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脱却
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「そんなつもりはねぇよ。ただ俺は心配してるだけだ」
「……心配?」
不思議に思い、振り返る。
「ああ。まぁ……正直驚いたけどな。でもよ、先を考えた事あるのか? 二人の関係に納得する人間ばかりじゃな――」
「秀!!」
「っ!? 大河……」
俺の一喝に言葉を呑みこんだ秀の顔を、真っ直ぐ見据える。
「心配してくれるのは嬉しいけど、もうそれは諦めてる。周りのことを気にするレベルは、とうに超えてるんだ」
「……それでいいのか?」
「何度も言わせるなよ」
「……」
こっちの意思が伝わったのか、完全に口を閉じた秀に、俺は「ありがとう」とだけ残してその場を離れた。
昇降口に姿を現すと、俺を見た李煌さんの顔が安心したように綻んだ。
「遅かったね。何かあった?」
「何もないよ。ただ、古い知り合いに会ったから少し話してた」
「そうだったんだぁ。今日大勢見に来てたもんね。もしかして、小学校の頃の?」
俺達は学校を出て街へと向かう。
「うん。久し振り過ぎて驚いたけど、元気そうだった。俺を水泳に誘ってくれた奴なんだ」
秀との思い出を掻い摘んで話した。
さすがにさっきの会話の内容までは話せないが……。
「そっか。それなら会ってみたかったなー」
「え? 何で……?」
「だって、大河くんを支えてくれた人でもあるわけでしょ? お礼、言いたいじゃない」
ニコッと笑みを浮かべる李煌さん。
そんなことを当たり前のように言われると、どう反応していいのか分からなくなる。
こういうのは本当に慣れない。
俺は無言のまま視線を前に向ける。
「あ、今照れたでしょ」
「はっ!?」
ギョッとして視線を彼に戻す。
「気付かれないと思ったのー? 何年、君のことを見て来たと思ってるのさ」
冗談めかし込んで言う李煌さんも、少し照れているようだ。
そんな李煌さんに口元が綻ぶ。
「そりゃ照れるよ。李煌さんにそんな風に言われたらね」
「あ、開き直ったね? もっと見ていたかったのになぁ」
「ダメだよ。貴重なんだから」
「自分で言うことなの?」
可笑しそうに笑う李煌さんを微笑ましく見つめた。
そして、街まで来た俺達は、アクセサリーショップに立ち寄った。
「何をプレゼントしてくれるの?」
「李煌さん」
「何?」
李煌さんに手を差し出す。
「左手貸して」
「? うん」
掌に乗った綺麗な李煌さんの左手を軽く掴み、薬指にスッと指輪を通す。
「え……大河くん!?」
「うん、ピッタリだな。これ買ってくるから待ってて」
意味を理解して顔を真っ赤に染めた李煌さんに背を向けて会計を済ませた。
店を出てからも李煌さんは落ち着きなくそわそわしている。
(これはあまり人に見せたくないな)
目に留まった自動販売機で温かい飲み物を買い、近くの公園に立ち寄った。
「李煌さん」
「なっ、何?」
「そこ座って。外で寒いかもしれないけど……」
言われるままにベンチに座った李煌さんの隣に、俺も腰を下ろした。
冬はほとんど人気のない公園だ。
人目を気にせず渡すには丁度いい。
気持ちを落ち着かせたくてホットミルクティーを李煌さんに差し出す。
それを嬉しそうに飲む気配に、俺も緊張が解けて来た。
俺は買ったばかりの指輪を袋から取り出す。
「……心配?」
不思議に思い、振り返る。
「ああ。まぁ……正直驚いたけどな。でもよ、先を考えた事あるのか? 二人の関係に納得する人間ばかりじゃな――」
「秀!!」
「っ!? 大河……」
俺の一喝に言葉を呑みこんだ秀の顔を、真っ直ぐ見据える。
「心配してくれるのは嬉しいけど、もうそれは諦めてる。周りのことを気にするレベルは、とうに超えてるんだ」
「……それでいいのか?」
「何度も言わせるなよ」
「……」
こっちの意思が伝わったのか、完全に口を閉じた秀に、俺は「ありがとう」とだけ残してその場を離れた。
昇降口に姿を現すと、俺を見た李煌さんの顔が安心したように綻んだ。
「遅かったね。何かあった?」
「何もないよ。ただ、古い知り合いに会ったから少し話してた」
「そうだったんだぁ。今日大勢見に来てたもんね。もしかして、小学校の頃の?」
俺達は学校を出て街へと向かう。
「うん。久し振り過ぎて驚いたけど、元気そうだった。俺を水泳に誘ってくれた奴なんだ」
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さすがにさっきの会話の内容までは話せないが……。
「そっか。それなら会ってみたかったなー」
「え? 何で……?」
「だって、大河くんを支えてくれた人でもあるわけでしょ? お礼、言いたいじゃない」
ニコッと笑みを浮かべる李煌さん。
そんなことを当たり前のように言われると、どう反応していいのか分からなくなる。
こういうのは本当に慣れない。
俺は無言のまま視線を前に向ける。
「あ、今照れたでしょ」
「はっ!?」
ギョッとして視線を彼に戻す。
「気付かれないと思ったのー? 何年、君のことを見て来たと思ってるのさ」
冗談めかし込んで言う李煌さんも、少し照れているようだ。
そんな李煌さんに口元が綻ぶ。
「そりゃ照れるよ。李煌さんにそんな風に言われたらね」
「あ、開き直ったね? もっと見ていたかったのになぁ」
「ダメだよ。貴重なんだから」
「自分で言うことなの?」
可笑しそうに笑う李煌さんを微笑ましく見つめた。
そして、街まで来た俺達は、アクセサリーショップに立ち寄った。
「何をプレゼントしてくれるの?」
「李煌さん」
「何?」
李煌さんに手を差し出す。
「左手貸して」
「? うん」
掌に乗った綺麗な李煌さんの左手を軽く掴み、薬指にスッと指輪を通す。
「え……大河くん!?」
「うん、ピッタリだな。これ買ってくるから待ってて」
意味を理解して顔を真っ赤に染めた李煌さんに背を向けて会計を済ませた。
店を出てからも李煌さんは落ち着きなくそわそわしている。
(これはあまり人に見せたくないな)
目に留まった自動販売機で温かい飲み物を買い、近くの公園に立ち寄った。
「李煌さん」
「なっ、何?」
「そこ座って。外で寒いかもしれないけど……」
言われるままにベンチに座った李煌さんの隣に、俺も腰を下ろした。
冬はほとんど人気のない公園だ。
人目を気にせず渡すには丁度いい。
気持ちを落ち着かせたくてホットミルクティーを李煌さんに差し出す。
それを嬉しそうに飲む気配に、俺も緊張が解けて来た。
俺は買ったばかりの指輪を袋から取り出す。
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