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神罰が一回だけとは限らない
07 ずっと不思議でしたの
しおりを挟む「失礼いたします」
そう声を掛け部屋に入って来たのは、リアス様のお父様のダラキューロ様。
今日、リアス様は他の侍女と共に王都に使いにやっているから大丈夫。同行している侍女にはできる限り、時間を延ばすように指示してるしね。
「どうぞ、お座りになって」
私がそう答えると、ダラキューロ様はソファーに腰を下ろした。侍女と騎士は脇に控えている。
向かいに座る私の隣には、もちろんイシリス様。二人っきりで話したいってお願いしたけど、一笑されちゃったわ。ダラキューロ様って、お父様と年齢変わんないのにね。おかしいよね。
「ミネリア王女殿下、今日もご機嫌麗しくーー」
「固っ苦しい挨拶は不要ですわ」
私はダラキューロ様の挨拶を遮る。時間が勿体ないからね。
「わかりました」
小娘に遮られても、表情一つ変えないわ。さすがね。
「ダラキューロ様、ベルケイド王国には慣れましたか?」
お茶をすすめながら尋ねた。
「そうですね。こちらに来てから、色々ありましたが、充実した日々を過ごさせてもらっております」
色々ね……オブラート、百枚包んでやっとそう表現できるんじゃないかな。皆、過激だからね。なんせ、日々、魔物と対峙している家だから仕方ないわ。家族愛強いし。
「それなら、よかったですわ。これからも、お父様とベルケイド王国をよろしくお願いしますね、ダラキューロ様」
「はい」
「ダラキューロ様、実はお訊きしたいことがありまして、本日、ここにお呼びいたしましたの」
「訊きたいことですか? リアスが何か粗相を?」
宰相の顔から父親の顔になる、ダラキューロ様。
好感度上昇中。
イシリス様の機嫌は急降下。
「いいえ。リアス様はよくしてくださりますわ。博識で、マナーも長けていらっしゃいます。私みたいな、成り立てホヤホヤの小国の王女にとって、リアス様はなくてはならない存在ですわ」
「……そう言っていただくと、リアスも喜ぶと思います」
そう答えるダラキューロ様の表情が一瞬曇ったように感じた。気のせいって言われたら、そうかと納得しそうなくらいだけど。
「ダラキューロ様、まだ先の話になりますが、私はリアス様に、私の専属侍女になって欲しいと考えていますの。それだけの能力と信頼がありますから。しかし……今のままでは、専属にはできませんわ。どうしてか、わかりますか?」
「……自己評価の低さですか」
ちゃんと、娘のことを見ているのね。さらに好感度上昇。なら、話が早いわ。
「ええ。侍女とはいえ、私の専属になれば、文官の仕事を兼ねることになります。時には、聖騎士団やお兄様の従者、魔法師団とも交渉することがあるでしょう。……確かに、リアス様自身、交渉術を身に付けていらっしゃるようですが、我がベルケイド王国は、王国や他国ほど甘くはありませんわ。皆、過激で曲者揃いですからね、簡単に食われてしまいます。それでは困るのです。なので、ダラキューロ様にお訊きしたいのです。なぜ、リアス様は、そこまで自己評価が低いのですか?」
「それは……」
ダラキューロ様は言い淀む。
私はさらに続けた。
「ずっと、不思議でならなかったの。だって、リアス様は努力を惜しまない方よ。何度も何度も躓き、それでも折れることなく努力し、今のリアス様がいる。そんなの一目見れば、すぐにわかりますわ。私は知ってますもの。努力し、身に付けたものは自信に繋がるってことを。でも、リアス様は違う。それはなぜ? ……実際、ここに来てからも、リアス様は頑張ってますわ。わからないことがあれば、他の侍女に頭を下げ訊いている。そんなこと、普通の公爵家の令嬢が普通できると思います? できませんわ。それができるから、私はリアス様を傍に置きたいと思ったのです。……もう一度訊きますわ。なぜ、リアス様は自己評価が低いのですか?」
絶対、答えてもらうわよ。やや圧を加えながら、私はダラキューロ様に再度尋ねた。
「……それは、全て、娘を護れなかった私が悪いのです」
少しの間の後、ダラキューロ様は苦しそうにそう告げ、話しだした。その内容は、私が想像していたことを遥かに超えたものだったの。
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