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ハワイ最終決戦
第62話 追撃部隊
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「一機艦が保有するすべての天山を乙一にぶつけるというのですか」
第一機動艦隊を指揮する小沢長官の戦策に、柳本参謀長が驚き混じりの声を上げる。
これまでの偵察で、太平洋艦隊は六個機動部隊から成ることが分かっていた。
このうちの五つは六隻の護衛空母とそれに八隻の駆逐艦から成り、それらは発見した順に甲一から甲五までの呼称が与えられている。
残る一つは空母が二隻に大型水上打撃艦艇が四隻、それに巡洋艦と駆逐艦が合わせて二〇隻という堂々たる艦隊で、こちらは乙一と呼ばれている。
そして、小沢長官は乙一に持てる対艦打撃戦力のほとんどを集中すると言っているのだ。
「その通りだ。甲一から甲五までの艦隊は鈍足の護衛空母をその基幹戦力としている。だから、彼らの逃げ足はそう速くはない。しかし乙一はその戦力構成から見て明らかに高速機動部隊のそれだ。ひとたび乙一が逃げに転じれば、これを追撃、捕捉するのは極めて困難だ。だから、我々の手が届くうちにこれを始末しなければならん」
現在、太平洋艦隊の各部隊は速度を上げて東へと避退中だ。
最大の武器である艦上機のほとんどを失ったのだから、当然とも言える行動だった。
そして、小沢長官はそれらの中で最も速度性能に優れている乙一に集中攻撃をかけるのだという。
「真っ先に乙一を攻撃することについては、特に異存はありません。ただ、そうなってくると残りの五個機動部隊に対して手が回らない恐れがあります」
乙一を攻撃した場合、天山は相当な損害を被ることは間違いない。
米艦艇の対空能力は並外れているからだ。
相手が大型艦であれば、なおのことだった。
そうであれば、乙一を攻撃した後の天山の可動機はかなりの程度低下することは避けられない。
場合によっては一〇〇機を下回るかもしれない。
そのような状況になれば、残る五個艦隊への攻撃は中途半端なものになってしまう。
「参謀長、我々が空母中心の機動部隊だからといって、なにも飛行機ばかりで戦う必要もあるまい」
小沢長官はそう言って「信濃」の護衛にあたっている巨大戦艦にその視線を向ける。
瞬時に小沢長官の意図を理解した柳本参謀長もまた、その表情に苦笑の色を浮かべる。
確かにそうなのだ。
機動部隊の戦力は空母とその艦上機だけではない。
「追撃にあてる戦力はどの程度をお考えですか」
瞬時に思考を切り替えた柳本参謀長が小沢長官に腹案を尋ねる。
柳本参謀長が問うたのは、甲一から甲五までの五個機動部隊に差し向ける戦力のことだ。
「護衛の戦艦と巡洋艦を基幹とし、それに一個駆逐隊をあてがうつもりだ」
第三艦隊から第七艦隊までの五個機動部隊には空母の護衛としてそれぞれ数隻の巡洋艦と一〇隻前後の駆逐艦が配備されている。
さらに、第三艦隊には「大和」と「武蔵」、第七艦隊には「長門」と「陸奥」の姿もあった。
一方、甲一から甲五までの機動部隊にはそれぞれ空母の護衛に八隻の駆逐艦しか伴っていなかったから、追撃戦力としては十分だろう。
「『大和』と『武蔵』、それに『長門』と『陸奥』の脚では少々厳しいかもしれませんな」
「大和」と「武蔵」は二七ノット、「長門」と「陸奥」は二五ノットを発揮できるが、しかし巡洋艦や駆逐艦に比べれば鈍足なのは否めない。
柳本参謀長の指摘に、小沢長官は少しばかり考え込む。
相手が劣速の護衛空母であったとしても、「大和」や「武蔵」それに「長門」や「陸奥」ではそれらを捕捉するのにかなりの時間を要することになる。
「『大和』と『武蔵』それに『長門』と『陸奥』については、これらを追撃部隊から除外したほうが無難かもしれんな」
