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急務を終えてウィルに指定された部屋へ入ると真っ暗だった。
「おかしいな……?」
仕事を終えたらこの部屋で待つとメッセージが携帯端末にメッセージが入っていたのに。
「ウィル……?」
用心しつつ一歩部屋へ入ると奥の方の一角だけ光が見え、また何か実験でもしているのかと息を吐いて光の元へ向かう。
僅かな光の下、目にした光景にクレイルは息を呑んだ。
「っ、ツキナ……!」
覚醒は急に訪れた。
目を開くと同時に飛び込んできたのは驚愕を貼りつけたクレイルの顔。
“ツキナ“
「っ!?」
クレイルの口がそう動いた気がして叫びそうになったが、息を飲み込むことかろうじてでこらえる。
そしてまじまじと自分を見下ろす男を見返すーーまさかの眠ってる間に異世界かと思ったが、違う。
クレイルのこの服装は先程この部屋を出ていった時と同じだ。
つまり、ここは日本だ。
私は勢いをつけて起き上がり、
「何のつもりですかっ?」
と詰問したが、かえってきたのは、
「っ!ミス・サキサカ……?」
(え?)
初めて気がついたという声に驚くのと同時に自身の違和感に気付き、自分の服装を見おろす。
「なっ……?!」
これはクレイルが私の遺体に着せたドレスだ。
(まさか気付かれていたなんて)と思いつつ、
「何故、こんな事を……?」
とクレイルに問い掛ける…
「いや、俺にもわからない。ただウィルにここに来るように言われて……」
「ウィル?」
「まさかあいつが……」
二人が顔を見合わせるのと同時にパッと部屋の灯りがつき、ウィリアムが姿を現す。
「お前っ…!何のつもりでーー」
「君こそ、何で気付かないのクレイル」
「何だと?」
「君は僕の能力知ってるでしょ?触れたものの記憶を読み取る、サイコメトリってやつ」
「あ、ああ」
「たまたま眠ってる君に触れた時に例の聖女様の記憶を視ちゃってさ?その後ミス・サキサカに会った時思ったんだよ、似てるなぁって」
「「……」」
「けど件の聖女様は亡くなったって聞いてるし、良く似た他人か縁者かとも思ったんだけど、君の中の記憶のパーツを組み合わせるとぴったりなんだよねー顔立ちとか立ち姿とか?だから確かめようと思ったわけ。どう?クレイル」
「どうって……」
言われて再び目をやるとふいっと逸らされた。
長い黒髪がかかる顔といい、そのドレス姿といい別れた時のツキナそのもので、むしろ彼女が自分の知っているミス・サキサカと一致しない。だが先程言葉を発したのは確かにミス・サキサカだった。
「女性は髪型化粧でいくらでも変わるからねー。ミス・サキサカに長い黒髪を被せて普段のメイク落としてこの服着せただけなんだよ、クレイル?」
「っ!!」
「真っ黒な瞳までわざわざ茶色く見えるコンタクトで変えてた。君、眼鏡もコンタクトも必要ない視力だよね?裸眼でいけるはずだ」
「ーーそんなの、私の勝手でしょう」
「確かにね。実際見た目と職場を変えたのだってストーカーから逃げるためだって周囲には説明してたようだし?」
「!」
(こいつ、どこまで知ってるの?)
だが、合点がいった。
私をこの任につけたのはこいつだ。
クレイルは、何も知らなかった。
(クレイルが気付くまで待つつもりが、待てない理由が出来た?)
いずれにせよ、監視されていた。
「どうして……」
役目は終えたはずだ。なのになんで、また引っ掻き回されなきゃいけない?
音も無く近付いてきたクレイルの手が伸ばされ、私は反射的に後ずさる。
が、その分クレイルも詰めてきて心臓に手を当てられた。
「動いて……生きて、いるのだな……良かった……!」
流れるように手首を掬われ脈打つのを確認するとそのまま両手で捧げ持たれてしまい、祈られているようで大変居心地が悪い。
「ーー離して」
端的に告げると、
「その口調ーーやはり、君だな」
物凄く嬉しそうに微笑まれ、
「ーー何なの?」
非難めいた私の口調に、
「単純に喜んでるんだよ。勿論僕もね」
飄々とウィルが答え、
「ーー貴方、何なの?」
「ーーお前、どういうつもりだ?」
私とクレイルの問いが重なった。
「わお、息ぴったりーー流石長い時間共にしていただけあるね」
「してないっ!」
「いや、共にいた時間は少ない」
速攻否定する私と大真面目に返すクレイルの声がまた重なり、妙な沈黙が落ちる。
「まぁ、それぞれの言い分がある事はわかったよ……で、僕の目的だけど、シンプルだよ。聖女様の力と知識が必要だったのと、クレイルの探してる女性がたまたま同一だっただけ」
「………」
「………」
「現にクレイル、さっきヤバいのの急襲で呼ばれたでしょ?アレは君の前いた世界の〝魔物〟ってやつじゃないの?」
「っ確かに…、同じ性質のもののようだったが!」
クレイルの気遣わし気な視線が痛い。
嫌な予感ほどよく当たるってーー本当に嫌だ。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
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「っ!ミス・サキサカ……?」
(え?)
初めて気がついたという声に驚くのと同時に自身の違和感に気付き、自分の服装を見おろす。
「なっ……?!」
これはクレイルが私の遺体に着せたドレスだ。
(まさか気付かれていたなんて)と思いつつ、
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とクレイルに問い掛ける…
「いや、俺にもわからない。ただウィルにここに来るように言われて……」
「ウィル?」
「まさかあいつが……」
二人が顔を見合わせるのと同時にパッと部屋の灯りがつき、ウィリアムが姿を現す。
「お前っ…!何のつもりでーー」
「君こそ、何で気付かないのクレイル」
「何だと?」
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「あ、ああ」
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「っ!!」
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「ーーそんなの、私の勝手でしょう」
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「!」
(こいつ、どこまで知ってるの?)
だが、合点がいった。
私をこの任につけたのはこいつだ。
クレイルは、何も知らなかった。
(クレイルが気付くまで待つつもりが、待てない理由が出来た?)
いずれにせよ、監視されていた。
「どうして……」
役目は終えたはずだ。なのになんで、また引っ掻き回されなきゃいけない?
音も無く近付いてきたクレイルの手が伸ばされ、私は反射的に後ずさる。
が、その分クレイルも詰めてきて心臓に手を当てられた。
「動いて……生きて、いるのだな……良かった……!」
流れるように手首を掬われ脈打つのを確認するとそのまま両手で捧げ持たれてしまい、祈られているようで大変居心地が悪い。
「ーー離して」
端的に告げると、
「その口調ーーやはり、君だな」
物凄く嬉しそうに微笑まれ、
「ーー何なの?」
非難めいた私の口調に、
「単純に喜んでるんだよ。勿論僕もね」
飄々とウィルが答え、
「ーー貴方、何なの?」
「ーーお前、どういうつもりだ?」
私とクレイルの問いが重なった。
「わお、息ぴったりーー流石長い時間共にしていただけあるね」
「してないっ!」
「いや、共にいた時間は少ない」
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「まぁ、それぞれの言い分がある事はわかったよ……で、僕の目的だけど、シンプルだよ。聖女様の力と知識が必要だったのと、クレイルの探してる女性がたまたま同一だっただけ」
「………」
「………」
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