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王太子フィリップの後悔と絶望編 第六章 実力で勝負する決意
しおりを挟むライバルたちの存在を知り、打ちひしがれたフィリップ。
だが、ただ嘆いているだけでは何も変わらない。
「……いや、このままでは終われない。僕だって、彼女に相応しい男になってみせる!」
ついに王太子は、人生で初めて本気の努力を決意した。
---
◆自己改革の決意
「まずは勉強だ! エリアナと語り合える知識を身につける!」
彼は従者に命じ、王立図書館から医学書や農学書、工学書を山のように持ち込ませた。
机の上は専門書で埋め尽くされ、まるで学者の研究室のようになる。
「よし……まずはこの『基礎化学入門』から……」
自信満々に本を開いたフィリップだったが、十数分後には額に玉のような汗を浮かべていた。
「C₁₀H₁₆N₂O₈……? な、なんだこの呪文は!? 酸化還元? ポリマー? イオン化傾向? わからん、全然わからん!」
彼の悲鳴が夜の王宮に虚しく響き渡る。
---
◆学習の挫折
数日間、必死に勉強を続けるものの、基礎知識がまるでない王太子にとって、専門書はただの暗号だった。
「エリアナは、こんな複雑なことを理解しているのか……? やはり、彼女は天才……」
フィリップは絶望に頭を抱え、机に突っ伏した。
「僕には……やっぱり無理なのか……」
勉強でエリアナに追いつくのは到底不可能だと悟りかけたその時、側近セルジュが進言した。
「殿下、何も学者になる必要はありません。殿下には殿下の武器があるはずです」
「僕の……武器?」
「そうです。政治力です。殿下ならば、エリアナ様の活動に予算や制度面で支援を与えることができる。知識ではなく、権力でお支えすればよろしいのです」
---
◆別のアプローチ
「……そうか! 僕には王太子という立場がある!」
たちまち目を輝かせたフィリップは、セルジュの提案に飛びついた。
「そうだ、僕が直接彼女を支えればいい。彼女の研究に資金を投じ、活動に法的な後押しを与える。そうすれば、きっと感謝してくれるはずだ!」
すぐさま財務局に命じ、エリアナの研究に割り当てられる予算を大幅に増額した。
さらに議会では、医療や衛生に関する法案を次々と提出。
「どうだ! これなら僕にしかできない支援だろう!」
勝ち誇ったように胸を張るフィリップ。
---
◆冷たい現実
数日後、エリアナ本人から感謝の言葉が届けられた。
「フィリップ殿下、ご配慮に感謝いたします。これで研究が一層進めやすくなります。国民のためにも、大きな意義があるでしょう」
手紙を読み上げた瞬間、フィリップは目を潤ませた。
「やはり……僕を見直してくれたんだ……!」
しかし、その後の一文が彼を奈落に突き落とす。
「なお、このご厚意は国王陛下のご判断によるものと承知しております」
「……っ! ち、違う! これは僕の独断でやったことなのに!」
必死に訴えても、彼女の目には「国王の決定」の一部としか映っていなかったのだ。
---
◆自己嫌悪
「なぜだ……なぜ僕は、何をやってもエリアナに届かないんだ……」
手紙を握りつぶし、王太子は深く項垂れた。
「知識でも、力でも、支援でも……僕は彼女に相応しい存在になれない。僕は……王太子でありながら、何も持たぬ哀れな男だったのか……」
夜の宮殿に、王太子の嗚咽が長く響いた。
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