スナイパー・イズ・ボッチ ~一人黙々とプレイヤースナイプを楽しんでいたらレイドボスになっていた件について~

空松蓮司

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第40話 C級ランクマッチ開幕!

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 2047年8月6日 8月第1期C級ランクマッチ当日。

 『スペース・ステーション ch.ex1』、ましゅまろスマイルオペレーター室。
 シーナさん、ニコさん、チャチャさん、そして僕。全員がオペレーター室に揃っている。

 スタートまであと10分。39時にゲームは始まる。
 準備は完了している。ダストミラージュも装備済みだ。ダストミラージュは拠点では消耗しないから今の内から装備しても問題ない。

「……」

 ニコさんはソファーの上で座禅を組んで、瞑想している。

「……凄い集中力」
「……様になってるでしょ?」
「……は、はい」
「……ニコっちは寺の子だからね~。座禅はお手の物だよ」

 意外! ごりっごりのシティーガールだと思ってた。

「シーナさんは……お勉強、ですか?」

 シーナさんはタブレットにタッチペンで何かを書き込んでいる。

「アレはフラッシュ暗算だよ」

 フラッシュ暗算とは画面に次々と表示される数字を足し算したり引き算したりするもの。テレビで何度か見たことはあるけど……。

「アレがシーナさんのルーティーンってやつですか……」
「そだね。大切な試合の前にはいつもやってるよ」

 リラックスするどころか、逆に頭が疲れちゃいそうだけどなぁ。

「シキっちょはないの? そういうルーティーン的なやつ」
「ええ、特には。強いて言うなら……これですかね」

 チャチャさんと並んで座っていたソファーから立ち上がり、部屋の隅に体を向けて、体育座りする。

「……シキっちょ、それなに?」
「隅っこ座りです。こうすると心が落ち着きます」

 壁と対面しているのが1番楽だ。

「さて、そろそろですね。皆さん、集合してください」

 シーナさんの号令で全員が部屋の中心に集まる。

「では……」

 スッと、シーナさんが右手を出す。

「? なにこの手」
「ぼ、僕にもわからないです」
「なになに? なんかの儀式?」

 シーナさんはなぜか耳まで真っ赤になる。

「……円陣、といえばこう、手を重ねて……掛け声と共に手を上げるものでしょう」
「「「あーっ!」」」

 もちろん、みんなその流れは知っている。
 問題はシーナさんがそのきっかけを作ったことにある。シーナさんはそういうことをするタイプではないから理解が追いつかなかった。

「なによアンタ、まさか今になって『リーダーらしいことしなくちゃ!』とか思ったわけ?」

 ここぞとばかりに弄るニコさん。

「……いけませんか?」
「べっつにー。いいと思うわよ」

 ニコさんは手を重ねる。

「これまでは体育会系を馬鹿にする感じだったもんね~、シーナっちは。チャチャさんはこういうのだーいすき♪」

 チャチャさんも手を重ねる。

(円陣なんて初めてだ……! 緊張するけど……でも、やってみたい)

 僕も手を重ねる。

「それでは――ましゅまろスマイル、ファイ、オー!!」
「「「オー!!!」」」

 全員で手を上げる。同時に、シーナさん以外が笑いだした。

「ははっ! 掛け声、何の捻りもない……!」
「どこまでも真面目だねぇ」
「掛け声はシンプルでいいでしょう」

 同じボッチだからこそシーナさんの頑張りがわかる。ツバサさんにリーダーに相応しくないって言われたこと、気にしてたのかな。

 ど、どうしよう。声、掛けてあげたい。頑張ったねって、褒めてあげたい。ぼ、僕の方がお姉さんなんだし……!

「……し、シーナさん!」
「シキさん、どうしました?」
「その……とっても、かっこよかったです!」
「かっこいい……?」

 しまった! 誉め言葉のチョイス間違えたかも!

「ふふっ。やはり、シキさんは面白いですね」

 中学生らしい、幼い笑顔でシーナさんは言う。

「え、えぇ!? どどど、どこがですかぁ!?」

 ビリ。と青い電流が走る。

「始まりましたね」
「い、いよいよですか」
「っしゃ! やるわよぉ!!」
「サポートは任せてっちょ~」

 体が青い雷に分解される。景色が一転、そして、


『転送終了しました』


 僕が転送された場所は……海の見える街。

『ステージ名・リゾート1。戦闘開始します』
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