31 / 257
第三十一話 ケーキたべたい
しおりを挟む
殻の中へ閉じこもったと思えば、小刻みに揺れだすハリツムリ。
何をしているんだ。
死を悟って絶望した? モンスターが? まさかそんなわけはあるまい。
ぬぐい切れない奇妙な違和感、何かを見逃している気がする。
いや、大丈夫だ。
確実に酸は効いていたし、勝利へ近づいている。 どうせ私の打撃はまともにダメージを与えられないし、それならこの隙にピンクナメクジ共の殲滅に取り掛かろう。
適当に横にいた奴を蹴り飛ばし、口元へカリバーを宛がう。
せり上がってきた粘液はそのまま目の前のカリバーへ、そしてそのまま自身の顔面へと返品された。 私自身半分は倒していて、先ほどの二次被害でも相当数減っている、これで後は消化試合を……
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛……』
またか、慌てて耳をふさぐ。
葉がビリビリと揺れ、波がさざめき沼をかき回す。 殻に入っているせいだろう、少し籠った声のピンクナメクジ招集。
叫びに呼応するように、にょきにょきにょきと相も変わらずピンクの目玉が生え、ゆっくりゆっくりとこちらへ近づいてくる。
まあいい、どうせハリツムリはもうすぐに死ぬんだ。
呼んでくれたナメクジ共は、レベル上げのえさにでもなってもらおう。
―――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 77
HP 96/162 MP 268/375
―――――――――――――――
大量のナメクジのおかげで、レベル自体もこの挑戦前から相当上がっている。
結果論ではあるが、ハリツムリはステータスと比べてそこまで苦戦することもなかった。
カリバーを担ぎ上げ、揺れる葉の上を闊歩。
葉の上に上がってこようとした奴を優先し、丁寧に顔を張り飛ばす。
無機質な電子音と、無感情にレベルアップを告げる声、そして私がカリバーを叩きつける水音だけが交互に響いた。
それにしても酷い揺れだ、酸で葉っぱがボロボロにでもなったのだろうか。
「うわっ……と、と……!?」
ひときわ大きな揺れの後、再度響くハリツムリの絶叫。
これで三度目、もう招集は使えまい。
シャラ……
ひときわ強烈な揺れ。
それは葉だけでなく、ど真ん中に鎮座するハリツムリも同じで、殻に籠ったまま大きくガタガタと揺れていた。
にわかに鼓膜を叩く、不吉な金属音。
違和感が次第に膨らみ、不気味な焦燥感となって喉元を焼く。
まただ。何か、何かがおかしい。何かを見逃しているのに、それが何なのかがわからない。
私は何を見逃している……?
ふと思い浮かんだのは、ハリツムリの名前。
『メタルホイールスネイル』
メタルはいいだろう、金属的なアレだ。
ホイールは輪っか? だろうし、スネイルはまあ、多分カタツムリだとかそんな感じの意味じゃないか。
いや待てよ、なんでホイールなんだ?
見た目からして針まみれだし、ニードルとかじゃないのか。
小さな疑問、その答えはすぐに返ってきた。
「……!?」
私の目に飛び込んできたのは、自身が閉じこもった殻を回転させ、バカみたいな勢いで突っ込んでくるハリツムリ。
その背中には先ほど融かされたはずなのに、堂々と天を穿つ巨大な針。
しかも先刻とは異なり、本体の肉にも生えていたように無数の針が、殻の周りへびっしりと生えている。
ああ、なるほど。
誰がハリツムリはナメクジを呼ぶことしか出来ないって言ったんだ!
さっきの絶叫はナメクジを呼ぶものじゃなく、これを生やすためだったんだ!
「す……『ステップ』! 『ストライク』! 『ステップ』!」
一直線にこちらへ突っ込んでくる化け物を避けるため、即座にストライク走法で距離をとる。
ミチミチと脹脛が悲鳴を上げ、これ以上使えば以前と同じく大怪我に繋がるぞと、全身が私に告げた。
殻に籠りゆらゆらと揺れていたのは、葉の振動を受けていたらではない。
ハリツムリが自ら体を揺らして、殻を動かそうとしていたから。むしろ葉は逆、揺らされている側であった。
ホイールだなんて冗談はやめてほしい、何もかもを踏み潰すその姿は戦車だ。
こうなればもう敵も味方も関係ない。
私の背後をぴったりと追い続け、何もかもを破壊しつくす暴虐の化身へと変わったハリツムリは、その道中にいる蠢くナメクジたちを次々に貫き、踏みつぶし、肉塊へと変えていった。
『合計、レベルが3上昇しました』
何もしていない、ただナメクジたちの間をすり抜け走っているだけなのに、後ろでどんどん踏みつぶされていくせいでレベルが勝手に上がる。
酸が吹き出しその身に塗れ、白煙が吹き出した。 が、関係ない。
融けた針の奥から更に針が生まれ、必死に抵抗するナメクジたちを食らい尽くす。
むしろ酸の力も得て、葉の上に無数の穴を生み出していった。
「はぁっ、冗談はっ、はぁ、よしてほしいっ!」
『合計、レベルが3上昇しました』
逃げるほどに私とあいつの距離は縮まり、たなびく服を回転する針が切り裂く。
このままだと追いつかれる、距離を取らないと……!
「『ステップ』! 『ストライク』! 『ステッ……!?」
視界が後ろに溶け、距離が生まれた瞬間だった。 突然膝から力が抜け、世界がゆっくりと色を失っていく。
やってしまった。
自殺ダッシュ、名の通り使い過ぎれば死へ一直線。
地面に身を叩きつけ、転がる。
致命的な失敗を理解した瞬間、私の背後へあまりに刺激的な影が訪れた。
全身の痛みに耐えて身を持ち上げ、後ろから迫ってくる絶望に息をのむ。
轢くのは一瞬だ。転がっているナメクジの様に急所を外し、一撃では死なない可能性もあった。
だから、確実に殺すのなら殻に籠って潰すのではなく、己の足に生えた針で刺し殺す方がいいと判断したのだろう。
身を隠していた殻から飛び出し、布団の様に私を覆おうと広がるハリツムリ。
「……っ! 『ストライク』ッ!」
ギチィッ!
咄嗟に飛び出た怒号。
衝撃に耐えきれず、情けなく尻餅をつく。
目の前数センチの所まで針が迫り、力が抜ければこのまま死ぬと分かった。
――――――――――――――――
種族 メタルホイールスネイル
名前 クレイス
LV 60
HP 142/1360 MP 0/557
――――――――――――――――
鑑定が指し示すのは、酸により刻一刻と減っていく、既に死を間近にしたハリツムリの姿。
だがこれだけHPがあれば、私を叩き潰し殺すのには何の支障もない。
ふと、力が抜けた。
三秒。
クールタイムでもあり、スキルの導きが続く時間が過ぎたのだ。
「ああぁ……!」
スキルの効果がなくなれば当然、ゆっくりと私を押し潰す巨体。
頬へゆっくりと針が沈み込み、ねっとりとした血が首筋へ垂れていく。
針の先から垂れた粘液が頬を掠め、やけどの跡を残す。
何もかもが痛いはずなのに、溢れんばかりに湧き出すアドレナリンのせいだろうか、何も感じない。
―――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 84
HP 67/176 MP 257/410
―――――――――――――――
視界の端に開かれたステータスが、じりじりとHPの減少を伝えた。
勿論減少速度も、そして現在のHPもカタツムリ以下なので、このまま耐えきるのも不可能。
「『スキル累乗』対象変更っ、『ストライク』ッ! ……ぁあああっ! 『ストライク』ッ!」
カリバーが輝き、虎の子である『累乗ストライク』をその足へと叩き込んだ。
衝撃を受け揺れるも、しかし私から退くまでには至らない。
そしてカリバーが点滅し、ふっと力が抜ける。
ストライクを撃つたび、にわかに状況が好転したかのように見える。
しかし力を切らすたび、ゆっくり、そしてより深く針が肉へ突き刺さっていくのを、私は頬の感触から理解していた。
死ぬのか、私は。
まだ何もできていないのに、まだやることがたくさんあるのに。
遂に足が完全に踏みつぶされ、忘れかけていた激痛が脳天を横殴りにした。
喉から悲鳴が絞り出される。くそっ、私は……!
