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婚約者…?①
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きっと、街頭インタビューか何かで「あなたの経験した修羅場、教えてください☆」なんて聞かれたら私は、今日のことを答えるだろう。
……見知らぬ土地で案内された部屋に入ったら、見知らぬ全裸女に変態扱いされた、と。
「……」
いやいやいや、どんな状況?! てか、これか!
しばらくトリップしてたけど、フェルクスさんの大きな咳払いに私の思考も戻ってくる。
彼は、さっとマントの留め具を外し包むようにその女性の肩からかける。
「ソール嬢、このようなことはお止めくださいと何度も申し上げたはずです」
「フェル……ごめんなさい。でも、止められないの。貴方を愛しているから……だから」
と、伸ばされた両手を咄嗟に下がって避ける。ここまでされたら相手の意思なんてわかりそうなものだけど。ついでにハッキリお断りもしていた。
「申し訳ありませんが貴女の気持ちには応えられません」
「そんなこと言わないで……愛してるの」
うるうると潤む瞳の上目遣い。まるで捨てられた子猫のよう。ちょっとだけ可哀想に見えてきちゃう。隣で見てただけの私でこれだもの。さぞフェリクスさんの方は心が動いたはず、とチラリと視線をむけたら……うん。ものすっごい冷ややかな視線を投げかけていた。
そんな彼がスッと瞳を細めて苦々しく吐き捨てた。
「愛だと言えば……全て許されるのか」
「ええ! そうよ、わたくしは貴方を愛しているからっ…」
だけどそんな彼女の言葉を遮って、さらに低い声が響く。
「ならば同じように、貴女の屋敷で私が同じ格好で待つていたとしても構わないと?」
「まあ! そんなのもちろんよ! なんなら、わたくしに任せてくれても」
その場の空気を無視する弾んだ声にフェルクスさんは怒気を強めた。
「だが!」
「!」
さすがのお嬢さんも肩がビクリと震わせた。ちなみに言うと私もちょっとびっくりした。彼は矢継ぎ早に続ける。
「貴女のその短絡的な行動で周りに迷惑がかかることは考えられないのか」
「え…」
「次の夜会……その仕切りは貴女の生家エリック家のはず。王公諸侯の集まる大切な時期に婚約すら果たしていない我々がそのような行いをすればどうなるか」
「それならわたくしと婚約を……」
「出来ないとすでに何度も伝えている」
「どうして……?! どうしてわたくしではダメなの?」
「今ここで明かすことではないし、論点をずらさないでいただきたい。今知るべきは貴女が醜聞を撒き散らすことによって貴女の兄や父が影響を受けることだ。大きな商談を控えているのでなかったのか?」
「……それは、そうだけど……醜聞だなんて」
「お二人が知ればなんと言うか」
「……」
言われたことを噛み砕いてるのか、お嬢さんは爪を噛んでブツブツ呟き始めた。冷ややかな室内に異様な雰囲気のお嬢さん。居たたまれなくなる私の目に飛び込んできたのは、フッと口角を上げて蔑むような彼の顔だった。
嫌な予感が掠める。次の瞬間、思ってもみない言葉が耳に入る。
「そんなことも分からないような低能さは正しく盛った雌」
「フェルクスさん!」
ハッとしたように私を振り返る。咄嗟に止めてしまったけど、彼は目が合うとパッと顔を戻し額に手を当てた。そのまま落ち着かせるようにゆっくり目を閉じる。
「すみません、取り乱しました」
冷静に見えて彼も取り乱していたのね。ただの傍観者の私ですら困惑する状況だもの。当事者は当然だよね。
ひとまず落ち着きを取り戻したのか、フェルクスさんは大きく息を吐いてお嬢さんをソファに座らせた。そして手を伸ばすと傍にあったサイドテーブルの上のベルを大きく鳴らす。
あれは使用人とかを呼ぶもの? 初めて見たかも。
……見知らぬ土地で案内された部屋に入ったら、見知らぬ全裸女に変態扱いされた、と。
「……」
いやいやいや、どんな状況?! てか、これか!
しばらくトリップしてたけど、フェルクスさんの大きな咳払いに私の思考も戻ってくる。
彼は、さっとマントの留め具を外し包むようにその女性の肩からかける。
「ソール嬢、このようなことはお止めくださいと何度も申し上げたはずです」
「フェル……ごめんなさい。でも、止められないの。貴方を愛しているから……だから」
と、伸ばされた両手を咄嗟に下がって避ける。ここまでされたら相手の意思なんてわかりそうなものだけど。ついでにハッキリお断りもしていた。
「申し訳ありませんが貴女の気持ちには応えられません」
「そんなこと言わないで……愛してるの」
うるうると潤む瞳の上目遣い。まるで捨てられた子猫のよう。ちょっとだけ可哀想に見えてきちゃう。隣で見てただけの私でこれだもの。さぞフェリクスさんの方は心が動いたはず、とチラリと視線をむけたら……うん。ものすっごい冷ややかな視線を投げかけていた。
そんな彼がスッと瞳を細めて苦々しく吐き捨てた。
「愛だと言えば……全て許されるのか」
「ええ! そうよ、わたくしは貴方を愛しているからっ…」
だけどそんな彼女の言葉を遮って、さらに低い声が響く。
「ならば同じように、貴女の屋敷で私が同じ格好で待つていたとしても構わないと?」
「まあ! そんなのもちろんよ! なんなら、わたくしに任せてくれても」
その場の空気を無視する弾んだ声にフェルクスさんは怒気を強めた。
「だが!」
「!」
さすがのお嬢さんも肩がビクリと震わせた。ちなみに言うと私もちょっとびっくりした。彼は矢継ぎ早に続ける。
「貴女のその短絡的な行動で周りに迷惑がかかることは考えられないのか」
「え…」
「次の夜会……その仕切りは貴女の生家エリック家のはず。王公諸侯の集まる大切な時期に婚約すら果たしていない我々がそのような行いをすればどうなるか」
「それならわたくしと婚約を……」
「出来ないとすでに何度も伝えている」
「どうして……?! どうしてわたくしではダメなの?」
「今ここで明かすことではないし、論点をずらさないでいただきたい。今知るべきは貴女が醜聞を撒き散らすことによって貴女の兄や父が影響を受けることだ。大きな商談を控えているのでなかったのか?」
「……それは、そうだけど……醜聞だなんて」
「お二人が知ればなんと言うか」
「……」
言われたことを噛み砕いてるのか、お嬢さんは爪を噛んでブツブツ呟き始めた。冷ややかな室内に異様な雰囲気のお嬢さん。居たたまれなくなる私の目に飛び込んできたのは、フッと口角を上げて蔑むような彼の顔だった。
嫌な予感が掠める。次の瞬間、思ってもみない言葉が耳に入る。
「そんなことも分からないような低能さは正しく盛った雌」
「フェルクスさん!」
ハッとしたように私を振り返る。咄嗟に止めてしまったけど、彼は目が合うとパッと顔を戻し額に手を当てた。そのまま落ち着かせるようにゆっくり目を閉じる。
「すみません、取り乱しました」
冷静に見えて彼も取り乱していたのね。ただの傍観者の私ですら困惑する状況だもの。当事者は当然だよね。
ひとまず落ち着きを取り戻したのか、フェルクスさんは大きく息を吐いてお嬢さんをソファに座らせた。そして手を伸ばすと傍にあったサイドテーブルの上のベルを大きく鳴らす。
あれは使用人とかを呼ぶもの? 初めて見たかも。
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