77 / 257
第七十七話 突入
しおりを挟む
果たして、そこにいたのは……穂谷。
昨日フォリアと出会ってからこんな事態になり急いできたものの、彼女の姿が見当たらず場を仕切っていた警官へ声をかけたのであった。
「金髪の子、見かけませんでしたか? こう……バット持ってて、いっつもフラフラしてる子なんですけど」
「はあ……金髪の子ですの……? それって……」
金髪……ふと思い当たる安心院。
関係があるにしては、件の少女と随分年齢が離れているように見えるなと、目の前の女をいぶかしげに睨む。
脳裏に過ぎるのは一人の少女。
いないのなら逃げただけじゃないのか。そう口に出そうとした安心院であったが、ダンジョンに入り込んだ者がいないか確認のため、逆再生で早回しされていた監視カメラの映像に、ちらりと映ったその姿を見て絶句する、
「今のって……」
「まさか……」
夕方から明朝分の再生を終え、現状確認できた探索者は彼女一人……出てきた様子はない。
より大型のダンジョンに潜る場合大量の食糧を準備し、数日かけて潜ることは当然ある。しかしながら『炎来』は森とは言え、さほど大きなものではない。
何故そんな時間から潜っているのか不明だが、おそらくダンジョンに潜っているのは彼女一人。
崩壊が起こった時、ダンジョン内のモンスターのレベルがどれほど上がるかははっきりしていない。
GランクダンジョンがDやCに匹敵することもあれば、ランクが1段階上がるだけで終わることもある。
しかしながら一概に言えることは、普段の適正ランクほどしかない探索者では太刀打ちできないことが多い、ということだ。
数日前、安心院がフォリアと初めて出会ったとき、彼女は安心院に『炎来』の場所を聞いてきた。
それはつまり、今の今まで炎来に潜ったことがないということ。彼女の年齢からしてDランクを大きく飛び越えるほど経験を積んでいるとは考えられない。
Dランクの壁は大きい。一般的にCランクへ手をかけるのには年単位、どんなに早くても半年はかかるだろう。
はっきり言って、フォリアの生存は絶望的であった。
「……っ! 私先に突入してますわっ!」
「馬鹿ッ! おい待て安心院っ、もう侵入から半日以上経ってる! 生存は絶望的だ……ああっ、クソッ! おい! 俺とハコの相方で先に偵察して来る!」
手配されている拳銃を片手に、安心院が真っ先に飛び出す。
手を伸ばした伊達であったが当然声は届かない。人々をかき分け門に飛び込んだ彼女を追い、同僚へ適当な理由を告げるとその場を立った。
治安維持のため時には探索者の相手をする警官。
魔石を使う拳銃での対応をすることもあるが、基本はその身一つでの鎮圧であり、一定以上のレベルを上げることは必須であり、戦闘能力は並みの探索者を凌ぐ。
「それなら私も……!」
「心配してるところ悪いがアンタはバリケードに回ってくれ!」
渋い顔。
しかし現状それが一番なのを穂谷は理解し、物憂いげに頷いた。
実際のところ、普段パーティを組んでいない人間同士が緊急時に協力するというのは、途轍もない疲弊が伴う。
またDランク以上のモンスターがダンジョンから溢れたとなれば、たとえ一匹でも甚大な被害になるのは間違いがない。
その上自身にもパーティメンバーがおり、勝手に行動するのは迷惑がかかる。
穂谷自身歯がゆくはあったが、この緊急時、苦いものを飲み込んで二人にここは任せるほかなかった。
◇
蒼く燃え上がる木々、普段は穏やかな森が狂い悶えているようにも感じれた。
安心院がこの街に配属されて一年。今まで見たことのない異様な光景は、浮世離れして幽雅であり、しかしどこか空恐ろしいものがある。
武者震いか、それとも本能的に命の危険を悟ったのか。安心院はぶるりと身震いをし、こぶしを握り締めた。
彼女は小柄。
異変に気付きさえすればその身をどこかに隠し、うまく生き延びている可能性だってある。
しかしどうやって探したものか。発信機なんてもの彼女についているわけないし、一人で端から端まで探すのは骨が折れるだろう。
いっそ大声で呼びまわるか……
「待て安心院、一人での行動は危険だ! 俺も同行する!」
「っ! 伊達さん……」
その時背後から走ってきた伊達が、彼女の肩を叩き冷静になるよう諭したことで、安心院はハッと我に返った。
何も考えずに飛び出してしまったことで、先輩である伊達が尻拭いをするように追ってきてしまったのだ。
こういった状況で一番失ってはいけない冷静さ。それを真っ先に放り投げ、人々への指示や避難誘導等の職務も放棄し、一人この場にきてしまった。
警官失格だ。
ああ、ダメですわ。
大見得を切って家を出てきたというのに、結局物事を知らない間抜けな女のまま。お兄様に嘲笑われた通りですわね……
「申し訳ありません! ですが」
「……一時間だ。一時間捜索して見つからなければ速やかに撤退、入り口で待機して突撃部隊と合流する。いいな?」
「……っ! はい!」
「んじゃこれ持っとけ」
突き出された箱の中にはいくつかのポーションと、拳銃の詰め替え用に手配された魔石。
思えば自分はそれを持ってきていない。本当に何も考えずに飛び出してきてしまった事に、再び恥じ、顔を赤らめる。
勿論徒手空拳での戦闘技能はいくつか収めているし、アイテムボックスの中に武器を入れているが、手数は多いほど良い。
安心院はニヤリと笑った男にしかと頷き、箱を受け取った。
「お前緊急時なんだし、いい加減その口調どうにかならねえのか」
「いやその……幼少期から染み付いてて、気を付けてもなってしまうのですわ……です」
昨日フォリアと出会ってからこんな事態になり急いできたものの、彼女の姿が見当たらず場を仕切っていた警官へ声をかけたのであった。
「金髪の子、見かけませんでしたか? こう……バット持ってて、いっつもフラフラしてる子なんですけど」
「はあ……金髪の子ですの……? それって……」
金髪……ふと思い当たる安心院。
関係があるにしては、件の少女と随分年齢が離れているように見えるなと、目の前の女をいぶかしげに睨む。
脳裏に過ぎるのは一人の少女。
いないのなら逃げただけじゃないのか。そう口に出そうとした安心院であったが、ダンジョンに入り込んだ者がいないか確認のため、逆再生で早回しされていた監視カメラの映像に、ちらりと映ったその姿を見て絶句する、
「今のって……」
「まさか……」
夕方から明朝分の再生を終え、現状確認できた探索者は彼女一人……出てきた様子はない。
より大型のダンジョンに潜る場合大量の食糧を準備し、数日かけて潜ることは当然ある。しかしながら『炎来』は森とは言え、さほど大きなものではない。
何故そんな時間から潜っているのか不明だが、おそらくダンジョンに潜っているのは彼女一人。
崩壊が起こった時、ダンジョン内のモンスターのレベルがどれほど上がるかははっきりしていない。
GランクダンジョンがDやCに匹敵することもあれば、ランクが1段階上がるだけで終わることもある。
しかしながら一概に言えることは、普段の適正ランクほどしかない探索者では太刀打ちできないことが多い、ということだ。
数日前、安心院がフォリアと初めて出会ったとき、彼女は安心院に『炎来』の場所を聞いてきた。
それはつまり、今の今まで炎来に潜ったことがないということ。彼女の年齢からしてDランクを大きく飛び越えるほど経験を積んでいるとは考えられない。
Dランクの壁は大きい。一般的にCランクへ手をかけるのには年単位、どんなに早くても半年はかかるだろう。
はっきり言って、フォリアの生存は絶望的であった。
「……っ! 私先に突入してますわっ!」
「馬鹿ッ! おい待て安心院っ、もう侵入から半日以上経ってる! 生存は絶望的だ……ああっ、クソッ! おい! 俺とハコの相方で先に偵察して来る!」
手配されている拳銃を片手に、安心院が真っ先に飛び出す。
手を伸ばした伊達であったが当然声は届かない。人々をかき分け門に飛び込んだ彼女を追い、同僚へ適当な理由を告げるとその場を立った。
治安維持のため時には探索者の相手をする警官。
魔石を使う拳銃での対応をすることもあるが、基本はその身一つでの鎮圧であり、一定以上のレベルを上げることは必須であり、戦闘能力は並みの探索者を凌ぐ。
「それなら私も……!」
「心配してるところ悪いがアンタはバリケードに回ってくれ!」
渋い顔。
しかし現状それが一番なのを穂谷は理解し、物憂いげに頷いた。
実際のところ、普段パーティを組んでいない人間同士が緊急時に協力するというのは、途轍もない疲弊が伴う。
またDランク以上のモンスターがダンジョンから溢れたとなれば、たとえ一匹でも甚大な被害になるのは間違いがない。
その上自身にもパーティメンバーがおり、勝手に行動するのは迷惑がかかる。
穂谷自身歯がゆくはあったが、この緊急時、苦いものを飲み込んで二人にここは任せるほかなかった。
◇
蒼く燃え上がる木々、普段は穏やかな森が狂い悶えているようにも感じれた。
安心院がこの街に配属されて一年。今まで見たことのない異様な光景は、浮世離れして幽雅であり、しかしどこか空恐ろしいものがある。
武者震いか、それとも本能的に命の危険を悟ったのか。安心院はぶるりと身震いをし、こぶしを握り締めた。
彼女は小柄。
異変に気付きさえすればその身をどこかに隠し、うまく生き延びている可能性だってある。
しかしどうやって探したものか。発信機なんてもの彼女についているわけないし、一人で端から端まで探すのは骨が折れるだろう。
いっそ大声で呼びまわるか……
「待て安心院、一人での行動は危険だ! 俺も同行する!」
「っ! 伊達さん……」
その時背後から走ってきた伊達が、彼女の肩を叩き冷静になるよう諭したことで、安心院はハッと我に返った。
何も考えずに飛び出してしまったことで、先輩である伊達が尻拭いをするように追ってきてしまったのだ。
こういった状況で一番失ってはいけない冷静さ。それを真っ先に放り投げ、人々への指示や避難誘導等の職務も放棄し、一人この場にきてしまった。
警官失格だ。
ああ、ダメですわ。
大見得を切って家を出てきたというのに、結局物事を知らない間抜けな女のまま。お兄様に嘲笑われた通りですわね……
「申し訳ありません! ですが」
「……一時間だ。一時間捜索して見つからなければ速やかに撤退、入り口で待機して突撃部隊と合流する。いいな?」
「……っ! はい!」
「んじゃこれ持っとけ」
突き出された箱の中にはいくつかのポーションと、拳銃の詰め替え用に手配された魔石。
思えば自分はそれを持ってきていない。本当に何も考えずに飛び出してきてしまった事に、再び恥じ、顔を赤らめる。
勿論徒手空拳での戦闘技能はいくつか収めているし、アイテムボックスの中に武器を入れているが、手数は多いほど良い。
安心院はニヤリと笑った男にしかと頷き、箱を受け取った。
「お前緊急時なんだし、いい加減その口調どうにかならねえのか」
「いやその……幼少期から染み付いてて、気を付けてもなってしまうのですわ……です」
40
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる