191 / 257
第百九十一話
しおりを挟む
12月も終わりという頃、冬休みに突入した琉希は今後の予定を無数に脳裏へ浮かべながら、久しぶりに探索者協会の扉の前へ立っていた。
理由は単純、ここで同年代ながら必死に戦っている少女を、一年に一度の日くらいとパーティに誘うためだ。
実は何度か友人達にクリスマスパーティーへ誘われたはいいが、ふと思いうかんだのは恐らく当日一人でいるであろう母の姿に、つい先約があるとそれらを断ってしまった。
母は昔から豪胆な性格で、恐らく言えば行って来いと笑い飛ばすかもしれないが、しかし家に一人置いておくのは後味が悪い。
誰かとの交流を熱心にするタイプの人でもないが、そういえばパートで気の合う人が出来たと言っていた。
それが何の偶然か、自身の友人でもあるフォリアが偶然拾い同棲している女性であり、その上実は彼女の母親であったらしいのだから神の気まぐれとは恐ろしいものだ。
母親だったとSNSのメッセージでしれっと打ち明けられた時には、スマホを取り落し数分叫んでしまったほど。
随分と確執があったように思えたが、しかしなんだかんだで上手く行っているようだから良いかと気を取り直した。
そして今日、それなら彼女の母親と自分の母、そしておそらく隣に住むであろう芽衣も呼びパーティでもすれば、まあいい感じに寂しくなる人もいないんじゃないかと、単純かつ安直な考えで探索者協会の扉を叩いた琉希。
「えっ、フォリアちゃん一週間も休んでるんですか!?」
が、しかしまさかの事態に遭遇する。
肝心の彼女が一週間休んでいるという。
鍵一曰く、休む前の数日は兎にも角にもひどい顔色、食事もまともにとれていない様子であったと。
風にたなびくビニールシートの騒々しい音が響く部屋の中、眉をぐいぐいと寄せて鍵一が唸る。
「あー……うん、なんか連絡付かなくてさ。一応病欠ってことにしてるんだけどな。今んとこ近所で崩壊も起こってないし問題はないんだけど、やっぱ心配なのはあるわけよ」
一週間連絡もなく休む、これは一大事だ。
病気か、はたまた別の何かがあったのか。そういえば今週はメッセージを送っていないと試しに送ってみたが、既読すらつく気配がない。
普段は、それこそ忙しい時を除けば割とすぐに返信が帰ってくる彼女。なるほど、確かにこれはちょっとばかり怪しい気配がする。
事情を言い切った後、ちらりとこちらを見て何かを期待する鍵一。
「え、もしかしてそれって私が行く的なアトモスフィアなんですか?」
「センチがナイスタイミングで来てくれて助かった! いやーナイスナイス!」
横で黙々と書類を片付けていた芽衣が笑った。
探索者希望が一気に増えたこと、そしてフォリアに限らず美羽までもが今は上の空であり、使い物にならないと急遽一時的な助っ人として雇われたらしい。
「ちょっと待ってください、芽衣ちゃんお隣さんなんですよね? そこは芽衣ちゃんがバシッと決めてくるべきでは?」
当然のように全てを琉希へ押し付けようとする芽衣へ、腕を組みツンと唇を尖らせて琉希が抗議する。
やっぱりそういうよね、と芽衣は痛いところを突かれたかのように頬を掻き、目を右往左往させたのち、机に突っ伏して両手を合わせた。
「いや、そのさ……ちょっとガチで雰囲気ヤバそうだったから、流石にウチには話しかけられないというか……この前見かけたんだけど、死んだ目で大量のお菓子抱えてたから怖かった……おねがい! 頼んだ!」
彼女が見た時にはコンビニで売っているようなお菓子の袋と、ケーキの箱をいくつも抱えていたらしい。
それだけならば随分と幸せそうな光景に思えるが、口角を引くつかせて語る彼女の様子を見る限り、残念ながらそういう顔つきではないようだ。
曰くこの世の終わりだったと。
「え、なんですかそれ怖っ、え? どういう状況なんです?」
「あと、前は結構聞こえてたアリアさん、だっけ? との会話とか全然聞こえなくてさぁ、結構ヤバヤバなんじゃね? みたいな? 近所で色々聞いた感じ喧嘩でもしたんじゃねって思うわけ」
「ほう……喧嘩ですか」
フォリアとアリア。
口調は随分と異なれど、二人共あまり激しく自己主張をするタイプではなかったはず。
フォリアに関しては時々意地を張ることもあるが、その二人が喧嘩、それも近所で噂になるほどの物をするとはあまり想像できるものではない。
思ってもいなかった言葉に顎へ手を当て、芽衣に話の続きを促す琉希。
うん、と頷き
「まあ見てる人いなかったから分からんけどね。この前の夜変なモンスターとフォリっち戦ってたんだけど、なんか道の真ん中にそれとは別の知らない穴新しく空いてたし、多分あれその跡じゃないかなって思うわけ。ウチまだ弱いからさ、仲裁とか入っても余波で死にそうだし」
と情けないのか、それとも実力をわきまえているのか分からないようなことを言い、ぐわーっとおどけて両手を上げる芽衣。
そういえば深夜の街が騒然とした事件があった。
およそ一週間前、突如として現れた不気味な黒いモンスター。
見ての通りボロボロになった協会に穴をあけた犯人だというが、そのモンスターを倒したのが近くに居合わせた少女だったというのは、結構あちこちでも話題になっている。
芽衣の口ぶりでは、どうやらそれを倒したのはフォリアであったらしい。
日付にいくらかの隔たりがある、が、鍵一の話も合わせればおおよその日付は合う。
果たしてこれは偶然か。どちらにせよ彼女の精神状態がまともでないのは明らか、ついでに家庭状況も悪化していそうな予感がする。
――ちょっと話を聞くほどに心配ですし、あたしも気になるので見に行きましょうかね……?
「まあそうですね、そんな喧嘩なら私が仲裁して入ってみるのも悪くないでしょう! お任せください!」
せっかくの楽しいクリスマスパーティ。
味わうならより多く、より楽しい感情で過ごしたいもの。勿論それは自分や家族だけではなく、今までかかわった人皆がそうだ。
当然フォリアはその輪の中でも大分身内に近い所にいるわけで、大切な友人をほっぽっては置けないと、琉希は深く頷き胸を力強く叩くと、衝撃に耐え切れず激しく咳をした。
理由は単純、ここで同年代ながら必死に戦っている少女を、一年に一度の日くらいとパーティに誘うためだ。
実は何度か友人達にクリスマスパーティーへ誘われたはいいが、ふと思いうかんだのは恐らく当日一人でいるであろう母の姿に、つい先約があるとそれらを断ってしまった。
母は昔から豪胆な性格で、恐らく言えば行って来いと笑い飛ばすかもしれないが、しかし家に一人置いておくのは後味が悪い。
誰かとの交流を熱心にするタイプの人でもないが、そういえばパートで気の合う人が出来たと言っていた。
それが何の偶然か、自身の友人でもあるフォリアが偶然拾い同棲している女性であり、その上実は彼女の母親であったらしいのだから神の気まぐれとは恐ろしいものだ。
母親だったとSNSのメッセージでしれっと打ち明けられた時には、スマホを取り落し数分叫んでしまったほど。
随分と確執があったように思えたが、しかしなんだかんだで上手く行っているようだから良いかと気を取り直した。
そして今日、それなら彼女の母親と自分の母、そしておそらく隣に住むであろう芽衣も呼びパーティでもすれば、まあいい感じに寂しくなる人もいないんじゃないかと、単純かつ安直な考えで探索者協会の扉を叩いた琉希。
「えっ、フォリアちゃん一週間も休んでるんですか!?」
が、しかしまさかの事態に遭遇する。
肝心の彼女が一週間休んでいるという。
鍵一曰く、休む前の数日は兎にも角にもひどい顔色、食事もまともにとれていない様子であったと。
風にたなびくビニールシートの騒々しい音が響く部屋の中、眉をぐいぐいと寄せて鍵一が唸る。
「あー……うん、なんか連絡付かなくてさ。一応病欠ってことにしてるんだけどな。今んとこ近所で崩壊も起こってないし問題はないんだけど、やっぱ心配なのはあるわけよ」
一週間連絡もなく休む、これは一大事だ。
病気か、はたまた別の何かがあったのか。そういえば今週はメッセージを送っていないと試しに送ってみたが、既読すらつく気配がない。
普段は、それこそ忙しい時を除けば割とすぐに返信が帰ってくる彼女。なるほど、確かにこれはちょっとばかり怪しい気配がする。
事情を言い切った後、ちらりとこちらを見て何かを期待する鍵一。
「え、もしかしてそれって私が行く的なアトモスフィアなんですか?」
「センチがナイスタイミングで来てくれて助かった! いやーナイスナイス!」
横で黙々と書類を片付けていた芽衣が笑った。
探索者希望が一気に増えたこと、そしてフォリアに限らず美羽までもが今は上の空であり、使い物にならないと急遽一時的な助っ人として雇われたらしい。
「ちょっと待ってください、芽衣ちゃんお隣さんなんですよね? そこは芽衣ちゃんがバシッと決めてくるべきでは?」
当然のように全てを琉希へ押し付けようとする芽衣へ、腕を組みツンと唇を尖らせて琉希が抗議する。
やっぱりそういうよね、と芽衣は痛いところを突かれたかのように頬を掻き、目を右往左往させたのち、机に突っ伏して両手を合わせた。
「いや、そのさ……ちょっとガチで雰囲気ヤバそうだったから、流石にウチには話しかけられないというか……この前見かけたんだけど、死んだ目で大量のお菓子抱えてたから怖かった……おねがい! 頼んだ!」
彼女が見た時にはコンビニで売っているようなお菓子の袋と、ケーキの箱をいくつも抱えていたらしい。
それだけならば随分と幸せそうな光景に思えるが、口角を引くつかせて語る彼女の様子を見る限り、残念ながらそういう顔つきではないようだ。
曰くこの世の終わりだったと。
「え、なんですかそれ怖っ、え? どういう状況なんです?」
「あと、前は結構聞こえてたアリアさん、だっけ? との会話とか全然聞こえなくてさぁ、結構ヤバヤバなんじゃね? みたいな? 近所で色々聞いた感じ喧嘩でもしたんじゃねって思うわけ」
「ほう……喧嘩ですか」
フォリアとアリア。
口調は随分と異なれど、二人共あまり激しく自己主張をするタイプではなかったはず。
フォリアに関しては時々意地を張ることもあるが、その二人が喧嘩、それも近所で噂になるほどの物をするとはあまり想像できるものではない。
思ってもいなかった言葉に顎へ手を当て、芽衣に話の続きを促す琉希。
うん、と頷き
「まあ見てる人いなかったから分からんけどね。この前の夜変なモンスターとフォリっち戦ってたんだけど、なんか道の真ん中にそれとは別の知らない穴新しく空いてたし、多分あれその跡じゃないかなって思うわけ。ウチまだ弱いからさ、仲裁とか入っても余波で死にそうだし」
と情けないのか、それとも実力をわきまえているのか分からないようなことを言い、ぐわーっとおどけて両手を上げる芽衣。
そういえば深夜の街が騒然とした事件があった。
およそ一週間前、突如として現れた不気味な黒いモンスター。
見ての通りボロボロになった協会に穴をあけた犯人だというが、そのモンスターを倒したのが近くに居合わせた少女だったというのは、結構あちこちでも話題になっている。
芽衣の口ぶりでは、どうやらそれを倒したのはフォリアであったらしい。
日付にいくらかの隔たりがある、が、鍵一の話も合わせればおおよその日付は合う。
果たしてこれは偶然か。どちらにせよ彼女の精神状態がまともでないのは明らか、ついでに家庭状況も悪化していそうな予感がする。
――ちょっと話を聞くほどに心配ですし、あたしも気になるので見に行きましょうかね……?
「まあそうですね、そんな喧嘩なら私が仲裁して入ってみるのも悪くないでしょう! お任せください!」
せっかくの楽しいクリスマスパーティ。
味わうならより多く、より楽しい感情で過ごしたいもの。勿論それは自分や家族だけではなく、今までかかわった人皆がそうだ。
当然フォリアはその輪の中でも大分身内に近い所にいるわけで、大切な友人をほっぽっては置けないと、琉希は深く頷き胸を力強く叩くと、衝撃に耐え切れず激しく咳をした。
1
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる