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王太子フィリップの後悔と絶望編 第11章 王位継承権の危機
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◆王宮の重苦しい朝議
王宮の大広間。
いつもならば威厳と華やぎに包まれる場が、今日は異様な緊張に満ちていた。
列席する大臣や貴族たちは口を閉ざし、視線を交わすだけ。
その理由はただ一つ――王太子フィリップの公開拒絶という前代未聞の不祥事だった。
「静まれ」
国王アルフレッド三世の一声で場が凍りつく。
王は深い皺を刻んだ額に怒りを宿し、玉座から立ち上がった。
「皆も知っておろう。昨日、我が子フィリップは、公衆の面前でエリアナ嬢に求婚し、そして拒絶された」
ざわ、と小さなざわめきが走る。
だが王は手を振って黙らせた。
「国の未来を担う王太子が、これほどの醜態を晒すとは……もはや看過できぬ。王族としての資格に疑義ありと判断せざるを得ん」
言葉は冷酷に響き、フィリップの心臓を突き刺した。
---
◆フィリップの弁明
「ち、父上! お待ちください! 僕は……ただ、エリアナの価値をようやく理解し、想いを伝えたかったのです!」
フィリップは慌てて立ち上がり、声を張り上げた。
しかし、その言葉に王の表情はさらに険しくなる。
「想いを伝える? 遅すぎるのだ! 彼女はすでに国の英雄であり、神聖視される存在。愚かにも手放し、再び公衆の場で辱めを受けるなど……王太子の名に泥を塗る以外の何物でもない!」
「うっ……」
フィリップは言葉を失い、喉の奥で声が詰まった。
---
◆弟エドワードの進言
その時、場の空気を切り裂くように声が上がった。
「父上、もし許されるならば……私が一言」
第二王子エドワード。
年若いが、聡明で冷静、そして勤勉なことで知られる弟だった。
「兄上の過ちは国にとって大きな損失です。しかし、国の未来を思うならば、エリアナ様を正しく理解し、その志を支えられる者こそ王太子に相応しいのではないでしょうか」
その言葉に大臣たちは深く頷いた。
すでに彼らの心は動いていたのだ。
---
◆国王の宣告
国王は重々しく息を吐き、広間を見渡した。
「……よかろう。議を尽くすまでもない。フィリップ、お前から王太子位を剥奪する」
「な……!?」
フィリップは膝から崩れ落ちた。
耳鳴りがして、国王の次の言葉が遠くに聞こえる。
「今より、エドワードを新たな王太子に任ずる。異議ある者はおるか?」
広間に沈黙が落ちる。
誰一人、反対の声を上げなかった。
---
◆貴族たちの手のひら返し
「さすがはエドワード殿下!」
「これで王国の未来は安泰ですな」
昨日までフィリップに忠誠を誓っていた貴族たちが、次々とエドワードの元に駆け寄る。
その姿は、フィリップにとって何よりも屈辱だった。
「お前たち……! 昨日まで私を支持していたではないか!」
彼の叫びに、誰も答えない。
ただ冷笑が返ってくるだけだった。
---
◆完全な孤立
「フィリップ」
玉座からの父王の声は、冷たくも哀れみを含んでいた。
「お前の愚かさは取り返しがつかぬ。だが王家の血を引く者ゆえ、命までは取らぬ。……だがこれより先、お前に居場所はないと思え」
「……っ」
肩書を失った瞬間、フィリップはただの「愚か者」として晒される存在となった。
---
◆弟エドワードの誓い
「兄上……」
退廷するフィリップの背に、エドワードが静かに呟いた。
「私は必ず、エリアナ様と共に国を良くしてみせます」
その言葉は、兄への宣告であり、同時に決意の証だった。
――かつての王太子はその背に何も言えず、ただ絶望の闇へと沈んでいった。
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