53 / 62
脱却3
3-2
しおりを挟む
(何が大丈夫なのかまったく分からん……)
とはいえ、そろそろ始業式が始まる時間だ。
唐木を信じたわけじゃないが、後に続いて教室へ……。
時間が迫っているのだから、変に絡まれることはないだろう。
始業式が終わり、ホームルームも終了して今日は半日で終業した。
そのあとは、部によってまちまちだが活動を開始する部活もある。
水泳部は着替えてプールサイドに集合する予定になっていた。
俺はもちろん、部活がなかったとしても一人で泳ぐつもりで水着持参だ。
(泳いでる間になんとか頭ん中整理して、今日中にはアイツに打ち明けたい。……が、簡単に済めばいいけどな……)
この気の重さも今日で終わってくれれば非常に有り難い。
(いつまでも、李煌さんを不安にさせるわけにはいかないからな)
早々と教室を出て更衣室に向かった。
水着の上にジャージを羽織り、プールサイドに来ると、後から唐木も追いついて来た。
「ふぅ……間に合った。もーっ! 一人で行っちゃうことないじゃない!」
俺に向かって剥れる唐木に眉を寄せる。
「お前、クラスの奴と喋ってただろ。邪魔しちゃ悪いと思ったんだ」
「だからって声も掛けずに行く!?」
「行く。っつか、女の群れじゃねえんだから、そんなことで一々怒るなよ」
「な、なんか大河が冷たいっ……。僕何かしたっけ?」
一瞬息を呑んだ
どうにかしなければと思う余り、つい棘のある言い方をしてしまった。
「――……いや、ごめん」
「? ……大河?」
不思議そうに俺を見る視線が少し辛い。
「お前は何もしてないから、気にしなくていい」
「本当に? 本当の本当に?」
「しつこいぞ。俺が言ってること信用できねぇのか?」
「できる! けど、さ……」
腑に落ちない様子の唐木に、どうしたものかと目を眇める。
(……逆にチャンスかもな。ここで切り出せばこっちのもんだ)
「なあ、唐木。部活終わったら少し付き合ってくれ」
「……え?」
唐木の不満そうな顔は、鳩が豆鉄砲を喰らったようなそれに変わった。
「少し話したい事がある」
「……うん、分かったよ。着替えたら待ってる」
さっきまでとは打って変わり、静かで落ち着いた声音には敢えて触れないでおく。
俺の声や態度から、あまり良い話ではないと察したのかもしれない。
――……。
カチャっ……。
「お、相見」
「……?」
「唐木が昇降口で待ってるってさ」
「……分かった。ありがとう」
更衣室に入ると、丁度出て行く部員に伝言を受け取った。
唐木と一緒に部活を終えるのが気まずくて、一番最後まで残って泳いでいたのだが、そんな俺の気持ちを汲み取ってアイツは更衣室から出て待ってくれているのだろう。
(色々、気ぃ回し過ぎだよな……アイツも……)
ポタポタと、髪から滴り落ちる水滴をタオルで拭きながら、誰もいない更衣室で小さく息を吐いた。
とはいえ、そろそろ始業式が始まる時間だ。
唐木を信じたわけじゃないが、後に続いて教室へ……。
時間が迫っているのだから、変に絡まれることはないだろう。
始業式が終わり、ホームルームも終了して今日は半日で終業した。
そのあとは、部によってまちまちだが活動を開始する部活もある。
水泳部は着替えてプールサイドに集合する予定になっていた。
俺はもちろん、部活がなかったとしても一人で泳ぐつもりで水着持参だ。
(泳いでる間になんとか頭ん中整理して、今日中にはアイツに打ち明けたい。……が、簡単に済めばいいけどな……)
この気の重さも今日で終わってくれれば非常に有り難い。
(いつまでも、李煌さんを不安にさせるわけにはいかないからな)
早々と教室を出て更衣室に向かった。
水着の上にジャージを羽織り、プールサイドに来ると、後から唐木も追いついて来た。
「ふぅ……間に合った。もーっ! 一人で行っちゃうことないじゃない!」
俺に向かって剥れる唐木に眉を寄せる。
「お前、クラスの奴と喋ってただろ。邪魔しちゃ悪いと思ったんだ」
「だからって声も掛けずに行く!?」
「行く。っつか、女の群れじゃねえんだから、そんなことで一々怒るなよ」
「な、なんか大河が冷たいっ……。僕何かしたっけ?」
一瞬息を呑んだ
どうにかしなければと思う余り、つい棘のある言い方をしてしまった。
「――……いや、ごめん」
「? ……大河?」
不思議そうに俺を見る視線が少し辛い。
「お前は何もしてないから、気にしなくていい」
「本当に? 本当の本当に?」
「しつこいぞ。俺が言ってること信用できねぇのか?」
「できる! けど、さ……」
腑に落ちない様子の唐木に、どうしたものかと目を眇める。
(……逆にチャンスかもな。ここで切り出せばこっちのもんだ)
「なあ、唐木。部活終わったら少し付き合ってくれ」
「……え?」
唐木の不満そうな顔は、鳩が豆鉄砲を喰らったようなそれに変わった。
「少し話したい事がある」
「……うん、分かったよ。着替えたら待ってる」
さっきまでとは打って変わり、静かで落ち着いた声音には敢えて触れないでおく。
俺の声や態度から、あまり良い話ではないと察したのかもしれない。
――……。
カチャっ……。
「お、相見」
「……?」
「唐木が昇降口で待ってるってさ」
「……分かった。ありがとう」
更衣室に入ると、丁度出て行く部員に伝言を受け取った。
唐木と一緒に部活を終えるのが気まずくて、一番最後まで残って泳いでいたのだが、そんな俺の気持ちを汲み取ってアイツは更衣室から出て待ってくれているのだろう。
(色々、気ぃ回し過ぎだよな……アイツも……)
ポタポタと、髪から滴り落ちる水滴をタオルで拭きながら、誰もいない更衣室で小さく息を吐いた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
本気になった幼なじみがメロすぎます!
文月あお
BL
同じマンションに住む年下の幼なじみ・玲央は、イケメンで、生意気だけど根はいいやつだし、とてもモテる。
俺は失恋するたびに「玲央みたいな男に生まれたかったなぁ」なんて思う。
いいなぁ玲央は。きっと俺より経験豊富なんだろうな――と、つい出来心で聞いてしまったんだ。
「やっぱ唇ってさ、やわらけーの?」
その軽率な質問が、俺と玲央の幼なじみライフを、まるっと変えてしまった。
「忘れないでよ、今日のこと」
「唯くんは俺の隣しかだめだから」
「なんで邪魔してたか、わかんねーの?」
俺と玲央は幼なじみで。男同士で。生まれたときからずっと一緒で。
俺の恋の相手は女の子のはずだし、玲央の恋の相手は、もっと素敵な人であるはずなのに。
「素数でも数えてなきゃ、俺はふつーにこうなんだよ、唯くんといたら」
そんな必死な顔で迫ってくんなよ……メロすぎんだろーが……!
【攻め】倉田玲央(高一)×【受け】五十嵐唯(高三)
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる