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脱却
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「今は、安物で悪いんだけど……、いつかちゃんとしたの買うから我慢して」
「大河くん……。ううん、値段より気持ちだよ。俺にとってどれだけ価値があるかが大事だから、凄く嬉しい」
さっきまでテンパっていた李煌さんが、どこか吹っ切れたように優しい笑顔を見せてくれた。
胸の中がギュッと温かい何かに締めつけられる思いがした。
「李煌さん、誕生日おめでとう」
俺は薬指ではなく、鎖に通した指輪を李煌さんの首にそっと掛けた。
「ありがとう。……ネックレス?」
「ああ。さすがに指にするには抵抗あるだろ。こっちの方が隠せるし、オシャレだよ」
ずっと、遠慮なく身につけていてくれたらって想いが伝わっただろうか。
じっと見つめる俺の視線に、李煌さんがはにかんだように笑んだ。
「そうだね。ずっと、大切にするよ」
「うん……」
李煌さんの頬にそっと触れる。
赤いのに、冷たい頬。
この人の周りには、いろんな人種がいる。
彼に憧れ慕い寄りそう者。時には悪意を持って近寄る者も――。
でも、李煌さんの空気は、誰にも染まることなく華やかで……。
俺はこの人を染めることができるのだろうか。
(……いや、絶対に染めてみせる。俺が――)
「大河くん、どうしたの?」
そのまま黙り込む俺に李煌さんは怪訝そうな表情を浮かべた。
「何か心配事?」
「いや、今日も綺麗だなと思って」
ポロリと零れ落ちた言葉に俺自身驚いたが、もっと驚いたのは言われた本人だ。
今まで以上に顔を真っ赤に染めた李煌さんがしどろもどろになっている。
「た、大河くんでもそういうこと言うんだね」
前と関係が変わったから言える言葉だ。
「本当は、ずっと前から言いたかったんだと思う。やっと言う権利を得られたな……」
そう口にして実感が湧く。
思わず、華奢な体を強引に抱きしめた。
本当に、折れてしまうんじゃないかと思うほど細い。
(守る。何があっても絶対に、全力でこの人を……)
「大河く――」
「好きだ」
「え……?」
「李煌さんが、好きだ……」
「……」
こみ上げて来る何かを吐き出すように、喉の奥から零れ落ちる。
それを静かに聞いていた李煌さんが、俺の腕の中で小さく笑うのを感じた。
「大河くん……。ううん、値段より気持ちだよ。俺にとってどれだけ価値があるかが大事だから、凄く嬉しい」
さっきまでテンパっていた李煌さんが、どこか吹っ切れたように優しい笑顔を見せてくれた。
胸の中がギュッと温かい何かに締めつけられる思いがした。
「李煌さん、誕生日おめでとう」
俺は薬指ではなく、鎖に通した指輪を李煌さんの首にそっと掛けた。
「ありがとう。……ネックレス?」
「ああ。さすがに指にするには抵抗あるだろ。こっちの方が隠せるし、オシャレだよ」
ずっと、遠慮なく身につけていてくれたらって想いが伝わっただろうか。
じっと見つめる俺の視線に、李煌さんがはにかんだように笑んだ。
「そうだね。ずっと、大切にするよ」
「うん……」
李煌さんの頬にそっと触れる。
赤いのに、冷たい頬。
この人の周りには、いろんな人種がいる。
彼に憧れ慕い寄りそう者。時には悪意を持って近寄る者も――。
でも、李煌さんの空気は、誰にも染まることなく華やかで……。
俺はこの人を染めることができるのだろうか。
(……いや、絶対に染めてみせる。俺が――)
「大河くん、どうしたの?」
そのまま黙り込む俺に李煌さんは怪訝そうな表情を浮かべた。
「何か心配事?」
「いや、今日も綺麗だなと思って」
ポロリと零れ落ちた言葉に俺自身驚いたが、もっと驚いたのは言われた本人だ。
今まで以上に顔を真っ赤に染めた李煌さんがしどろもどろになっている。
「た、大河くんでもそういうこと言うんだね」
前と関係が変わったから言える言葉だ。
「本当は、ずっと前から言いたかったんだと思う。やっと言う権利を得られたな……」
そう口にして実感が湧く。
思わず、華奢な体を強引に抱きしめた。
本当に、折れてしまうんじゃないかと思うほど細い。
(守る。何があっても絶対に、全力でこの人を……)
「大河く――」
「好きだ」
「え……?」
「李煌さんが、好きだ……」
「……」
こみ上げて来る何かを吐き出すように、喉の奥から零れ落ちる。
それを静かに聞いていた李煌さんが、俺の腕の中で小さく笑うのを感じた。
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