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39 sideエグモンド
しおりを挟む僕は真っ直ぐに婚約者であるヤスミーンの許へと歩き出す。
ざざざざざざざ
するとどうだろう。
今宵の舞踏会の出席者は多い。
それはそうだろう。
何と言っても王家主催の格式の高い催しだ。
国王夫妻をはじめとして全ての王族が姿を現す最上級の舞踏会。
それ故に臣下でもある伯爵以上の貴族達全てが参加しない訳にはいかない。
王族若しくは自分達よりも立場が高位となる貴族達とチャンスがあればコネクションを繋ぎたいと言うか是が非とももぎ取りたい。
僕も今までは彼らの様な立場だったよ。
でも今の、そうこれからの僕は違うのだ。
侯爵家の三男。
スペアのスペア。
実の父親や兄弟たちからも見向きもされない存在ではない。
僕はシュターミッツ公爵家の当主、そう王族とも姻戚関係のある絶対的な立場の人間となるのだ!!
現王陛下の姪孫であるヤスミーンを妻に娶った瞬間、僕は至高の存在となる。
だから見てごらん。
僕が歩みを進めると同時に密となっている貴族達はざざざと言う音と共に左右へ綺麗に分かれていく。
海割れ……とでも言うのかな。
ああ神が神託を与えたと言う尊い者と同じではないか。
ふふ、僕は今天へ昇るかの様に神々しい気分いや、感情が何やら昂ってきたぞ。
まるで国王にでもなったかの様な?
違うだろう。
神の神託を受けた者と同義だとすればだ。
僕は今まさに神へとなった!!
肉体は人間のものだからさながら生き神様だな。
何と神々しい存在。
そしてこの海割れの様な左右へ人が分かれればだ。
ヤスミーンへ続く道に最早何の障害もないと言うのは実に愉快だ。
僕が生き神だとすればだ。
ヤスミーンは差し詰め神に寵愛される乙女……いや女神だな。
さあヤスミーンよ、これより僕達は神の子を沢山生み出そう。
ああ勿論ヤスミーン、神の子を孕むのは君だけではないよ。
エリーゼの存在を忘れてはいけない。
僕とヤスミーンとエリーゼの三人で沢山愛し合い、そうして多くの神の子を孕んでおくれ。
僕は幸せに包まれて歩いていく。
にんまりと笑顔を湛え、だってそうだろう。
神である僕が不機嫌な表情をしていれば人間達は不幸になってしまうからね。
そうして愛しいヤスミーン迄あと5m程となった時だった。
僕は愛情を込め、両手を大きく広げて彼女を抱き締めようと思ったら――――。
「それ以上は近づかないで下さいな。汚らわしい」
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