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「ひとつ聞いても良いですか?」
ブツブツ言ってる祐一さんに話しかけた。
「え?あぁ、うん。何?」
「アルファ同士で分かる匂いってどういう感じの匂いなんですか?僕からはそれに近いものが匂っていたみたいで。」
「ああ、うん。お見合いの時アルファが居るのかと思ったんだよ。マーキングの匂いとも違うアルファそのものの匂い。しかもこっちに挑んでくるような匂いだった。」
だからあんな態度だったんだ。
「僕がアルファとは思わなかったんですか?」
そこまでのアルファ臭なら僕がアルファでもおかしくない。
「うーん、何て言うかよく嗅いでみるとアルファとは違うんだよ。似てるけど違う。俺はてっきり由紀くんの匂いかと思って。あの時は本当にごめん。すごく嫌な思いをさせてしまった。」
祐一さんは急にソファーの上に正座をして頭を下げた。
「もういいですよ。仕方ないです。」
「いつからその薬を飲んでたの?」
正座を崩しながら聞いてきた。
「初めてヒートが来たのか中学三年で、すごくキツくてそのくらいから飲み始めました。ちょうどその薬が認可されたんです。」
「そっか。あのさ、その、次のヒートはどうやって過ごすの?薬はもう無いんだよね?」
そうなんだ。どうしよう。今度認可される薬は間に合わないだろうか。
「今、どうしようか考えているんです。」
頼んだ料理が次々に運ばれてきた。僕たちはいったん話をやめて食べることに集中した。和食の創作料理はどれも美味しかった。
「すごく美味しいです。こんな美味しいもの初めて食べました。あ、そんな事言ったらお母さんに怒られるかな…。」
「ははは、良かった。今度スペイン料理を食べに行かない?」
「スペイン料理って?」
「有名なのはパエリアやアヒージョ、ガスパチョ。知ってる?」
「聞いたことあります。美味しそうですね。でも、その、いつもご馳走してもらうのは…。」
祐一さんはお金持ちかもしれないけどさすがに気が引ける。今日だって全て奢りだ。
「そんなこと気にしないで。俺は由紀くんと出かけられるだけで嬉しいんだ。」
僕は曖昧に笑った。
「さっきの匂いの話なんですけど、僕はアルファじゃないので分かりません。今、祐一さんからふわっと匂ってるものとは違うんですよね?」
フェロモンや匂いについて聞こうとした。祐一さんからはいつも良い匂いがする。高級な柔軟剤のような匂いだ。優しくて甘いのに爽やかな匂い。
「え?」
祐一さんの顔が真っ赤になった。
あれ?変なこと聞いたかな?
「それは、その、発情フェロモンじゃないかな?俺は嫌な匂い?」
「いいえ。すごく良い匂いです。発情フェロモン…。」
さらに顔が赤くなる。耳も首も真っ赤だ。
「そう。好きな子に無意識に出るフェロモンだと思う…。ごめん。」
「あ…。」
祐一さんの言っている意味を理解して僕も赤くなった。
発情しているから出るフェロモン…。
二人で赤くなって無言になってしまう。
「俺が最初に感じた由紀くんのフェロモンはたぶんアルファにしか分からないと思うよ。」
「そうなんですね。体感して見たかったです。僕がアルファにとってどれだけ不快なフェロモンを放っていたのか。」
デザートが運ばれて来たのでまた食べることに集中した。わらび餅とアイスの盛り合わせだった。甘すぎず上品でとても美味しかった。
「さっきの、次のヒートの話なんだけど。」
「はい。」
「俺としては一緒に過ごしたい。番いになる前提で付き合って欲しい。」
また正座をしている。真剣なのは分かる。
「もう少し考えさせて下さい。」
「分かった。」
祐一さんは残念そうに言った。
ブツブツ言ってる祐一さんに話しかけた。
「え?あぁ、うん。何?」
「アルファ同士で分かる匂いってどういう感じの匂いなんですか?僕からはそれに近いものが匂っていたみたいで。」
「ああ、うん。お見合いの時アルファが居るのかと思ったんだよ。マーキングの匂いとも違うアルファそのものの匂い。しかもこっちに挑んでくるような匂いだった。」
だからあんな態度だったんだ。
「僕がアルファとは思わなかったんですか?」
そこまでのアルファ臭なら僕がアルファでもおかしくない。
「うーん、何て言うかよく嗅いでみるとアルファとは違うんだよ。似てるけど違う。俺はてっきり由紀くんの匂いかと思って。あの時は本当にごめん。すごく嫌な思いをさせてしまった。」
祐一さんは急にソファーの上に正座をして頭を下げた。
「もういいですよ。仕方ないです。」
「いつからその薬を飲んでたの?」
正座を崩しながら聞いてきた。
「初めてヒートが来たのか中学三年で、すごくキツくてそのくらいから飲み始めました。ちょうどその薬が認可されたんです。」
「そっか。あのさ、その、次のヒートはどうやって過ごすの?薬はもう無いんだよね?」
そうなんだ。どうしよう。今度認可される薬は間に合わないだろうか。
「今、どうしようか考えているんです。」
頼んだ料理が次々に運ばれてきた。僕たちはいったん話をやめて食べることに集中した。和食の創作料理はどれも美味しかった。
「すごく美味しいです。こんな美味しいもの初めて食べました。あ、そんな事言ったらお母さんに怒られるかな…。」
「ははは、良かった。今度スペイン料理を食べに行かない?」
「スペイン料理って?」
「有名なのはパエリアやアヒージョ、ガスパチョ。知ってる?」
「聞いたことあります。美味しそうですね。でも、その、いつもご馳走してもらうのは…。」
祐一さんはお金持ちかもしれないけどさすがに気が引ける。今日だって全て奢りだ。
「そんなこと気にしないで。俺は由紀くんと出かけられるだけで嬉しいんだ。」
僕は曖昧に笑った。
「さっきの匂いの話なんですけど、僕はアルファじゃないので分かりません。今、祐一さんからふわっと匂ってるものとは違うんですよね?」
フェロモンや匂いについて聞こうとした。祐一さんからはいつも良い匂いがする。高級な柔軟剤のような匂いだ。優しくて甘いのに爽やかな匂い。
「え?」
祐一さんの顔が真っ赤になった。
あれ?変なこと聞いたかな?
「それは、その、発情フェロモンじゃないかな?俺は嫌な匂い?」
「いいえ。すごく良い匂いです。発情フェロモン…。」
さらに顔が赤くなる。耳も首も真っ赤だ。
「そう。好きな子に無意識に出るフェロモンだと思う…。ごめん。」
「あ…。」
祐一さんの言っている意味を理解して僕も赤くなった。
発情しているから出るフェロモン…。
二人で赤くなって無言になってしまう。
「俺が最初に感じた由紀くんのフェロモンはたぶんアルファにしか分からないと思うよ。」
「そうなんですね。体感して見たかったです。僕がアルファにとってどれだけ不快なフェロモンを放っていたのか。」
デザートが運ばれて来たのでまた食べることに集中した。わらび餅とアイスの盛り合わせだった。甘すぎず上品でとても美味しかった。
「さっきの、次のヒートの話なんだけど。」
「はい。」
「俺としては一緒に過ごしたい。番いになる前提で付き合って欲しい。」
また正座をしている。真剣なのは分かる。
「もう少し考えさせて下さい。」
「分かった。」
祐一さんは残念そうに言った。
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