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第三十二話 人生万事最強の馬
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ここ最近はダンジョンに一切潜っていない。
いやー、流石にあの死闘を乗り越えて、さらに毎日戦うってのはきつい。
ほとんどネットカフェに引きこもっては、映画を見たりしていた。
「おう、よく来たなお嬢ちゃん」
「うん」
そして筋肉に言われた通り一週間後、私はハリツムリの魔石をうっぱらったお金を受け取りに来ていた。
いや勿論本当は翌日に魔石を売りに行ったのだが、なんとあのハリツムリ、協会には登録されていないモンスターだったらしい。
うん、なんか名前おかしいと思ったんだよね。
しかも推奨レベルより高いし、技えげつないし。
知力が低かったしもし魔法が使えたなら、もっと楽に倒せていたかもしれないけど。
というわけで未確認の魔石、一体どんな効果を秘めているか分からないというわけで、検証だとかに時間がかかった。
取り調べは凄い怖かった。
なんたって筋肉並みにムキムキな人とか、腹筋バキバキに割れてる女の人とかがすっごいまじめな形相で私を見つめつつ、延々と質問を突っ込んできては紙にがりがりと書き込みしていくのだ。
誰だってビビる、しかもあの人たち多分超強い。
だって腰に凄いピカピカ物理的に輝く武器差してたし、あれ多分ドロップ武器ってやつだ。
「んじゃこれが石の買取、調査、情報提供代だ」
「ん。……ん?」
ぽんっ、と手渡されたのは、分厚く重い封筒。
軽く封じられていたそれをぺりぺりと破り中をのぞけば、一センチほどはあろうかという紙束。
え、なにこれ。
「百十五万だ。ほとんど新たなモンスター、しかもボスだからだな。本当は銀行とかに振り込んでおきたかったんだが、お嬢ちゃん口座登録してないだろ?」
「ひゃ、ひゃくま……?」
百万ってどういう意味だろう。
百万って、百万?
あれ、ちょっと待って。
百万ってなんだ……百万は万が百で……百がマンだから……?
『やあ! 僕百万君!』
「百万君!? 誰!?」
『僕はマネー王国から君と友達になりに来たんだ!』
「どういうことなの……!?」
『さあ、僕と一緒に飛び立とう!』
巨大な札束に手足の生えた百万君が、私に向かって手を差し伸べた。
手を重ねれば、私の身体は空高くへと……
「……ちゃん、お嬢ちゃん。大丈夫か、意識飛んでたぞ」
「……え? 百万君は?」
「あん? 何言ってんだ?」
「あ……うん、何でもない」
というわけで、私はとんでもない大金を手に入れた。
これはあれか。
悪いこと、苦労した後にはいいことがある、人生万事最強の馬というやつか。
ど、ど、どうしよう……!?
◇
「だ、だれもいないよね……?」
人が怖い。
突然金の亡者がゾンビの様にわらわらと、そこら辺から生えてきて私のお金を奪っていかないか怖い。 大丈夫かここは、まだマネーウイルスに侵食されていないだろうか。
協会を抜け大通り、真昼間なだけあって人はいない。
百十五万円の入った封筒様はリュックの中、服で二重に包んで大切に守っている。
銀行だ。筋肉も言っていたが銀行を開設して、それから何をするか決めよう。
裏通り、冷たいコンクリの壁に背中を当て、大通りの様子をうかがう。
こちらフォリア部隊、敵確認できません。
今より銀行へ突撃しま……
「お、いたいた」
「ひゃあっ!?」
つん、とわき腹をつつかれ、奇声が喉奥から湧き出した。
そこにいたのは相変わらずちぐはぐな靴下、適当に茶髪を結んでいる剣崎さん。
この街の近くにある大学で、ダンジョンの研究をしている人だ。
今日は前回会った時とは異なり、私服ではなく白衣そのまま。
「け……剣崎さん……!」
「やあ、探したよ。一週間後に来てって言ったのに、二週間過ぎてもまだ来ないから、剛力君……協会のトップに直接話付けてね」
筋肉、もとい剛力。
名前まで筋肉にあふれているなあいつ。
どうやら剣崎さんは筋肉とも知り合いらしく、私が一週間後に現れることを知っていたらしい。
まあダンジョンの研究をしていると言っていたし、協会の支部長でもある筋肉と面識があるのは、何らおかしいことではない。
命がけの戦いを繰り返して忘れていたが、そういえば彼女には、あの三人組が大学にいないか調査を頼んでいたのだった。
教授となれば忙しいだろうに、わざわざ私に会いに来てくれるとは。
いい人だ。
「まあこんなところで話すのもなんだ、ついてきなさい。近くにいい喫茶店があるんだ」
「え……うん」
本当はさっさと銀行へお金を預けに行きたいのだが、そもそも最初に頼んだのは私だ。
颯爽と白衣をはためかせる彼女の後へついていく。
ああ、それにしてもこの百万円何に使おう……!
いやー、流石にあの死闘を乗り越えて、さらに毎日戦うってのはきつい。
ほとんどネットカフェに引きこもっては、映画を見たりしていた。
「おう、よく来たなお嬢ちゃん」
「うん」
そして筋肉に言われた通り一週間後、私はハリツムリの魔石をうっぱらったお金を受け取りに来ていた。
いや勿論本当は翌日に魔石を売りに行ったのだが、なんとあのハリツムリ、協会には登録されていないモンスターだったらしい。
うん、なんか名前おかしいと思ったんだよね。
しかも推奨レベルより高いし、技えげつないし。
知力が低かったしもし魔法が使えたなら、もっと楽に倒せていたかもしれないけど。
というわけで未確認の魔石、一体どんな効果を秘めているか分からないというわけで、検証だとかに時間がかかった。
取り調べは凄い怖かった。
なんたって筋肉並みにムキムキな人とか、腹筋バキバキに割れてる女の人とかがすっごいまじめな形相で私を見つめつつ、延々と質問を突っ込んできては紙にがりがりと書き込みしていくのだ。
誰だってビビる、しかもあの人たち多分超強い。
だって腰に凄いピカピカ物理的に輝く武器差してたし、あれ多分ドロップ武器ってやつだ。
「んじゃこれが石の買取、調査、情報提供代だ」
「ん。……ん?」
ぽんっ、と手渡されたのは、分厚く重い封筒。
軽く封じられていたそれをぺりぺりと破り中をのぞけば、一センチほどはあろうかという紙束。
え、なにこれ。
「百十五万だ。ほとんど新たなモンスター、しかもボスだからだな。本当は銀行とかに振り込んでおきたかったんだが、お嬢ちゃん口座登録してないだろ?」
「ひゃ、ひゃくま……?」
百万ってどういう意味だろう。
百万って、百万?
あれ、ちょっと待って。
百万ってなんだ……百万は万が百で……百がマンだから……?
『やあ! 僕百万君!』
「百万君!? 誰!?」
『僕はマネー王国から君と友達になりに来たんだ!』
「どういうことなの……!?」
『さあ、僕と一緒に飛び立とう!』
巨大な札束に手足の生えた百万君が、私に向かって手を差し伸べた。
手を重ねれば、私の身体は空高くへと……
「……ちゃん、お嬢ちゃん。大丈夫か、意識飛んでたぞ」
「……え? 百万君は?」
「あん? 何言ってんだ?」
「あ……うん、何でもない」
というわけで、私はとんでもない大金を手に入れた。
これはあれか。
悪いこと、苦労した後にはいいことがある、人生万事最強の馬というやつか。
ど、ど、どうしよう……!?
◇
「だ、だれもいないよね……?」
人が怖い。
突然金の亡者がゾンビの様にわらわらと、そこら辺から生えてきて私のお金を奪っていかないか怖い。 大丈夫かここは、まだマネーウイルスに侵食されていないだろうか。
協会を抜け大通り、真昼間なだけあって人はいない。
百十五万円の入った封筒様はリュックの中、服で二重に包んで大切に守っている。
銀行だ。筋肉も言っていたが銀行を開設して、それから何をするか決めよう。
裏通り、冷たいコンクリの壁に背中を当て、大通りの様子をうかがう。
こちらフォリア部隊、敵確認できません。
今より銀行へ突撃しま……
「お、いたいた」
「ひゃあっ!?」
つん、とわき腹をつつかれ、奇声が喉奥から湧き出した。
そこにいたのは相変わらずちぐはぐな靴下、適当に茶髪を結んでいる剣崎さん。
この街の近くにある大学で、ダンジョンの研究をしている人だ。
今日は前回会った時とは異なり、私服ではなく白衣そのまま。
「け……剣崎さん……!」
「やあ、探したよ。一週間後に来てって言ったのに、二週間過ぎてもまだ来ないから、剛力君……協会のトップに直接話付けてね」
筋肉、もとい剛力。
名前まで筋肉にあふれているなあいつ。
どうやら剣崎さんは筋肉とも知り合いらしく、私が一週間後に現れることを知っていたらしい。
まあダンジョンの研究をしていると言っていたし、協会の支部長でもある筋肉と面識があるのは、何らおかしいことではない。
命がけの戦いを繰り返して忘れていたが、そういえば彼女には、あの三人組が大学にいないか調査を頼んでいたのだった。
教授となれば忙しいだろうに、わざわざ私に会いに来てくれるとは。
いい人だ。
「まあこんなところで話すのもなんだ、ついてきなさい。近くにいい喫茶店があるんだ」
「え……うん」
本当はさっさと銀行へお金を預けに行きたいのだが、そもそも最初に頼んだのは私だ。
颯爽と白衣をはためかせる彼女の後へついていく。
ああ、それにしてもこの百万円何に使おう……!
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