真実の愛に目覚めた伯爵令嬢と公爵子息

藤森フクロウ

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殿方の心は胃袋から掴むのですわ!2

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 バスケットいっぱいにベーグルサンドを詰めて、いざ出発ですわ。
 お話によれば、クロード様は文官が多く在籍している西棟で、日夜職務に当たっているそうです。
 働く男性って素敵! クロード様はもっと素敵!
 丁度騎士団の演習があるらしく、私と同じように王宮にいるご令嬢がちらほら。
 望遠鏡を持って、鍛錬所を覗いておりますわ。
 はいはい、青春青春。アイドルコンサートの様なものですわ。
 髪型……ボンネットに隠れているけど多分ヨシ! お化粧、実はちょっとしてきた! ヨシ! ドレス、クロード様の水色の瞳をイメージしたシルクドレス! ヨシ!
 気合を入れなおし、いざ西棟へ!
 門番さんがいて、私を見るとなんか生ぬるい目。

「お嬢さん、騎士隊の演習をみるならこっちじゃなくてあっちの方がいいですよ」

「いえ、その、えっと、違って……すみません、こちらにクロード様。クロード・ケッテンベル様はいらっしゃいますか?」

 は、恥ずかしい……っ! そう、私は本来とどちらかというと内気……っ
 おどおどとボンネットを結ぶリボンをちょといじってしまう。小さな声でもじもじと言うと怪訝そうな顔をする門番さんたち。

「そりゃ、クロード様はいるが。お嬢さんは?」

「ここここここにゃくしゃでしゅ!」

「コネクション?」

「コニャックショー?」

「こんやくちゃです!」

 噛んだ~! カミカミだー!
 だが、ちゃんと『婚約者』というのは通じたらしくぽかんとする門番さんたち。
 そりゃあ、クロード様のような素敵なジェントルに私のようなお子様は不釣り合いかもしれませんが! 正真正銘婚約者なのです!
 真っ赤になってドキドキしながら待っていると、どえらい神妙な顔をした門番さんたち。

「あれ、ケッテンベルのとこの婚約者ってナイスバディな美女じゃなかったっけ?」

「これはどう見てもロリ事案じゃ?」

「これは通報したほうがいいのか?」

「いや、年齢差は六歳じゃなかった? つまりは合法ロリ?」

「姉のタチアナとは破談となり、妹の私がなったんです!」

「年の差は?」

「じゅ、十二ですぅ!」


「「圧倒的犯罪の香り……っ!」」


 ドン引きの門番二人の空気に、クロード様へのディスりの気配を察知☆
 顔だけ出ているプレートメイルの胸倉をわしづかみ、屈ませてドスの利いた声で諭す。

「私がクロード様に惚れたんじゃ。クロード様悪くない。クロード様になんばしよったらブチ転がすぞ」

「ひえぇ……っ」

「ひょっ」

 なんか二人とも気絶しちゃった。
 まだお昼には早いし、問題起こしたらクロード様の邪魔しちゃう! 人を呼んで、門番さんたちをチェンジしてもらう。お天気がいいから、熱中症かしら?
 次の門番さんたちは怖がらせない様にして、クロード様に取り次いでもらった。
 でも、クロード様は会議中でいらっしゃるみたい。
 一時間くらいかかるから荷物を預かると言われたけれど、お弁当は口実。私はクロード様に会いたいの! なので、一時間待ってまた来ると面会の予約だけした。
 その間、とくに興味ないけど騎士団の演習を眺めることにした。
 騎士団の通る通路周辺に若い十~二十代くらいのご令嬢が鈴なりになっている。
 おさかんじゃのう。
 私はクロード様以外にはパッションが動かないから、キラキラシャラシャラしたイケメンオールスターが闊歩しても全然おもろないわ。
 近くのベンチで、膝にバスケットを持って眺めている。
 騎士ってアイドルなんだっけと思われるくらいキャーキャー歓声が上がっている。

(騎士姿のクロード様……)

 ふと、妄想が疼く。
 あり寄りのアリ。じゅる、と思わず涎が出そうになった。
 クロード様ならきっちりカッチリ着こなすでしょう。
 でも何故でしょうか。騎士なのに、剣じゃなくて鞭を持っていた。
 願望がにじみ出てしまいましたわ、オホホホホ……

 ……どさくさに紛れてとか、乗馬にお誘いしてクロード様WITH鞭のコラボは可能かしら?
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