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王太子フィリップの後悔と絶望編 第12章 最後の悪あがき
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◆陰謀の芽生え
王太子位を失ったフィリップは、誰もいない薄暗い部屋にうずくまっていた。
机の上には散らばった酒瓶、破り捨てられた文書。
「……このままでは、俺はただの愚か者として一生を終える……」
焦燥と絶望に駆られ、ふと頭をよぎったのは卑しい考えだった。
「そうだ……エリアナの評判を落とせば……彼女を持ち上げる空気も変わる。そうすれば、まだ俺にも……」
しかし、その言葉を聞いた側近のひとりが立ち上がり、毅然と告げる。
「殿下、それは決してなりません! 国民がどれだけエリアナ様を敬っているか、ご存じでしょう。もしそんなことをすれば……国民は殿下を許さぬどころか、暴動すら起こしかねません」
「……!」
フィリップは言葉を失った。
かつて自分を諫めることなどしなかった家臣が、今では正面から否定してくる。
それほど彼の地位と信頼は失墜していた。
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◆国外逃亡の妄想
「ならば……国外に出るしかないか」
彼は地図を広げ、隣国を睨んだ。
「他国なら、俺を迎え入れてくれるだろう。王族の肩書さえあれば……」
だが側近は苦笑した。
「殿下、残念ながら……隣国でも『愚かなる王子』としての噂は広がっております。
エリアナ様の名声はすでに国境を越えました。どこに行こうとも、殿下はただの笑い者にしか……」
「な、何だと……!」
逃げ場はない。
国外ですら、彼を待っているのは冷笑と軽蔑だった。
---
◆出家の考え
追い詰められたフィリップは、やがて修道院への出家を口にする。
「ならば……修道院に入るしか……すべてを捨て、祈りの中で罪を償う……」
しかしその言葉を聞いた老執事が、静かに首を振った。
「殿下、それはただの逃避にすぎませぬ。罪を償うとおっしゃるなら、なぜ国のために生きようとなさらぬのです」
「国の……ために?」
「はい。殿下にはもはや権力も信頼も残されておりません。ですが……せめて一市井の人間として汗を流し、民を支えることはできましょう」
その言葉にフィリップは愕然とした。
自分が「王子」であること以外、何もしてこなかった事実を突きつけられたのだ。
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◆完全なる孤立
やがて側近の一人、また一人と彼の元を去っていった。
「殿下に仕える意味はもうない」と言い残して。
信じていた家臣すら残らず、気づけば部屋には自分一人だけ。
「……俺には……何もないのか……」
虚ろな声が、石造りの壁に虚しく響いた。
王太子としての威光を失い、逃げ場もなく、祈りにすがることすら許されない。
それでもフィリップは、最後の執念に縋りついた。
「まだ……まだだ。俺を見捨てるな……エリアナ……!」
もはや滑稽なほどに哀れな姿。
彼の「悪あがき」は、誰からも顧みられることなく、ただ孤独の中で空しく燃え続けるしかなかった。
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