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番外編 エグモンドのその後
しおりを挟むここは王国にある医療を目指す者ならば一度は教えを乞いたいと思う……訳ではない。
王国で認可されるだろうあらゆる分野に関する医薬品の研究を行う場所。
通称医療塔からの、治刑場や変態集団が集う塔とも言われているらしい。
だが今の僕にそんな些事等どうでもいい。
何故なら協が何時で今の時間は何時何て言うよりもだ。
今この瞬間僕はまだ生きているのだと、ああ本当に僕は僕自身なのだろうか。
真実は何もわからない。
「そうあなたに最早真実等不要でしょ」
それはそうだ。
僕は現在言葉を発する事は出来ない。
だからと言って頷く事も。
唯一出来るのは瞳でアイコンタクトをする事だけ――――。
あの舞踏会場での断罪を告げられて直ぐ僕は首にチクリと痛みを覚えた。
大して痛くはない。
そうだね蚊に刺されたくらいだと思ったんだ。
でも次の瞬間目の前が真っ暗になって気付けば僕はここにいた。
ここにいたとは言ってもこの塔の中で自由に動く事は許されない。
何故なら僕は謂れのない罪を追加されていたのである。
それは性犯罪者。
チェリーボーイの僕が性犯罪者ってアリなのかと問えばだ。
メロンと桃に包まれたいと言う発想が、いやヤスミーンのいる本宅へエリーゼを連れ込んだのが問題だと告げられた。
別に直ぐ関係を持った訳じゃないと言うか未だに清い関係しか構築出来なかったのだ。
それに三人で仲良く愛し合うって抑々これは性癖であり性的嗜好なのだから犯罪ではない筈。
最初はまだ話す事が出来たから僕は彼女達への思いの丈を、そして僕は如何に正常であるかを伝えたのに全く相手にされなかった。
『んじゃああなたのお仕事はぁ、この塔の責任者であるアタシの趣味とさせて貰うわね』
ぶかぶかの白衣を纏った大きな丸い眼鏡に取り分け美人でもない。
しかし成人しているとは到底思えない幼い感じの女医だった。
『お・し・え・てあげるわ。私の趣味は房事に使用する媚薬からぁ、性犯罪者へ二度と犯罪を起こさせなくなる為の薬の開発。これって私の趣味と実益を兼ねているのよね~。ああそれからチェリーボーイの初めてを頂くのは完全なる私の趣味よ。喜びなさい。チェリーボーイのまま死ぬよりもよ。たった一度だけだけれど女の身体を味わえるのだから――――ああ、お触りは厳禁ね。ちゃんと薬を使って勃起させてぇ、私のあそこへ入れさせて出すだけだから』
はあ?
意味が全く分からない。
この女と言うか少女はかなりヤバいのでは……と思ったのは遅かった。
ぷしゅ
またしても今度は腹に注射を打たれてしまった。
『安心なさい。これは即効性だから直ぐにもあなたの息子は勃起するからね。効果の程はご心配なく。あ、勿論私も濡れる様に薬を打ったから』
全くの悪意のない表情で淡々と告げる少女。
悪意の欠片すら感じられない。
それに雰囲気なんて全くもない。
第一男ってのはとても繊細なのだよ。
こんなモルモットみたいな状況で僕の息子が勃ちっこ――――⁉
『あははぁ、瞬殺でビンビンじゃない。流石若いだけあって元気よね。じゃあ早速……』
おいおい嘘だろうぉ。
僕の意思は?
僕の気持ちは?
僕は何でこんな初めて会ったばかりの少女に犯され――――!!
最悪だった。
自分の意志を確認もされないまま、コンドームを強制的に装着されての完全に少女上位の自分勝手なセックス。
普通ならば特に初めての時は雰囲気作りや緊張を解す為に媚薬効果を含んだ香を焚いてみたりと僕は色々その手のグッズを買い集めていた。
やがて来るだろうヤスミーンとエリーゼとの交わりの際に彼女達が喜ぶだろうと。
まあそこに彼女達の意思は何一つ含まれてはいない。
全ては僕の思うままに進めてきたと言うのにだ。
年端もいかない少女に犯されたのはショックだった。
でも少女が僕にしなかった様に、僕もまた一度でもヤスミーンとエリーゼへそれぞれの意思を確認しただろうか。
いや抑々だ、エリーゼを伴う前にヤスミーンとの関係すら構築せず一方的に全てを思い込んでしまった。
意思を尊重されない事がこれ程辛いとは思わなかった。
自分がそうされて初めて気が付いた。
そうして色々と考えさせられる事を僕は初めて知った。
だが全てはもう遅かったのだ。
そうこれらは始まりに過ぎないのだから……。
多くの方に読んで頂き有難う御座います。
一夜明けて読んで下さる方が多くなっていて吃驚です。
本当は番外編なしで……と言う方針だったのですが、お礼も兼ねてエグモンドのその後を二話を予定としてアップさせて頂きます。
本当に有難う御座います。
ぱぴよん
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