言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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成り立てほやほや王女殿下の初外交

03 馬車の中で

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「……本当に、私が同行してもよろしいのでしょうか?」

 もう、馬車はエンドキサン王国に向かって出発しているのに、何度もリアス様はそう訊いてくる。その度に、私は同じ台詞を繰り返した。

「当然ですわ。リアス様が同行してくれないと、私が困りますわ。だって、まだ先生から合格点をもらっていませんもの」

 事実、そうだからね。これでも、内心不安でいっぱいなんだよ。気が強くて、口の悪い私が王女様なんだからね。それも、成り立てホヤホヤの。不安要素しかないわ。

 そんな私の不安を嗅ぎ取ったのか、膝の上で丸まって寝ていた銀色の子狼が、起きて私の手の甲をペロペロと舐めて癒やしてくれる。

 ん~~、超可愛い~!!

 イシリス様が同行できないから、代わりにイシリス様の分霊を貸してくれたの。とはいえ、ちびっ子でも、イシリス様にはかわりないんだけどね。

 もし、私とイシリス様の間にできた子供って、やっぱり獣の姿なのかな。だったら、最高よね。構い倒すに決まってるわ。あっ、でも、構い過ぎて嫌われたら立ち直れない。

「ミネリア王女殿下、その心配は早過ぎですよ。……まだまだ、合格点は出せませんね」

 リアス様が苦笑しながら言った。

 あれ? もしかして、口に出てた? ってことは、淑女らしくない口調のままで? 

「……口に出てました?」

「はい。気が抜けてるのはわかりますが、誰に聞かれるかわからないのです。特に、今から訪れる国は魑魅魍魎がばっこする場、常に緊張感を保ち続けなければなりません。口調もそうですが、胸の内を口にするなど、もってのほかです」

 さっきまでの気の弱さはどこへやら、完全に先生モードだわ。うん。それでいい。

「以後、気を付けますわ。リアス先生」

「はい。私も精一杯、ミネリア王女殿下をお支えします」

「ありがとう、リアス様。とても心強いですわ」

 本心からそう思う。

「ならば、これから先、私のことをリアスとお呼びください。私はミネリア王女殿下の臣でありますから」

 リアス様に指摘されるまで気付かなかった。学生時代からそうだったから。何も考えずにそう呼んでたけど、今は立場が逆転したのよね。リアス様のいや、リアスの言う通りだわ。先生呼びならまだしも、様はない。臣ならなおさら。心情では友人であり、頼れる先生だけど。

「わかりましたわ。これからは、リアスと呼びます。リアス、これから先、隣で私を支えなさい。いいですね」

 私はリアスを見詰め、そう告げた。

「はい。畏まりました」

 リアスは腰を掛けたまま、私に向かって深々と頭を垂れた。

 そうーー検討した結果、私たちは二つ目の案を選択したの。

 一つ目を選択してもよかったけど、また書簡が送られたら面倒くさいし、いつまでも拒否し続けるのも、そのうち難しくなるからね。

 先延ばしにし続けるよりも、まだダメージが少ないうちに、すます方がマシと考えたのよ。その分、こちら側に有利に動かせるでしょ。

 それに、あのダラキューロ様がつけいる隙きがあるって言ったのよ。だったら、それを信用して賭けるしかないでしょ。そもそも、ダラキューロ様はできないことを口にする方じゃない。これでも、私はダラキューロ様を信用してるのよ。そうは見えないかもしれないけどね。

 
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