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成り立てほやほや王女殿下の初外交
04 喧嘩を買いに行きましょう
しおりを挟むエンドキサン王国に到着して一週間。
私は完全に疲労困憊していた。特に精神的にね。
あ~疲れた~~マジ、疲れたわ。なんで、あんなにお茶会やパーティーが好きなのよ、貴族って奴は。まぁ、自分も貴族、それも王女だけどね……成り立てホヤホヤだけど。普段使わない表情筋を使い巻くってたら、口を開けるのも痛くなったわ。
お父様はお父様で、大勢の方からの訪問の申し出に辟易してるみたい。他国にしてみたら、格好の機会だもん、しょうがないよね。早急に開くべき会議はどこにいったよ。到着して、三日後にそれらしき会議が開かれたけど、一時間も掛からなかったわよ。それ以後は、述べた通り。お父様、内心、後悔してるの見え見え。国王陛下になったのだから頑張ってね。それは私にも言えるわね。ブーメランだったわ。でもまぁ、本当に大変なのは、面会希望の方々を捌く従者たちだけどね。
さてと……現状はここまでとして、ダラキューロ様が言っていた付け入る隙きってやつだけど、今の所は、私に対して、直接何も仕掛けて来ないわ。ちょっと残念だけど、裏では動いている気配を感じてるのよね。
それに関しては、お父様子飼の暗部とダラキューロ様子飼の暗部が調べてくれている。うちの暗部も優秀だけど、負けず劣らず、ダラキューロ様の暗部も優秀なの。じゃなければ、大国に向かって、付け入る隙きがあるとは言わないでしょ。ほんと、スカウトしてよかったわ。即決した私、褒めたい。
「ミネリア様、失礼します」
考えごとをしていたら、侍女のジュリアが私の頬に手を伸ばしてきた。
反応する前に、頬を乱暴に揉まれた。
「痛っ!! ジュリア、痛い!!」
「少し我慢してくださいませ。これで、口を開けるのがマシになりますから」
相変わらず表情を変えることなく、淡々とジュリアは言った。
揉まれること数分。
「どうですか、ミネリア王女殿下? 少しはマシになりましたでしょう」
ジュリアにそう言われて、口を開け締めしてみたら、かなりどころか、全然痛くない。
「凄い!! 全然痛くないわ!!」
感動だわ、感動。なら、体のマッサージもして貰えばよかった。なんで、今までして貰えなかったのよ。ク~~。
「それは、聖獣様に訊いてください」
ジュリアは私の膝の上に座る子狼に視線を向ける。
「イシリス様に?」
私もつられて膝に座る子狼を見た。子狼はビクッと体を震わす。何か言ったな。
「婚姻関係も結んでいないのに、自分より先に、その体に直接触れるのは許さないと仰りましたので、控えておりました」
想像できるわ。じゅうぶん、あり得るもの。ラリーお兄様でさえ、私に直接触れるのを躊躇していた時もあったからね。
にっこりと微笑んだ私を見て、子狼は身を竦ませた。完全に目が泳いでるわ。狼でも泳ぐのね。
「筋肉痛に苦しんでいたのを傍で見ていたイシリス様がね……これは、話し合わなければいけませんね、じっくりと。……それで、そのことを今話した理由は?」
イシリス様との話し合いは後からできるからね。
「これから、口を動かさなければならないと思いまして」
その言葉の意味を知り、私はニヤリと笑う。
「ジュリアはリアスをいたく気に入ったようね。珍しい」
「彼女は仕事熱心で、責任感があります。人を色眼鏡で見たりはしない。高く評価しておかしいでしょうか?」
本当はそれだけじゃないでしょ。ダラキューロ様との話しを間近で聞いていた一人だものね。あの時、その体から漏れ出た殺気は相当だったわよ。
「そうね、リアスは優秀だもの。当然ですわね。さてと、お馬鹿さんにお説教をしに行かねばなりませんね。やっと、お揃いになられたみたいだし。ジュリア、場所はもちろん把握しているのでしょ。案内しなさい。出てきたのなら、容赦はしないわ」
直接私に仕掛けては来ないけど、取り巻きと、自分付きの侍女に色々させていることに気付いていた。
その標的が、リアスだってことも知っている。
王国の元婚約者。たったそれだけの理由でね。
本当なら、早々に手を打ちたかった。だけど、侍女間だけなら、尻尾を切られたら終わりだもの。次からは、慎重に人を変えて仕掛けてくるわ。より悪質になったら困るから、皆と相談して、ここはグッと我慢することにしたの。
多少なりとも、反発があるのは、リアスもわかっていたはず。私もね。でも、かすかに、血の匂いを滲ませたのは明らかにやり過ぎよ。それも見えないところにね。悪質だし陰険だわ。性格出てる~。ジュリアを傍に置いていたから、それ以上、酷いことはされてないけど。さすがに、我慢の限界が来ていたのよね。リアスはもうベルケイド王国の民だもの。
揃ってくれたことに心から感謝するわ。ベルケイド王国側が、反対に付け入る隙きを与えることにならなくてすみそうだもの。
「畏まりました」
ジュリアは軽く頭を下げる。
「では、行きましょうか。お馬鹿さんたちの喧嘩を買いに」
「お説教では?」
「お説教ですむと思います?」
ベルケイド王国の民に手を出したことを後悔させてあげるわ。今日はそのための一石よ。
「愚問でしたね」
ジュリアも中々いい性格してるのよね。私もそうだけど。
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