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「だって聖女って魔物の専門家でしょ?」
「全く違います!」
「え 違うの?」
「専門も何も、研究してるわけではありませんから!魔法を使って相手を倒すあらゆる方法を詰め込むための器というだけです、少なくともあちらの世界での聖女という存在は!」
「あゝなるほど……」
「ウィル!お前っ……」
「おっとごめんクレイル、けど対魔物に関しては共闘した方が良くない?少なくとも日本で一番魔物と対峙したことがあるのって君たち二人じゃない?」
「さあ?比較したことはありませんので」
「彼女を魔物と対峙させるわけにはいかん」
「あーうん、真逆のこと言っているようで結果、同じこと言ってるね?」
「全然違います」
「全く違うだろう」
「そう言いつつユニぞってるし……まあ、ならそういうことにしとくから。まずミス・サキサカ、君は急に休職や退職したり、引っ越して雲隠れとかしないこと。それさえ約束してくれたら今日はこのまま帰すよ、ひとつだけ質問に答えてくれたらね」
「……何です?」
「君は今、魔法を使える?」
「ーーいいえ」
「そっか。でも記憶はあるんだよね?」
「ええ、厄介なことに」
「ならその知識だけでいい、僕らに提供してくれないか?」
「知識の提供だけで済む保証ははどこにあるんです?」
「そこは信用してもらうしかない。本来クレイルと同郷の魔法使いならこの省での身柄預かりのうえ、元聖女だなんて知られたら国をあげての保護対象だ」
「証拠もないのに?」
「確かに。けど、僕のこの能力は信頼されてる」
ウィルがひらりと右手をかざす。
(つまり、コイツがそう読み取ったと断言すればそれは事実と同じってことか)
「そんな真っ白な顔しなくても突き出したりしないって。こう見えてクレイルの絶望はわかってるつもりだよ?」
「ーー私の絶望は知らないでしょう?」
(この男が、まさかサイコメトリの使い手だったなんて……!)
「うーんそれを言われるとーーでも、君だって守りたいだろう?カンナ嬢のいるこの世界を、今君自身がいるこの地を?」
「!」
(こいつっ!カンナちゃんのことまで?!)
私が目を剥くと、
「ウィル!!」
「脅迫しているわけじゃないよ、事実を言ったまでだ。闇の中から魔物が這い出てきて人を襲ってる。次が自分の知り合いや自分でない保証はどこにもない」
「私のこの服は誰が用意させて、誰が着替えさせたんです?」
「用意は僕がさせたけど、着せたのはここの女性スタッフだよ。大丈夫、君の素性は明かしてないよ。元々ここは秘密部署だからね」
「変態ーーいえ、最低ですね。食事に招待して薬を仕込んで眠らせるなんて」
「それについてはごめん。けどもう、時間がないんだ」
「どこかでーーあぁ、一方的に聖女と崇めてた連中も言ってました、そんなこと」
「ツキナ……!」
「それは私の名前じゃありません。二度と呼ばないでください」
「あ、あぁ……、そうか、今は」
「知識の提供だけなら電子ファイルだけで済むのでは?」
「電子記録が残るのはかえって危険だよ」
「貴方の存在の方が危険だと思いますけど?悪魔の右手さん?」
「酷いなぁ、悪用はしてないよ」
「どこがです?これは立派な犯罪です。私の着ていた服はどこに?」
「悪魔って……この部屋のバスルームにそのまま。メイク道具一式と外したコンタクトも一緒に」
「最悪。ではこちらも約束してください、カンナちゃんを巻き込まないこと、及びこの辺りを彷徨いてる元聖女候補たちと接触させないこと」
「勿論。約束する」
「では着替えて帰ります。今まで通りお使いの役目は果たします、それで良いですね?」
「うんーーその、悪かった」
「それで済めばハムラビ法典なんていらないんですよ!あと、クレイルと同郷扱いはやめてください!私は異世界人じゃなくて、ただ異世界に誘拐されたことがあるだけです!!」
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
🆕▶️役目を終えたはずの元聖女が戦闘モードに移行しました。
いや、冗談です すみません。
数年ぶりで、やっと更新できました。
待っててくださった方、また今回初めて読んでくださった方もありがとうございますm(_ _)m
書きかけ片っ端から更新祭りやりたいけど時間と体力的な余裕が🤔