柳本参謀長の意見に同意しつつ、小沢長官は戦艦を除外した場合の追撃部隊の戦力を思い起こす。
「大和」と「武蔵」が不参加だった場合、第三艦隊は重巡が二隻に軽巡が一隻、それに駆逐艦が四隻。
第四艦隊と第五艦隊、それに第六艦隊はそれぞれ重巡が四隻に軽巡が一隻、それに駆逐艦が四隻。
第七艦隊のほうは「長門」と「武蔵」が不参加だった場合には軽巡が三隻に駆逐艦が四隻となる。
第四艦隊それに第五艦隊と第六艦隊はともかく、第三艦隊それに第七艦隊については、やはり戦力不足の感は否めない。
八隻の敵駆逐艦を相手取りつつ護衛空母を叩くには、少しばかり荷が重いかもしれない。
そのことで、小沢長官は柳本参謀長に対して何か良いアイデアはないかと尋ねる。
「第四艦隊から第三艦隊に重巡一隻を回せばいいでしょう。また第五艦隊と第六艦隊からもそれぞれ一隻の重巡を第七艦隊に臨時編入します。そうすれば艦隊ごとの戦力格差はかなりの程度低減されます」
小沢長官は柳本参謀長の具申を吟味する。
もし、彼の言った通りに戦力配分を実施すれば、第三艦隊から第六艦隊までの追撃部隊のほうは重巡が三隻に軽巡が一隻、それに駆逐艦が四隻となる。
残る第七艦隊については、重巡が二隻に軽巡が三隻、それに駆逐艦が四隻といったところだ。
戦力については、ほぼ均等になったと考えてよかった。
ただ、問題もあった。
回転整合すら実施していないなかで、果たして艦隊運動がうまくいくのかということだ。
だから、そのことを尋ねる。
「陣形は単縦陣とし、複雑な艦隊運動はこれを極力避ける方針でいけば、特に問題は生じないと考えます。それに、第四戦隊と第五戦隊、それに第七戦隊の将兵はそのいずれもが激戦を生き抜いてきた猛者ばかりです。きっとうまくやってくれることでしょう」
追撃部隊はそれぞれ一〇隻に満たない小所帯だ。
大艦隊とは違って各艦の自由度も高い。
そして、何より将兵の多くが熟練だ。
そのようなこともあって、柳本参謀長も楽観的でいられるのだろう。
だから、小沢長官も柳本参謀長に習って部下を信じることにする。
同時に参謀らに指示を出す。
「参謀長の考えをベースに追撃部隊の編成を考えてくれ。それが済み次第、同部隊を太平洋艦隊にけしかける」
第一機動艦隊を指揮する小沢長官の戦策に、柳本参謀長が驚き混じりの声を上げる。
これまでの偵察で、太平洋艦隊は六個機動部隊から成ることが分かっていた。
このうちの五つは六隻の護衛空母とそれに八隻の駆逐艦から成り、それらは発見した順に甲一から甲五までの呼称が与えられている。
残る一つは空母が二隻に大型水上打撃艦艇が四隻、それに巡洋艦と駆逐艦が合わせて二〇隻という堂々たる艦隊で、こちらは乙一と呼ばれている。
そして、小沢長官は乙一に持てる対艦打撃戦力のほとんどを集中すると言っているのだ。
「その通りだ。甲一から甲五までの艦隊は鈍足の護衛空母をその基幹戦力としている。だから、彼らの逃げ足はそう速くはない。しかし乙一はその戦力構成から見て明らかに高速機動部隊のそれだ。ひとたび乙一が逃げに転じれば、これを追撃、捕捉するのは極めて困難だ。だから、我々の手が届くうちにこれを始末しなければならん」
現在、太平洋艦隊の各部隊は速度を上げて東へと避退中だ。
最大の武器である艦上機のほとんどを失ったのだから、当然とも言える行動だった。
そして、小沢長官はそれらの中で最も速度性能に優れている乙一に集中攻撃をかけるのだという。
「真っ先に乙一を攻撃することについては、特に異存はありません。ただ、そうなってくると残りの五個機動部隊に対して手が回らない恐れがあります」
乙一を攻撃した場合、天山は相当な損害を被ることは間違いない。
米艦艇の対空能力は並外れているからだ。
相手が大型艦であれば、なおのことだった。
そうであれば、乙一を攻撃した後の天山の可動機はかなりの程度低下することは避けられない。
場合によっては一〇〇機を下回るかもしれない。
