迷子の会社員、異世界で契約取ったら騎士さまに溺愛されました!?

翠月 瑠々奈

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デートではありません②

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「……?」

 先に食事をと言われ、食べてから玄関ホールに向かう。そしたらすでにフェルがいた。

 今日は白のシャツに紺のベストを組み合わせている。ついでに黒のボトムで軽く出掛けられるスタイルをしている。

 そんな彼は私を見るなり目を瞬かせて、そっと視線をそらした。

「フェル?」

 つい首をかしげてしまったけど、もしかして実は似合ってなかったとか。ガルシアさんも良いって言ってくれたんだけど。

 一度自分の服装を見て、もしかして、と確認する。

「今日用事があるって聞いて…選んでもらったん服なんですが、やっぱりこの間のようなドレスの方が良かったりします? 着替えた方がいいかな?」

 スカートの端をつまんで左右に動かす。傍に来る気配に窺うように見上げた。今度はちゃんと見てくれたみたいで、彼は柔らかく微笑んだ。

「いや、そのままで大丈夫。ただ可愛すぎるのも問題だなって思っただけだから」
「え?」
「ん。そろそろ行こうか」

 手を差し出されて、つい重ねてしまう。でもさらっとすごいことを言われた気がする。なんだかドキドキと胸がうるさい。

 たぶん聞き間違いだよね、と思い直しフェルとともに歩き出す。玄関で薄手の上着を受け取る彼を見ていたら、ふとフワリと肩に何かを感じた。振り返ったらセルトンが肌触りの良いショールをかけてくれていた。

「ルミ様はこちらを」
「あ、ありがとう」

 お礼を言ったところで、また前を見る。フェルが上着を渡してきた人とそのまま話をしていた。

「馬車のご用意はしておりませんが、本当によろしいのですか?」
「ああ、構わない。今日は歩いて回る予定だから」

 ルミ、と呼ばれて彼の傍に行く。自然な流れで手を繋がれて歩きだした。

 そしてセルトンたちが開けてくれた扉を抜ける。外は青空が広がっていて、吹く風も穏やかだった。

「今日は街を案内しようかなと思ったんだ。君はここに来てから、それほど外に出てないだろう?」
「確かにそうですね」

 思えば驚きの連続でそれどころじゃなかった。けどこうして、気遣ってくれるのが嬉しくなる。それは次第にワクワク感へと変わった。

 よくよく思い返すとここは知らない街だし、見たことないものだってあるはず。こんな風に出掛けるのも子ども時代以来かも。って思ったら知らずに笑みがこぼれる。へらっと顔が緩んだら隣から視線を感じた。

 ふと顔を上げると、フェルと目が合って──微笑まれた。

「!」

 見てたよ、って言われてるみたいで恥ずかしい。慌てて顔を前方に戻して誤魔化すようにフェルの手を引いた。

「さ、さあ早く行きましょう!」
「ふふっ……そうだね。道順は、任せてくれていいから」

 繋がる右手をぎゅっと握られて、逆に先導される。そのまま門を越えて街中まで進んだ。

 
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