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居場所のない少女
しおりを挟む私は、三姉妹の中で唯一母が違う。
六歳までは、お父様も私を愛してくださったと思う。
でも、お母様が馬車の事故で亡くなられてしまった。そして死んでから半年もしないうちに後妻としてルビアナ義母様をマルベリーの家に住まわせるようになった。
別宅でもなく、本宅に女主人として。
しかも、六歳も年上の異母姉タチアナと半年違いの異母妹セシリアまで連れてきた。
お母様は女伯爵だった。お父様はそういったことが苦手で、お母様の右腕であった家宰がかわりに勤めていた。お爺様の代からいた執事だ。
碌に仕事を引き継げていない状態であったお父様は、仕事に打ち込むより心の穴を埋めるために愛人たちを正式に屋敷に引き入れました。
ショックじゃなかったと言えば嘘になる。
義母も異母姉妹も非常に華やかで美しい人で、私は気後れしてしまった。お父様は三人を非常に歓迎していて、お母様が亡くなって以来久々に明るい顔をしていた。
三人は毎日のように買い物をしてドレスやアクセサリーを買っていた。
使用人たちは誰もが苦い顔。でも、爵位はお父様にあったので叩きだすことはできなかった。
温かく慎ましい家が、派手な調度品で埋まるのが嫌だった。
どんどん居場所がなくなり、屋敷の隅っこで使用人たちに守られながら過ごして一年。
屋敷の状況を知ったお母様方の祖父母がカンカンになって乗り込んできて、凄まじい剣幕で怒鳴り散らしていた。
非常に優秀な強化魔法の使い手の祖父母は、辺境伯の地位を頂いて深き森と呼ばれる魔物の住処から、魔物が入ってこない様に監視し、時には討伐する役割を担っている。
その働きで王家から叙勲を受ける程、大事なお役目。滅多な事では来ない人たちなのですが、その滅多なことが起こったのです。
どんな取り決めがあったかは知らないけれど、その直後に深き森の近くでスタンピードという魔物の大量発生が確認されてお爺様たちは戻っていった。
「もし、何かあったら手紙を出しなさい。すぐに来るからね」
「私たちの可愛い孫、ベアトリーゼ。誇り高きマルベリー血を持つ、エチェカリーナの娘なのだから」
握らされた古い紙。それが魔法のスクロールの手紙だと分かったのは、暫くしてから。
これで手紙を書けば、それが魔法の鳥となって文字通り飛んでいく。
これは生命線だと思って、大事に大事にとっておいた。
(結局、ゴミだと思ったセシリアが捨ててしまったけど)
大事に宝石箱に仕舞って置いたら、部屋に来たセシリアが「お異母姉様、可哀想。こんな紙切れが宝物なんて!」と暖炉にくしゃくしゃにして投げて、代わりにお下がりの宝石を詰めて返してきた。
彼女なりの善意なのが質の悪い。
こういうことは何度もあった。
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