『レベルが上昇しました』
視界の端でナメクジが溶け、レベルが上がる。
今更上がったところで、どうしろっていうんだ。
―――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 85
HP 23/178 MP 71/415
物攻 175 魔攻 0
耐久 515 俊敏 554
知力 85 運 0
SP 100
スキル累乗LV1→LV2
必要SP:100
―――――――――――――――
どうしろって……こうするしか無いじゃないか……!
『スキル累乗がLV2へ上昇しました』
―――――――――――――――――
スキル累乗 LV2
パッシブ、アクティブスキルに関わらず
任意のスキルを重ね掛けすることが出来る
現在可能回数2
―――――――――――――――――
「……ぁ、ぁぁぁぁあああああああっ! いったいんだよぉぉぉぉおっ! 『ストライク』ッ!」
ドンッ!
怒りと恐怖がごちゃ混ぜになった新たな『累乗ストライク』は、巨大な肉布団をめくりあげた。
最後の一押しになったのだろう。
叩きあげられたハリツムリは、再度私へ覆いかぶさる前にHPを失い、光となって消えていった。
胸元にコロンと転がったのは、きらきらと中に星の見える、透明なハリツムリの魔石。
遠くなる意識をどうにかつかんで、『スキル累乗』を『経験値上昇』へ、そしてポケットの中に入っていた最低品質のポーションを無理やり飲み込む。
多分これ飲まないで気絶すると、出血多量で死ぬ気がする。
鳴り響くレベルアップ音を聞きながら、ハリツムリの魔石を胸に抱き、狭まる視界へ手を伸ばす。
ああ
ケーキたべたい……
何をしているんだ。
死を悟って絶望した? モンスターが? まさかそんなわけはあるまい。
ぬぐい切れない奇妙な違和感、何かを見逃している気がする。
いや、大丈夫だ。
確実に酸は効いていたし、勝利へ近づいている。 どうせ私の打撃はまともにダメージを与えられないし、それならこの隙にピンクナメクジ共の殲滅に取り掛かろう。
適当に横にいた奴を蹴り飛ばし、口元へカリバーを宛がう。
せり上がってきた粘液はそのまま目の前のカリバーへ、そしてそのまま自身の顔面へと返品された。 私自身半分は倒していて、先ほどの二次被害でも相当数減っている、これで後は消化試合を……
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛……』
またか、慌てて耳をふさぐ。
葉がビリビリと揺れ、波がさざめき沼をかき回す。 殻に入っているせいだろう、少し籠った声のピンクナメクジ招集。
叫びに呼応するように、にょきにょきにょきと相も変わらずピンクの目玉が生え、ゆっくりゆっくりとこちらへ近づいてくる。
まあいい、どうせハリツムリはもうすぐに死ぬんだ。
呼んでくれたナメクジ共は、レベル上げのえさにでもなってもらおう。
―――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 77
HP 96/162 MP 268/375
―――――――――――――――
大量のナメクジのおかげで、レベル自体もこの挑戦前から相当上がっている。
結果論ではあるが、ハリツムリはステータスと比べてそこまで苦戦することもなかった。
カリバーを担ぎ上げ、揺れる葉の上を闊歩。
葉の上に上がってこようとした奴を優先し、丁寧に顔を張り飛ばす。
無機質な電子音と、無感情にレベルアップを告げる声、そして私がカリバーを叩きつける水音だけが交互に響いた。
それにしても酷い揺れだ、酸で葉っぱがボロボロにでもなったのだろうか。
「うわっ……と、と……!?」
ひときわ大きな揺れの後、再度響くハリツムリの絶叫。
これで三度目、もう招集は使えまい。
シャラ……
ひときわ強烈な揺れ。
それは葉だけでなく、ど真ん中に鎮座するハリツムリも同じで、殻に籠ったまま大きくガタガタと揺れていた。
にわかに鼓膜を叩く、不吉な金属音。
違和感が次第に膨らみ、不気味な焦燥感となって喉元を焼く。
まただ。何か、何かがおかしい。何かを見逃しているのに、それが何なのかがわからない。
私は何を見逃している……?
