<第一章完結>聖女は自分を呼んだ異世界を嘲笑う

詩海猫(8/29書籍発売)

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やめてよね、漸く落ち着いてきたのに。なんで、奴が目の前に現れるの?

別に容姿を変えたのはこうなる事を想定していた訳ではない。万が一にも他の聖女候補に接触エンカウントしたり、何らかの影響があったりしたらーーを危惧しての事で、間違ってもクレイルあれと再会するなんて事態は思い浮かびもしなかった。

私は見た目を変えるタイミングに合わせて職場もアパートも変えた。
 勤務先には妙なつきまといを受けて嫌がらせみたいな事をされているので、とかごまかし(ちょうど見た目がMAXに痩せすぎていた頃なので意外にあっさり通った)、ゴスロリも封印したーーカンナちゃんと出掛ける時以外は。
 カンナちゃんには引っ越す理由と共に最近 近所に妙な人がいて、跡をつけられてるみたいで気持ちが悪いから、見た目については帰り道でいきなり髪を切られそうになったから、と説明した。
 カンナちゃんは”ツキナ”の頃の私しか知らない為、再会した時だけは黒髪黒眼の姿で行った。
 私の趣味を知っている友人にはこの趣味は卒業したと説明し、ゴスロリはカンナちゃんと出掛ける時のみの気晴らしとなっている。

このご時世に再就職は冒険ではあったが、たまたま英語が堪能だったおかげで今の職に就けた。
全てはあの世界での”何か”が現在いまの私に影響を及ぼさない為にーーここまでやったのだ。壊されてたまるか。

(今回の人事異動は本当に何の意図もないの?)
 と考える。

 ーーあの2人は確かに外国人だが、日本語堪能だし英語いらないよね?なのに何故私が選ばれた?
 上の指示ーーあの口ぶりからすると決めたのは区役所の人事でなく、防衛省側の指示ともとれる。
 だとしたら、最初から私が"ツキナ"だとバレている事になる。でも、先程の奴はそんな様子は微塵も見せなかった。

 考えすぎか?
 ただの偶然か?

 どちらにしろ、今すぐリアクションをとるのは危険だ。

 クレイルも随分細身になっていた。
こちらではそれでもかなり筋肉質な方ではあるが、以前は筋肉質過ぎて騎士服以外は似合わない感があったが、今の感じなら貴族の正装みたいなのも似合いそうである。いかにも女子が喜びそうなーーん?
ここまで考えて、頭の隅に何かが引っかかったが、突き詰めるとイヤな記憶に突き当たりそうだったので、考えるのをやめた。

役所に戻って、至って普通に報告を済ませ、1日を終える。

だが、帰る道すがら、祈らずにはいられなかった。

 ーー確かに、彼の幸福を願いはした。
 だが、それはこっちの世界ここでの話ではない。
 あの願いに、一つ付け加えるとするならば。
幸せになって、騎士様。
に尽きる。
お願いだから、こっちの世界に、私の世界に、入ってこないで。私は貴方を幸せには出来ないから。



*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*



定刻で更新が出来ない……体力の限界をひしひしと感じます(^^;)

相変わらず噛み合わない2人ですが、次話からはエンカウント率があがります。


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