そのような状況になれば、残る五個艦隊への攻撃は中途半端なものになってしまう。
「参謀長、我々が空母中心の機動部隊だからといって、なにも飛行機ばかりで戦う必要もあるまい」
小沢長官はそう言って「信濃」の護衛にあたっている巨大戦艦にその視線を向ける。
瞬時に小沢長官の意図を理解した柳本参謀長もまた、その表情に苦笑の色を浮かべる。
確かにそうなのだ。
機動部隊の戦力は空母とその艦上機だけではない。
「追撃にあてる戦力はどの程度をお考えですか」
瞬時に思考を切り替えた柳本参謀長が小沢長官に腹案を尋ねる。
柳本参謀長が問うたのは、甲一から甲五までの五個機動部隊に差し向ける戦力のことだ。
「護衛の戦艦と巡洋艦を基幹とし、それに一個駆逐隊をあてがうつもりだ」
第三艦隊から第七艦隊までの五個機動部隊には空母の護衛としてそれぞれ数隻の巡洋艦と一〇隻前後の駆逐艦が配備されている。
さらに、第三艦隊には「大和」と「武蔵」、第七艦隊には「長門」と「陸奥」の姿もあった。
一方、甲一から甲五までの機動部隊にはそれぞれ空母の護衛に八隻の駆逐艦しか伴っていなかったから、追撃戦力としては十分だろう。
「『大和』と『武蔵』、それに『長門』と『陸奥』の脚では少々厳しいかもしれませんな」
「大和」と「武蔵」は二七ノット、「長門」と「陸奥」は二五ノットを発揮できるが、しかし巡洋艦や駆逐艦に比べれば鈍足なのは否めない。
柳本参謀長の指摘に、小沢長官は少しばかり考え込む。
相手が劣速の護衛空母であったとしても、「大和」や「武蔵」それに「長門」や「陸奥」ではそれらを捕捉するのにかなりの時間を要することになる。
「『大和』と『武蔵』それに『長門』と『陸奥』については、これらを追撃部隊から除外したほうが無難かもしれんな」
柳本参謀長の意見に同意しつつ、小沢長官は戦艦を除外した場合の追撃部隊の戦力を思い起こす。
「大和」と「武蔵」が不参加だった場合、第三艦隊は重巡が二隻に軽巡が一隻、それに駆逐艦が四隻。
第四艦隊と第五艦隊、それに第六艦隊はそれぞれ重巡が四隻に軽巡が一隻、それに駆逐艦が四隻。
第七艦隊のほうは「長門」と「武蔵」が不参加だった場合には軽巡が三隻に駆逐艦が四隻となる。
第四艦隊それに第五艦隊と第六艦隊はともかく、第三艦隊それに第七艦隊については、やはり戦力不足の感は否めない。
八隻の敵駆逐艦を相手取りつつ護衛空母を叩くには、少しばかり荷が重いかもしれない。
そのことで、小沢長官は柳本参謀長に対して何か良いアイデアはないかと尋ねる。
「第四艦隊から第三艦隊に重巡一隻を回せばいいでしょう。また第五艦隊と第六艦隊からもそれぞれ一隻の重巡を第七艦隊に臨時編入します。そうすれば艦隊ごとの戦力格差はかなりの程度低減されます」
小沢長官は柳本参謀長の具申を吟味する。
もし、彼の言った通りに戦力配分を実施すれば、第三艦隊から第六艦隊までの追撃部隊のほうは重巡が三隻に軽巡が一隻、それに駆逐艦が四隻となる。
残る第七艦隊については、重巡が二隻に軽巡が三隻、それに駆逐艦が四隻といったところだ。
戦力については、ほぼ均等になったと考えてよかった。
ただ、問題もあった。
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だから、そのことを尋ねる。
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大艦隊とは違って各艦の自由度も高い。
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そのようなこともあって、柳本参謀長も楽観的でいられるのだろう。
だから、小沢長官も柳本参謀長に習って部下を信じることにする。
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