真実の愛に目覚めた伯爵令嬢と公爵子息

藤森フクロウ

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プロローグ

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 一度目の転機は六歳の頃。
 お母様が死んでしまったとき。
 
 二度目の転機は、私が十歳の頃。
 あの日、あの時の運命の出会い。


 当時、十六になった異母姉がマルセルという使用人と駆け落ちをしたことが発端だ。
 タチアナは濃い黄金をたっぷりと優雅に巻き、それに劣らぬくっきりと彫りの深い華やかな美貌が印象的な美女だ。そして、男たちを魅了する瑞々しい豊満な肉体が、そこに立つだけで匂い立つような色香が漂う。
 体のメリハリを際立たせるマーメイドドレスを好んで着ているので、妖艶さが芳醇な香りの百合のような人だった。
 マルベリー伯爵家の長女であり、王太子の側近を務める次男のクロード様と婚約している立場であった。
 お世辞にもタチアナお異母姉様は優秀な学力を持ってはいなかったが、非常に華やかで社交的だった。長男へ嫁ぐことは出来なくても、次男を婿入りさせることにより縁故を作るにはうってつけだ。
 だが、異母姉はクロード様のことを物静かで、その、堅物でつまらないとよく詰っておいででした。私は、遠くからしかクロード様を見たことがない。
 背の高い、明るい金髪の人だった。ピンと姿勢が伸びていて、真っすぐ立つ人だな思ったのが印象的。
 引っ込み思案の私は、異母妹のセシリアのようにあの二人に割って入ってご挨拶なんてできなかった。
 そもそも、お父様ですら私の為に挨拶の場を設けて下さらなかったのがよけい惨めで悲しかった。
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