迷子の会社員、異世界で契約取ったら騎士さまに溺愛されました!?

翠月 瑠々奈

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ざわざわ、ざわざわ……②

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「フェルクス様。先日の帰還の儀、美しかったです!」
「アタクシも見ましたわ! 今度はぜひ、街の催しに出てくださらないかしら」
「私は差し入れを持ってきましたの!」
「次の夜会は誰をお連れに?」
「前回はお一人でしたよね? 私がお供します!」
「あら、貴女じゃ務まらないわ」

 その後も夜会の連れは私よ!って人が幾人も出てくる。そんなにいっぱい引き連れていくと軍隊のようね。

 なんて心のなかでツッコむ。

 この中を進んでいくのはさすがに勇気がいる。だけど私は仮にも婚約者。きっと愛する人が他の人に囲まれていたら向かわずにはいられないはず。

 想像しつつ、女性たちの隙間を半ば無理矢理通っていく。半分もしないうちにフェルが気づいて周りの女性に「すまない、彼女を通してくれ」と道を開けてくれた。

 周りの女性が反応して通りやすくなる。そのタイミングでささっとフェルのもとにいく。

 けど寸前で何かに気づいた女性たちが、邪魔するように道を塞ぎ始める。このままじゃたどり着けなくなる、と慌ててに手を伸ばした。

 でもやっぱり人の勢いには勝てなくて埋もれそうになる。これで潰されたらシャレにならない。

 どうしようと焦る中──ぐっと手首を引かれた。

 その拍子に飛び出して帽子が舞う。転びそうになるところをフェルが抱き止める。直後、耳にかすめる声。「来てくれてありがとう」と。

 そのまま腰を抱かれて、今度は別の意味で動けなくなる。反対にフェルのハッキリした声が響く。

「彼女は私の婚約者だ。先日、他国より迎え入れた。長らく報せずにいたが正式に儀式を交わしたことで紹介しようと思う。ルミ、いいかい」

 最後は囁くように。

 私は頷いて彼から離れる。短く息を吸って、得意の笑顔を作った。片手を胸元に手を添えて、スカートの裾をつまんで前を見据える。

「皆様ごきげんよう。私、フェルクス・ロギアスタの婚約者のルミと申します。以後、お見知りおきを」

 にこりと笑いかける。一瞬、辺りが静まり返った気がした。
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