言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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神罰が一回だけとは限らない

08 王印

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 ものすごく苦しそうに、自分が悪いのだと告げるダラキューロ様。

 子煩悩なダラキューロ様が、と考えはしたけど、あの屑たちがいる王国で宰相を務めていたのだから、色々あったのかもしれない。そんなことを考えながら、私は尋ねた。

「リアス様を護れなかった……それは、どういう意味ですか? ダラキューロ様」

「ミネリア王女殿下は、あの王国の王族たちが国の仕事をすると思いますか?」

 質問を質問で返される。

「しないでしょうね。もししたとしても、自分たちの利益になる政策ばかりで、民にとったら、愚策でしかないでしょう」

 なんせ、皆、下半身に脳味噌が付いてる一族だからね。本能に忠実でしょ。今は、その自慢の下半身も腐り落ちてるでしょうね。

「ええ。かえって、手を出されない方がこちらとしては助かる有り様でした。とはいえ、全てを私どもで取り計らうことはできません」

 ここまで聞いて理解した。

「……王印ですね」

 いくら宰相でも、王印を自由に使えはしない。

 もし使ったら、罰せられるわ。一族全員処刑されてもおかしくないわよ。それくらい重罪なの。

 さぞかし大変だったでしょうね、ダラキューロ様。屑国王しか王印を持つことは許されていないのだから。

 絶対、屑王族たちは書類には目を通さないだろうし。判子を押すだけなんだけど、あの屑たちはそれすら億劫だと言ってしなさそうだわ。っていうか、難癖つけてしないわね。

「はい。決定権は屑とはいえ国王にありますから」

 さりげに、屑って言ったわね。段々、ベルケイド王国に染まってきたみたいね。それにしても、当時を思い出したのか、ダラキューロ様、一気に老けたわね。ちょっと同情するわ。

「仕事をしない屑国王に、王印を押してもらうのはさぞかし大変だったでしょう、ダラキューロ様」

 私なら、絶対キレて殴ってたわ。そのまま、王都を出奔したわね。付き合いきれなくて。

「はい。途中まではそうでした。のらりくらりと逃げる屑国王を捕まえ、無理矢理王印を押させていました。しかし、なぜか、途中から楽になりました。頼めば、次の日の朝には押されていましたので、根負けして、少しは仕事をする気になったのかと、その時は思ったのです」

 その口調なら、違ったようね。それは、表情からも伺える。とても苦々しい表情だったから。ダラキューロ様の、そんな表情見たことないわ。

 えっ!? でも、それおかしくない? 

 王印は国王が持っているのよ。

 国王不在の時は、王妃殿下か王太子に渡されるけど、それ以外で国王以外が使ったら罪に問われるわ。まるでダラキューロ様は、国王以外が押したように言ってるけど……まさか、あの屑たちが代わって仕事をしたとは思えないけど……なら、一体誰が?

 そこまで考えた時、脳裏にリアス様の顔が過ぎった。

 いや、まさかーー

 否定したいけど、否定できない。

「…………もしかして、王印を押していたのは、リアス様ですか?」

 思いのほか、低い声で尋ねていた。

「察しの通りです。途中から、王印はリアスが押していました」

「なぜ!?」

 間髪入れずに問いただす。

「屑国王たちは私が知らないところで、リアスの友人を殺し脅していたのです」

 返って来た答えは、私の想像を遥かに超えていた。悪い方向で。


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