ふと思い浮かんだのは、ハリツムリの名前。
『メタルホイールスネイル』
メタルはいいだろう、金属的なアレだ。
ホイールは輪っか? だろうし、スネイルはまあ、多分カタツムリだとかそんな感じの意味じゃないか。
いや待てよ、なんでホイールなんだ?
見た目からして針まみれだし、ニードルとかじゃないのか。
小さな疑問、その答えはすぐに返ってきた。
「……!?」
私の目に飛び込んできたのは、自身が閉じこもった殻を回転させ、バカみたいな勢いで突っ込んでくるハリツムリ。
その背中には先ほど融かされたはずなのに、堂々と天を穿つ巨大な針。
しかも先刻とは異なり、本体の肉にも生えていたように無数の針が、殻の周りへびっしりと生えている。
ああ、なるほど。
誰がハリツムリはナメクジを呼ぶことしか出来ないって言ったんだ!
さっきの絶叫はナメクジを呼ぶものじゃなく、これを生やすためだったんだ!
「す……『ステップ』! 『ストライク』! 『ステップ』!」
一直線にこちらへ突っ込んでくる化け物を避けるため、即座にストライク走法で距離をとる。
ミチミチと脹脛が悲鳴を上げ、これ以上使えば以前と同じく大怪我に繋がるぞと、全身が私に告げた。
殻に籠りゆらゆらと揺れていたのは、葉の振動を受けていたらではない。
ハリツムリが自ら体を揺らして、殻を動かそうとしていたから。むしろ葉は逆、揺らされている側であった。
ホイールだなんて冗談はやめてほしい、何もかもを踏み潰すその姿は戦車だ。
こうなればもう敵も味方も関係ない。
私の背後をぴったりと追い続け、何もかもを破壊しつくす暴虐の化身へと変わったハリツムリは、その道中にいる蠢くナメクジたちを次々に貫き、踏みつぶし、肉塊へと変えていった。
『合計、レベルが3上昇しました』
何もしていない、ただナメクジたちの間をすり抜け走っているだけなのに、後ろでどんどん踏みつぶされていくせいでレベルが勝手に上がる。
酸が吹き出しその身に塗れ、白煙が吹き出した。 が、関係ない。
融けた針の奥から更に針が生まれ、必死に抵抗するナメクジたちを食らい尽くす。
むしろ酸の力も得て、葉の上に無数の穴を生み出していった。
「はぁっ、冗談はっ、はぁ、よしてほしいっ!」
『合計、レベルが3上昇しました』
逃げるほどに私とあいつの距離は縮まり、たなびく服を回転する針が切り裂く。
このままだと追いつかれる、距離を取らないと……!
「『ステップ』! 『ストライク』! 『ステッ……!?」
視界が後ろに溶け、距離が生まれた瞬間だった。 突然膝から力が抜け、世界がゆっくりと色を失っていく。
やってしまった。
自殺ダッシュ、名の通り使い過ぎれば死へ一直線。
地面に身を叩きつけ、転がる。
致命的な失敗を理解した瞬間、私の背後へあまりに刺激的な影が訪れた。
全身の痛みに耐えて身を持ち上げ、後ろから迫ってくる絶望に息をのむ。
轢くのは一瞬だ。転がっているナメクジの様に急所を外し、一撃では死なない可能性もあった。
だから、確実に殺すのなら殻に籠って潰すのではなく、己の足に生えた針で刺し殺す方がいいと判断したのだろう。
身を隠していた殻から飛び出し、布団の様に私を覆おうと広がるハリツムリ。
「……っ! 『ストライク』ッ!」
ギチィッ!