「全く違います!」
「え 違うの?」
「専門も何も、研究してるわけではありませんから!魔法を使って相手を倒すあらゆる方法を詰め込むための器というだけです、少なくともあちらの世界での聖女という存在は!」
「あゝなるほど……」
「ウィル!お前っ……」
「おっとごめんクレイル、けど対魔物に関しては共闘した方が良くない?少なくとも日本で一番魔物と対峙したことがあるのって君たち二人じゃない?」
「さあ?比較したことはありませんので」
「彼女を魔物と対峙させるわけにはいかん」
「あーうん、真逆のこと言っているようで結果、同じこと言ってるね?」
「全然違います」
「全く違うだろう」
「そう言いつつユニぞってるし……まあ、ならそういうことにしとくから。まずミス・サキサカ、君は急に休職や退職したり、引っ越して雲隠れとかしないこと。それさえ約束してくれたら今日はこのまま帰すよ、ひとつだけ質問に答えてくれたらね」
「……何です?」
「君は今、魔法を使える?」
「ーーいいえ」
「そっか。でも記憶はあるんだよね?」
「ええ、厄介なことに」
「ならその知識だけでいい、僕らに提供してくれないか?」
「知識の提供だけで済む保証ははどこにあるんです?」
「そこは信用してもらうしかない。本来クレイルと同郷の魔法使いならこの省での身柄預かりのうえ、元聖女だなんて知られたら国をあげての保護対象だ」
「証拠もないのに?」
「確かに。けど、僕のこの能力は信頼されてる」
ウィルがひらりと右手をかざす。
(つまり、コイツがそう読み取ったと断言すればそれは事実と同じってことか)
「そんな真っ白な顔しなくても突き出したりしないって。こう見えてクレイルの絶望はわかってるつもりだよ?」
「ーー私の絶望は知らないでしょう?」
(この男が、まさかサイコメトリの使い手だったなんて……!)
「うーんそれを言われるとーーでも、君だって守りたいだろう?カンナ嬢のいるこの世界を、今君自身がいるこの地を?」
「!」
(こいつっ!カンナちゃんのことまで?!)
私が目を剥くと、
「ウィル!!」
「脅迫しているわけじゃないよ、事実を言ったまでだ。闇の中から魔物が這い出てきて人を襲ってる。次が自分の知り合いや自分でない保証はどこにもない」
「私のこの服は誰が用意させて、誰が着替えさせたんです?」
「用意は僕がさせたけど、着せたのはここの女性スタッフだよ。大丈夫、君の素性は明かしてないよ。元々ここは秘密部署だからね」
「変態ーーいえ、最低ですね。食事に招待して薬を仕込んで眠らせるなんて」
「それについてはごめん。けどもう、時間がないんだ」
「どこかでーーあぁ、一方的に聖女と崇めてた連中も言ってました、そんなこと」
「ツキナ……!」
「それは私の名前じゃありません。二度と呼ばないでください」
「あ、あぁ……、そうか、今は」
「知識の提供だけなら電子ファイルだけで済むのでは?」
「電子記録が残るのはかえって危険だよ」
「貴方の存在の方が危険だと思いますけど?悪魔の右手さん?」
「酷いなぁ、悪用はしてないよ」
「どこがです?これは立派な犯罪です。私の着ていた服はどこに?」
「悪魔って……この部屋のバスルームにそのまま。メイク道具一式と外したコンタクトも一緒に」
「最悪。ではこちらも約束してください、カンナちゃんを巻き込まないこと、及びこの辺りを彷徨いてる元聖女候補たちと接触させないこと」
「勿論。約束する」
「では着替えて帰ります。今まで通りお使いの役目は果たします、それで良いですね?」
「うんーーその、悪かった」
「それで済めばハムラビ法典なんていらないんですよ!あと、クレイルと同郷扱いはやめてください!私は異世界人じゃなくて、ただ異世界に誘拐されたことがあるだけです!!」
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
🆕▶️役目を終えたはずの元聖女が戦闘モードに移行しました。
いや、冗談です すみません。
数年ぶりで、やっと更新できました。
待っててくださった方、また今回初めて読んでくださった方もありがとうございますm(_ _)m
書きかけ片っ端から更新祭りやりたいけど時間と体力的な余裕が🤔
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