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40 sideエグモンド
しおりを挟むそれ以上近づくな、汚らわしい?
汚らわしい……って一体誰がだ。
僕は、僕はヤスミーンの婚約者であり未来の夫で。
僕は選ばれた人間……いや神で。
汚らわしいと呼ばれし存在では――――。
僕は改めて周囲を見回した。
何故ならきっと僕の事ではなくだ。
僕の近くにいる赤の他人の事を言っているのだと思ったと言うかそう断言した。
だって僕達は想い想われる婚約者であり断じて汚らわしいと婚約者より呼ばれる者ではない。
しかしどの様に見回してもだ。
左右だけではない。
ちゃんと後ろまで一周回って、一周で納得出来ないからそこは三周したよ。
なのにだ!!
どうして僕の傍には誰もいない。
ぽっかりと綺麗に開かれている空間には僕一人しか存在してはいなかった。
――――とすればヤスミーンの言う汚らわしいとはまさか、まさかだよね。
僕は懇願する様に彼女を見つめた。
だがその僕の気持ちを踏み躙る様に彼女は冷たく言い放つ。
「エグモンド・ノイナー、貴方以外誰がいると言うのです」
ヤスミーンの、王族に連なる者が持つ色とされる青紫に輝く二つの双眸が僕の身体だけでなく心までをもぐっさりと貫いていく。
貫かれただろう僕の心から出血していく。
実際心からは血は出ないのだが、これは物の譬えとしてだな。
血が噴き出す程に僕の心は痛くて傷ついたと言う意味なのである。
「一体何を言っているの、かな僕の愛しい婚約者は……」
一歩僕は彼女へ向かって歩み出す。
「それ以上近寄れば容赦は致しません事よ」
何時にないキレッキレなヤスミーンの物言い。
そこにほんの少しも僕への愛情何て感じられない。
「ほんの少しどころか全くですわ。いえ、初めてお会いしてからほんの少しでも愛情何てモノを抱いた事さえありませんわよ」
何故か僕の心を見透かした様に話すヤスミーン。
また欠片程の甘さすらない。
そして嘘……だよね、君が僕を愛していないなんて。
「真実ですわ」
う、嘘……だ。
嘘だろ?
冗談だろう?
なあヤスミーンお願いだから嘘を、嘘を吐く――――。
「う、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だと言ってくれええええええええええええええええ!!」
気付けば僕は大ホール一臂へ響き渡るくらいの大きな声で叫んでいた。
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