咄嗟に飛び出た怒号。
衝撃に耐えきれず、情けなく尻餅をつく。
目の前数センチの所まで針が迫り、力が抜ければこのまま死ぬと分かった。
――――――――――――――――
種族 メタルホイールスネイル
名前 クレイス
LV 60
HP 142/1360 MP 0/557
――――――――――――――――
鑑定が指し示すのは、酸により刻一刻と減っていく、既に死を間近にしたハリツムリの姿。
だがこれだけHPがあれば、私を叩き潰し殺すのには何の支障もない。
ふと、力が抜けた。
三秒。
クールタイムでもあり、スキルの導きが続く時間が過ぎたのだ。
「ああぁ……!」
スキルの効果がなくなれば当然、ゆっくりと私を押し潰す巨体。
頬へゆっくりと針が沈み込み、ねっとりとした血が首筋へ垂れていく。
針の先から垂れた粘液が頬を掠め、やけどの跡を残す。
何もかもが痛いはずなのに、溢れんばかりに湧き出すアドレナリンのせいだろうか、何も感じない。
―――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 84
HP 67/176 MP 257/410
―――――――――――――――
視界の端に開かれたステータスが、じりじりとHPの減少を伝えた。
勿論減少速度も、そして現在のHPもカタツムリ以下なので、このまま耐えきるのも不可能。
「『スキル累乗』対象変更っ、『ストライク』ッ! ……ぁあああっ! 『ストライク』ッ!」
カリバーが輝き、虎の子である『累乗ストライク』をその足へと叩き込んだ。
衝撃を受け揺れるも、しかし私から退くまでには至らない。
そしてカリバーが点滅し、ふっと力が抜ける。
ストライクを撃つたび、にわかに状況が好転したかのように見える。
しかし力を切らすたび、ゆっくり、そしてより深く針が肉へ突き刺さっていくのを、私は頬の感触から理解していた。
死ぬのか、私は。
まだ何もできていないのに、まだやることがたくさんあるのに。
遂に足が完全に踏みつぶされ、忘れかけていた激痛が脳天を横殴りにした。
喉から悲鳴が絞り出される。くそっ、私は……!
『レベルが上昇しました』
視界の端でナメクジが溶け、レベルが上がる。
今更上がったところで、どうしろっていうんだ。
―――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 85
HP 23/178 MP 71/415
物攻 175 魔攻 0
耐久 515 俊敏 554
知力 85 運 0
SP 100
スキル累乗LV1→LV2
必要SP:100
―――――――――――――――
どうしろって……こうするしか無いじゃないか……!
『スキル累乗がLV2へ上昇しました』
―――――――――――――――――
スキル累乗 LV2
パッシブ、アクティブスキルに関わらず
任意のスキルを重ね掛けすることが出来る
現在可能回数2
―――――――――――――――――
「……ぁ、ぁぁぁぁあああああああっ! いったいんだよぉぉぉぉおっ! 『ストライク』ッ!」
ドンッ!
怒りと恐怖がごちゃ混ぜになった新たな『累乗ストライク』は、巨大な肉布団をめくりあげた。
最後の一押しになったのだろう。
叩きあげられたハリツムリは、再度私へ覆いかぶさる前にHPを失い、光となって消えていった。
胸元にコロンと転がったのは、きらきらと中に星の見える、透明なハリツムリの魔石。
遠くなる意識をどうにかつかんで、『スキル累乗』を『経験値上昇』へ、そしてポケットの中に入っていた最低品質のポーションを無理やり飲み込む。
多分これ飲まないで気絶すると、出血多量で死ぬ気がする。
鳴り響くレベルアップ音を聞きながら、ハリツムリの魔石を胸に抱き、狭まる視界へ手を伸ばす。
ああ
ケーキたべたい……
49
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
底無しポーターは端倪すべからざる
さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。
ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。
攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。
そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。
※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。
※ごくまれに残酷描写を含みます。
※【小説家になろう】様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる