言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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巻き込まれて独立しました

05 起死回生を狙ったようだけど

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 学園一の強さと自称している騎士団長の三男坊は、カエルになりました。イシリス様に背中を踏まれてね。パチパチ。

「この俺に、騎士団長の息子である俺に!! 許さんぞ!! その足を退けろ!!」

 下から睨み付けられても怖くないのよ。カエルならゲコゲコ鳴きなさいよ。

「うるせーぞ!! 下等なカエル如きが俺に指図するんじゃねーよ!!」

 イシリス様は乱暴な言葉でそう言い捨てながら、ゲシゲシとカエルの背中を踏み付けている。その度に、カエルはグエグエって鳴いてるわ。カエルらしくなったわね。

 久し振りですね、素のイシリス様を見るの。かなりご立腹だわ。私と初めて会った時も、この喋り方だったの。でも、私が貴族令嬢だから話し方を直してくれたのよ。ほんと、私ってば愛されてる~。イシリス様、素敵。

「……大丈夫ですか? ミネリア様」

 リアス様が若干引きながら尋ねてきた。

「リアス様は、本当にお優しい方ですわ。あのようなカエルにも、慈悲の心を掛けられるとは。大丈夫ですよ。怒りで素が出てますけど、殺しはしないくらいは平静を保っておられますから、私の婚約者様は」

 ニコッと微笑んだら、リアス様は納得してくれたわ。だって、イシリス様がなさることを、リアス様が止めることはできないからね。もちろん、私も止める気、さらさらないし。

「貴様ら~~!! アルトを離せ!!」

 馬鹿王子が真っ赤な顔をして怒鳴る。

「酷いっ!! アルト君を離して!!」

 聖なる乙女(仮)のマリアさんがカエルを庇おうと身を投げ出す。イシリス様に触れようとした彼女は、そのまま蹴飛ばされた。かなり手心を加えていたから、少し打ち身ができたくらいね。

「「「マリア!!」」」

 蹲ったマリアの傍に駆け寄る、馬鹿王子と残りの馬鹿側近候補たち。

「無抵抗な女性に対して、なんたる非道!!」

 いやいや、貴方のお仲間が先に仕掛けてきたよね。

「聖なる乙女に対し、許されぬ行為だと思いなさい!!」

「僕は許さないからね!! マリアを傷付けるなんて!! アルト、今助けてあげるよ」

 魔法師団長の息子で魔法の天才君は、あろうことか、このパーティー会場で上級魔法を放ってきた。アホかこいつ。

 逃げ惑うパーティーの参加者たち。完全に、パーティー会場はパニック状態に陥っていた。

 普段冷静沈着なリアス様も、短い悲鳴を上げ私に縋り付く。それを面白くない様子で見ているイシリス様。

「これくらいは、我慢してくださいませ」

 そう苦笑しながら言うと、渋々許してくれた。

「…………嘘だ……俺の魔法が簡単に打ち消されるなんて……」

 私との会話の最中、寄ってきた虫を振り払うように、片手で意図も簡単に消したからね。プライドずたずたよね~いい気味。

「はぁ!? お前、マジに馬鹿か? こんな室内でその魔法はねーだろ?」

 完全に呆れ馬鹿にした様子で、イシリス様は天才君を見下す。

「煩い!! 煩い!!」

 地団駄を踏む天才君。

「まるで、駄々っ子の子供のようですわね」

 クスクスと笑いながら、私も同じように馬鹿にする。

「この悪魔が!! もはや、お前らは人間じゃない!! 悪魔だ!! 恥ずかしくないのか!? もはや、証拠など必要ない!! 聖なる乙女を虐げた罪で、貴様ら全員処刑だ!! なにをしている!? さっさと、奴らを捕まえろ!!」

 会場にいた騎士に、私たちを捕縛するように命令する馬鹿王子。

 馬鹿王子に庇われているマリアはニンマリと笑う。

 なるほどね。庇ったのはわざとか……蹴飛ばされるのも計算尽くってことね。なかなか、強かな女ね。さっきまで、悪い流れだったのを修正したってわけね。少々強引な気がするけど。起死回生を狙ったつもりだけど、残念、そう上手くはいかないわよ。

「止めなさい!!」

 気丈にも、リアス様は騎士を制する。

 マリアの笑みも深くなる。

「大丈夫ですわ、リアス様」

 私はリアス様にそう声を掛けると、ニッコリと満面な笑みを浮かべる。

 余裕な表情を見せる私に、訝しげな表情をするマリア。そんなマリアの様子に気付かず、馬鹿王子はさらに騎士に向かって命じた。

「さっさと捕縛しないか!!」

 まさに、騎士が動こうと手を伸ばした時だった。

「貴様ら、なにをしておるのだ!?」

 パーティー会場に怒号が響いた。

 残念ね、馬鹿王子。時間切れよ。

 それにしても、遅すぎない!? なに、チンタラしてたのよ!! 全く。さっさと、駆け付けなさいよね。自分の息子の不始末でしょうが。



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