染まらない花

煙々茸

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脱却3

3-1

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 冬休みが終わり、三学期が始まった。
 唐木とは同じクラスだから、顔を合わせないわけにはいかない。
(違うクラスだったとしても、逃げるわけにはいかないからな……。部活も同じだし、チャンスはいくらでもあるか)
 今日は朝練が休みで、重い足を教室へと向けた。
「あ、相見くんおはよー」
 教室に入ると、逸早く俺に気付いたクラスメイトの女子が声をかけてきた。
「……おはよ」
「相見くんは初詣行った?」
 俺の席にまでついて来た女子が、少し興奮気味に話す。
「相見くんってあんまりイメージないけど、見かけたって子がいてさぁ」
(見かけた? まあ、あの人出だし、知人に見られないって方がおかしいか)
 現に唐木とバッタリ会ってしまったわけだし。
「見たって言うなら、そうなのかもな」
「へ? 本当に行ったんだあ!?」
 そんなに驚くほど意外だろうか。
 机に肘を立てて頬杖を突く。
(俺を見たなら、李煌さんのことも見ているはずだよな。変に突っ込まれなきゃいいけど……)
「なになに? 何の話してんのー?」
 騒ぎを聞き付けてクラスの女子が数人集まって来た。
 正直、煩い。
 俺は気にしない振りをして窓の外へ視線を投げた。
 そんな俺にはお構いなしに話は進む。
「初詣の話―。相見くんも行ったんだって」
「そうなの? バッタリ会えればラッキーだったのにー!」
「袴だったとか?」
(そんな面倒なもの着るわけないだろ)
 と、心中で突っ込んでおく。
「ううん、見かけたって子に聞いたけど袴じゃなかったよ。――ね? 相見くん」
(俺に話を振るな)
 とはいえ、俺の話をしているならそうもいかないんだろう。
「……ああ」
 俺の返答に周りの女子があからさまに肩を落とした。
「そっかー、残念。袴だったら絶対写メ撮ってたよね」
「うんうん! 転送希望する!」
(それは盗撮だろ。新年早々犯罪に手を染める気か。女って怖いな)
 素っ気ない突っ込みもそこそこに、俺は席を立った。
 女子の視線に背中を刺されながらも、教室を出て廊下の窓際に凭れる。
 寒いけど、無性に泳ぎたい気分だ。
 一人でのんびりと、静かに……――。
「大河―? 何してるの? 廊下なんかで……」
(っ!?)
 油断していたところに、あろうことか唐木に声をかけられて体がビクついてしまった。
「え、なに? ちょっと驚き過ぎじゃない?」
「ごめん。なんでもないんだ」
「そう? まあいいけど。おはようとあけおめー」
「……おはよ」
「中入らないの? ここ、寒いでしょ」
「あー……まぁ、入りたいのは山々なんだが……」
 チラリと教室へ視線を向ける。
 ここからじゃ見えないが、室内は落ち着いているようには感じた。
「え……。んー、大丈夫だよ。僕も一緒だからさ」
 俺の様子に何かを察したのか、軽くウインクをこっちに投げて教室へ入って行く唐木。
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