言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

文字の大きさ
28 / 78
神罰が一回だけとは限らない

06 たまには私も堪能したいんです

しおりを挟む


「イシリス様、少し相談があるのですが……」

「相談?」

「リアス様のことです。リアス様って、自己評価低過ぎませんか?」

 リアス様と交わした会話を思い出しながら、私はイシリス様に相談する。

「あの女の自己評価が低いからといって、ミネリアになんの問題があるんだ?」

 ブラッシングが終わった後も、私の膝に顎を乗せたままイシリス様が答えた。

「問題はありませんが、気にはなるのです。あれほど優秀なのに、根本的なところで自信がないなんて」

 今は、マナーの先生をしてくれてるけど、いずれは私の専属侍女として、常に傍にいて欲しいと考えていたの。護衛侍女のジュリアと一緒にね。

 そして、ゆくゆくは幸せな結婚をして子供を産んでほしい。このベルケイド王国で幸せを掴んでほしいの。

「まぁ、あの王国では、あの女のような奴らは使い勝手のいい駒でしかないだろうな」

「確かに、そうですわね……」

 あの屑たちが王国の仕事などしないわね。特にあの元第一王子は、下半身に脳味噌が付いてるから絶対無理ね。リアス様に丸投げなのが丸わかりだわ。実際、学園内では生徒会の仕事丸投げしてたわ。

「そんなに気になるなら、一度、ダラキューロに訊いてみたらどうだ?」

「そうですね。親に訊くのが一番早いかも。ダラキューロ様に一度訊いてみますわ。ありがとうございます、イシリス様」

 私はイシリス様の頭を撫でる。

「ミネリア、あの女のことはもういいだろ。もっと、俺を撫でてくれ」

 焦れたイシリス様がそんなことを言ってきた。

「はい、イシリス様」

 私はクスリと笑うと、イシリス様の頭を撫で続けた。

 ほんとは一緒に寝て、そのお腹に顔を埋めたいんだけどね。なのに、どうしても、イシリス様は許してくれないんだよ。番になった頃はまだ小さくて、その時は許してくれてたのに。子供が産めるようになったら許してくれなくなった。自分はいつも私の匂いを嗅ぐのにね。不公平だと思わない。

「結婚したら、いくらでも許してやる。今は駄目だ」

 いつもそれ。

 我慢ができなくなるからって。

 私も、イシリス様の匂いを嗅ぎたいの!! 二人っきりなんだから、恥ずかしくないでしょ。

「その二人っきりが問題なんだ!!」

 イシリス様の口調が厳しくなる。

「二人っきりじゃなかったら、いいのですか!?」

 私も自然と声が大きくなった。

「なおさら、悪い!!」

「イシリス様は我儘ですわ!!」

 たまには、私もイシリス様を堪能したいのに。ずっと我慢なんて……ブラッシングは楽しいし幸せだけど、昔はフワフワなお腹の上で昼寝できたのに。

「……ほんと、結婚したら覚えていろよ」

 イシリス様は小さく低くい声でポツリと呟くと、腹を向けて寝っ転がる。

「はい!!」

 私は満面な笑みを浮かべると、イシリス様のお腹に飛び込んだ。

 顎下に顔を埋めてスリスリする。

 あ~~最高!! これよこれ!! 良い匂い。日向と美容液の匂いの中にイシリス様の匂いもする。とっても安心する匂い。そして、大好きな匂い。

 堪能する私に対して、大型犬よりやや大きくなったイシリス様の溜息が頭を擽る。

「マジで覚えていろよ……」

 悔しいのか、うめき声に近い声でイシリス様はボソッと呟いた。



しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

その発言、後悔しないで下さいね?

風見ゆうみ
恋愛
「君を愛する事は出来ない」「いちいちそんな宣言をしていただかなくても結構ですよ?」結婚式後、私、エレノアと旦那様であるシークス・クロフォード公爵が交わした会話は要約すると、そんな感じで、第1印象はお互いに良くありませんでした。 一緒に住んでいる義父母は優しいのですが、義妹はものすごく意地悪です。でも、そんな事を気にして、泣き寝入りする性格でもありません。 結婚式の次の日、旦那様にお話したい事があった私は、旦那様の執務室に行き、必要な話を終えた後に帰ろうとしますが、何もないところで躓いてしまいます。 一瞬、私の腕に何かが触れた気がしたのですが、そのまま私は転んでしまいました。 「大丈夫か?」と聞かれ、振り返ると、そこには長い白と黒の毛を持った大きな犬が! でも、話しかけてきた声は旦那様らしきものでしたのに、旦那様の姿がどこにも見当たりません! 「犬が喋りました! あの、よろしければ教えていただきたいのですが、旦那様を知りませんか?」「ここにいる!」「ですから旦那様はどこに?」「俺だ!」「あなたは、わんちゃんです! 旦那様ではありません!」 ※カクヨムさんで加筆修正版を投稿しています。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法や呪いも存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。 ※クズがいますので、ご注意下さい。 ※ざまぁは過度なものではありません。

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

それは私の仕事ではありません

mios
恋愛
手伝ってほしい?嫌ですけど。自分の仕事ぐらい自分でしてください。

婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』

鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。 --

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです

風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。 婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。 そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!? え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!? ※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。 ※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。

笑い方を忘れた令嬢

Blue
恋愛
 お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です

流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。 父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。 無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。 純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

処理中です...