51 / 62
ショタ萌え炸裂編 第一章 隣国の王子様は、可愛さで世界を救う?
しおりを挟む
砂漠の国――アリディア王国に到着した瞬間、エリアナは思わず目を細めた。
刺すような日差し、照りつける熱風、どこまでも乾いた大地。
「……これは、予想以上に深刻ですわね」
遠くから見えていたオアシス都市サハラディンも、近づくにつれてその苦しさが見えてきた。かつては青々とした椰子の木が並び、人々の笑い声が響いていたと聞く。しかし今は井戸に並ぶ長蛇の列、やせ細った牛馬、痩せた顔で水瓶を抱える子供たちの姿ばかりが目につく。
国王の依頼――水源問題の解決。その重大さを、エリアナは改めて痛感した。
「私が……この国を救わなければ」
使命感と同時に、胸の奥に不思議な緊張感が走る。なぜなら、この国で彼女を出迎えるのは、まだ幼い第一王子だと聞かされていたからだ。
城門を抜けると、そこに立っていたのは――
「エリアナお姉様、ようこそアリディアへ」
澄んだ声とともに、黄金色の髪を風に揺らす小さな少年。まだ五歳のはずなのに、しっかりした立ち振る舞いで、両手を胸の前で合わせて深々とお辞儀をしている。
――ちょ、ちょっと待って。
なにこの可愛い生き物!?
冷静を装いつつも、エリアナの内心はすでに大騒ぎだった。
「お目にかかれて光栄です、レオナルド殿下」
「そんな……僕はまだ子供ですから。どうか気軽に“レオ”と呼んでください!」
にぱっと笑う笑顔。その瞬間、エリアナの心臓は射抜かれた。
(な、なんなのこの破壊力……。小さな歯を見せて笑うとか反則……尊い……! 日記に書かなきゃ、これは絶対に書き留めなきゃ!)
必死で表情を保ちつつも、心の中ではオタク全開で転げ回るエリアナであった。
歓迎の場が終わり、エリアナはすぐに水源問題の説明を受ける。
聖なる泉「アクア・ヴィータ」の枯渇。干ばつによる水不足。井戸が次々に干上がり、国民の生活は危機に瀕している。
「みんなが困ってるの……僕も、悲しいです」
小さな手で目元を拭うレオナルド。子供らしく涙を我慢している姿に、エリアナは思わず胸を押さえる。
(うわあああ……泣き顔まで可愛い……! いや違う! 今は萌えてる場合じゃなくて、この子がこんなに心を痛めてるなんて……!)
ただの幼児ではない。この国の王子として、国民を思いやる心をすでに持っている。
「レオナルド様……いえ、レオ様。必ず解決策を見つけましょう」
「ほんとに? お姉様ならできるって、僕信じてます!」
小さな手でぎゅっと彼女の指を握る。その温もりに、エリアナは知らず知らず笑みをこぼしていた。
その夜、用意された客間に戻ったエリアナは、机に向かって日記帳を開いた。
『――初日からショタ萌えが止まらない。
笑顔、礼儀正しさ、泣き顔、全部が尊い。
特にあの小さな手で握ってくれた瞬間、心が溶けた。
あれはもう、世界遺産に指定すべきレベル。』
ペン先が止まらない。普段は医学や農学の研究ノートばかりなのに、今日は“萌え語録”が増えていく。
「でも……可愛いだけじゃない。この子の純粋な想いを、絶対に守ってみせる」
窓の外に広がる砂漠の夜空を見上げながら、エリアナは誓う。
明日から始まる水源調査。彼女の頭の中ではすでに、幾つもの可能性が浮かび始めていた。
その時、扉が小さくノックされた。
「お姉様……おやすみなさい」
顔をのぞかせたのは、パジャマ姿のレオナルドだった。小さな体で精一杯のお辞儀をして、ぱたぱたと廊下を走り去る。
「……っ! 可愛い……ッ!!」
エリアナはベッドに倒れ込み、枕を抱えて悶絶した。
これから始まるアリディアでの日々が、彼女にとってどんなに大変でも、きっとかけがえのないものになる――そんな予感とともに。
刺すような日差し、照りつける熱風、どこまでも乾いた大地。
「……これは、予想以上に深刻ですわね」
遠くから見えていたオアシス都市サハラディンも、近づくにつれてその苦しさが見えてきた。かつては青々とした椰子の木が並び、人々の笑い声が響いていたと聞く。しかし今は井戸に並ぶ長蛇の列、やせ細った牛馬、痩せた顔で水瓶を抱える子供たちの姿ばかりが目につく。
国王の依頼――水源問題の解決。その重大さを、エリアナは改めて痛感した。
「私が……この国を救わなければ」
使命感と同時に、胸の奥に不思議な緊張感が走る。なぜなら、この国で彼女を出迎えるのは、まだ幼い第一王子だと聞かされていたからだ。
城門を抜けると、そこに立っていたのは――
「エリアナお姉様、ようこそアリディアへ」
澄んだ声とともに、黄金色の髪を風に揺らす小さな少年。まだ五歳のはずなのに、しっかりした立ち振る舞いで、両手を胸の前で合わせて深々とお辞儀をしている。
――ちょ、ちょっと待って。
なにこの可愛い生き物!?
冷静を装いつつも、エリアナの内心はすでに大騒ぎだった。
「お目にかかれて光栄です、レオナルド殿下」
「そんな……僕はまだ子供ですから。どうか気軽に“レオ”と呼んでください!」
にぱっと笑う笑顔。その瞬間、エリアナの心臓は射抜かれた。
(な、なんなのこの破壊力……。小さな歯を見せて笑うとか反則……尊い……! 日記に書かなきゃ、これは絶対に書き留めなきゃ!)
必死で表情を保ちつつも、心の中ではオタク全開で転げ回るエリアナであった。
歓迎の場が終わり、エリアナはすぐに水源問題の説明を受ける。
聖なる泉「アクア・ヴィータ」の枯渇。干ばつによる水不足。井戸が次々に干上がり、国民の生活は危機に瀕している。
「みんなが困ってるの……僕も、悲しいです」
小さな手で目元を拭うレオナルド。子供らしく涙を我慢している姿に、エリアナは思わず胸を押さえる。
(うわあああ……泣き顔まで可愛い……! いや違う! 今は萌えてる場合じゃなくて、この子がこんなに心を痛めてるなんて……!)
ただの幼児ではない。この国の王子として、国民を思いやる心をすでに持っている。
「レオナルド様……いえ、レオ様。必ず解決策を見つけましょう」
「ほんとに? お姉様ならできるって、僕信じてます!」
小さな手でぎゅっと彼女の指を握る。その温もりに、エリアナは知らず知らず笑みをこぼしていた。
その夜、用意された客間に戻ったエリアナは、机に向かって日記帳を開いた。
『――初日からショタ萌えが止まらない。
笑顔、礼儀正しさ、泣き顔、全部が尊い。
特にあの小さな手で握ってくれた瞬間、心が溶けた。
あれはもう、世界遺産に指定すべきレベル。』
ペン先が止まらない。普段は医学や農学の研究ノートばかりなのに、今日は“萌え語録”が増えていく。
「でも……可愛いだけじゃない。この子の純粋な想いを、絶対に守ってみせる」
窓の外に広がる砂漠の夜空を見上げながら、エリアナは誓う。
明日から始まる水源調査。彼女の頭の中ではすでに、幾つもの可能性が浮かび始めていた。
その時、扉が小さくノックされた。
「お姉様……おやすみなさい」
顔をのぞかせたのは、パジャマ姿のレオナルドだった。小さな体で精一杯のお辞儀をして、ぱたぱたと廊下を走り去る。
「……っ! 可愛い……ッ!!」
エリアナはベッドに倒れ込み、枕を抱えて悶絶した。
これから始まるアリディアでの日々が、彼女にとってどんなに大変でも、きっとかけがえのないものになる――そんな予感とともに。
38
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄され追放されましたが、隣国の氷の公爵様に“白い結婚”を提案されましたので、心穏やかに幸せになりますわ
鷹 綾
恋愛
婚約破棄されたその日、私は“追放令”も同時に宣告された。
王太子エドモンド殿下曰く、
「君のように冷たい女はいらない。真実の愛は聖女ローザだ」──と。
……それなら結構ですわ。
捨ててくださって、ありがとうございます。
行く宛もなく王都を去った私を拾ったのは、
冷徹と噂される若き宰相代理アレクシス様。
「俺と“白い結婚”をしないか。
互いの自由を侵さない、契約だけの結婚だ」
恋愛感情は一切なし。
――そんなはずだったのに。
料理を褒めてくれる優しい声。
仕事帰りにかけてくれる「ただいま」。
私の手をそっと包む温もり。
気づけば、契約のはずの彼との距離が、少しずつ近づいていく。
そんな折──王太子と偽聖女ローザが私を“罪人”に仕立て上げ、
祝福の儀の場で公開断罪しようと企む。
「セレナに触れるな。……彼女は、俺の妻だ」
アレクシス様が壇上で剣を抜いた瞬間、
私の世界は大きく動き出した。
偽りの聖女は暴かれ、王太子は没落。
追放された令嬢の“ざまぁ”が王都を駆け巡る中、
契約で始まった白い結婚は――本物の夫婦の誓いへと変わっていく。
これは、
捨てられた令嬢が“本当の幸せ”をつかみ取る、
大逆転のラブストーリー。
---
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした
あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。
しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。
エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。
薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。
――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。
本物聖女の力は無力でした ――見世物レベルの聖女のおかげで婚約破棄されました――**
鷹 綾
恋愛
魔法が存在しないと信じられていた世界に、
突如として現れた「本物の聖女」。
空中浮遊、瞬間移動、念動力――
奇跡を披露した平民の少女は、たちまち市民の熱狂を集め、
王太子はその力に目を奪われる。
その結果、
王太子の婚約者だった公爵令嬢アストリアは、
一方的に婚約を破棄されてしまった。
だが、聖女の力は――
・空中浮遊は、地上三十センチ
・瞬間移動は、秒速一メートル
・念動力は、手で持てる重さまで
派手ではあるが、実用性は乏しい。
聖女の力は、見世物レベル。
少なくとも、誰もがそう判断していた。
それでも人々は喝采し、
権威は少女を縛り、
「聖女」という立場だけが一人歩きしていく。
そんな中、婚約破棄された公爵令嬢アストリアは、
ある違和感に気づき始める。
――奇跡よりも、奪われているものがあることに。
派手な復讐はない。
怒鳴り返しもしない。
けれど静かに、確実に、
“正しさ”は明らかになっていく。
見世物にされた奇跡と、
尊厳を取り戻す少女たちの物語。
---
【完結】異世界から来た聖女ではありません!
五色ひわ
恋愛
ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。
どうすれば良いのかしら?
ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。
このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。
・本編141話
・おまけの短編 ①9話②1話③5話
家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
日下奈緒
恋愛
そばかす令嬢クラリスは、家族に支度金目当てで成り上がり伯爵セドリックに嫁がされる。
だが彼に溺愛され家は再興。
見下していた美貌の妹リリアナは婚約破棄される。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
【完結】動物と話せるだけの少女、森で建国して世界の中心になりました
なみゆき
ファンタジー
ミナ・クローバーは、王国で唯一の“動物使い”として王宮のペットたちを世話していたが、実は“動物語”を理解できる特異体質を持つ少女。その能力を隠しながら、動物たちと心を通わせていた。
ある日、王女の猫・ミルフィーの毒舌を誤訳されたことがきっかけで、ミナは「動物への不敬罪」で王都を追放される。失意の中、森へと向かったミナを待っていたのは、かつて助けた動物たちによる熱烈な歓迎だった。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる