュウのことをいたく気に入っているようだが……俺はどうだろうなぁ。お前は知らねぇかもしれねぇが、あいつ、ノアを手にかけようとした前科があんだよ」
「っ……!まさか……!」
「湊のやつは許す気みてぇだが……俺はそんなに甘くねぇんだわ。主を危険に晒した……ましてや殺そうとした人間を…….なぜ生かしておく必要がある?」
「っふざけんな!」
「……おい、放せよ。服にしわが残んだろうが」
「……殺す」
「ああ?」
「あんたを今ここで殺せば、リュウは幸せになれる」
「はははははははっ」
「……なにがおかしい!!」
「いや、なんだ。情のねぇつまらねぇ女だと思ってたが、どうやらそうでもねぇらしい」
「……は?あんた、なに言って……」
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「どこに行く?!私の話はまだーーー」
「リュウが心配なんだろ?なら、お前が側にいて守りゃあいい。それだけの話だ」
「……なんなんだ、あんた……」
「ま、俺を殺すってのは百年早えぇがな」
この後、まるで何事もなかったかのように平然と立ち去る秀を足早に抜き去り、私はリュウのもとに向かった。
主にこれが原因で私は秀を警戒し、反発していたわけだけど……冷静に自分の置かれた状況を考えれば、あの男はわざとリュウのことを引き合いに出して私がノアズアークに入るように仕向けたのだと、最近ようやく気づいた。
あの男はリュウに対し全く殺す意思をもってない。というか、あの男の力量ならいつでも簡単に殺せるし、機会もいくらでもあった。
私が精霊殿に行くことになった時、リュウから私は離れてしまった。これはあの男にとって絶好のチャンスだったはずだ。だというのに、あの男は何の手も下さなかった。
その後、魔物を討伐したり依頼をこなしたりして過ごしたわけだけど……いやでも気づく。この男、秀はリュウに手を出す気など始めからなかったのだと。
それに気づいてからは、警戒もある程度緩めた。リュウに張り付くこともしなくなったしな。ただ、いけすかないのは変わりなかったから、友好を結ぼうなどと考えたことは一ミリもなかったな。
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