42 / 78
成り立てほやほや王女殿下の初外交
08 魔鷹
しおりを挟む二日後ーー。
予想していた通り、エンドキサン王国は国境を一部封鎖を命じたみたい。ベルケイド王国に一部接しているところをね。
早い早い。
さすが、大国と言われてるだけはあるわね。お金持ち~。だって、こんな離れた駐屯基地に、数多くいる伝令の中で最高ランクの魔鷹を飛ばしてるんだもの。普通、魔鷹は有事でしか飛ばさないわよ。国境を護っている兵士は、ベルケイド王国と自国が戦争をするって勘違いしてもおかしくないわね。
それはさておき、私たちも、もちろんエンドキサン王国を倣って国境を封鎖したわよ。エンドキサン王国が封鎖したら、封鎖するように通達ずみだから。
兵士たちの間で一気に高まる緊張感。
それで、エンドキサン王国側は知ったみたいね。私たちがもうすでに、ベルケイド王国に戻って来てたってことに。
国境を封鎖した意味ないわよね~。ご苦労様でした。お疲れ様です。でも、必要ないからって簡単に解けないよね~。大国としてのプライドが邪魔して。いるかな、そのプライド。
今頃、エンドキサン国王は、内心軽く見ていた小国に手玉に取られて、悔しがってるでしょうね。聖獣様がいなければ、何もない田舎小国だって馬鹿にしてたでしょうから。
ほんと、愚か。
そんな風に見られることは、誰よりも、私やお父様、ラリーお兄様が身に沁みしてわかっていたのよ。実際、陰口叩かれていたからね。
だから、家族全員でイシリス様に頼らなくても成り立つように頑張った。
聖騎士の育成にも力を入れた。ポーションなどの薬品向上のために、研究所と薬草専門の畑をつくった。食料も輸入に頼ることなく、自国で民全員が賄えるようにした。魔法具の作製も材料も、自国で行えるようにした。時間は掛かったけど、どうにかできるようになったの。
だから、軽く見られても全然平気。困らない。
上辺だけみて、選択を間違えたのは貴方たち。エンドキサン王国側責任よ。
それ以前に、他国の侍女を了承を得ずに勝手に使い、虐めたのは論外。決して許される問題じゃないわ。国家間の火種になる案件よ。リアスじゃなくてもね。それを、自国の第一王女にしっかりと教育していなかった、貴方たちの責任よね。
そして、傍に共に行動していた腰巾着たちも、第一王女に進言することなく一緒に笑っていた。自分の子供をきちんと教育できなかったのは、国王陛下たちと同じね。
「……あら? 魔鷹だわ」
大空を優雅に格好良く飛ぶ姿を見て、私は呟く。
「我が国のものではありませんね……あの国印はエンドキサン王国のものです」
魔鷹の首元に付けられてる首輪を見て、ジュリアは答えた。
「……よく見えるわね。私には国印が点でしか見えませんわ」
私もまだまだですね。ラリーお兄様やお父様なら、ジュリアのようにはっきりと見えるんでしょうね。もっと鍛えないと。
いつもならここで、イシリス様が「ミネリアは鍛えなくていいよ。俺が護るから」とか、甘い台詞を吐いてくるのだけど、今回はそれは無し。
例の話し合いの結果、半径三メートル圏内に、一週間入らないように決まったから。なので、今は離れた場所でク~ンと鳴いてるわ。といって、分霊体の子狼ちゃんを付けるのも嫌で、ジレンマに陥っているみたいね。しっかり反省してくださいね、イシリス様。
「……どうかしましたか? リアス」
不思議そうな表情をしているので訊いてみた。
「いえ、普通、首輪でさえ見えないはずなのに……」
「ああ、魔鷹の首輪のことですね。魔力を強化しただけですよ、目に」
そう答えると、リアスはすっごく驚いていた。
そんなに驚くことじゃないんだけどな、ここでは。
「そうなのですか!?」
「ええ。魔物の討伐を生業にしている者なら、大概できますよ。できないと、まず生き残れませんから。ハンターの実技試験になってるほどですよ」
これでも、私はハンター資格を有してるからね、ちゃんとその実技試験は受けたわ。
「初めて聞きました」
「その実技試験は、ベルケイド王国特有らしいですよ。他では聞いたことはありませんから」
「そうなのですね」
はにかんだような、リアスの笑み。ごちそうさまです。
「ミネリア王女殿下、リアスと和むのはいいですが、そろそろ、執務室に向かった方がいいと思いますよ」
少し呆れながら、ジュリアが口を挟んできた。
「そうね……」
空を見上げながら、私は頷いた。
171
あなたにおすすめの小説
その発言、後悔しないで下さいね?
風見ゆうみ
恋愛
「君を愛する事は出来ない」「いちいちそんな宣言をしていただかなくても結構ですよ?」結婚式後、私、エレノアと旦那様であるシークス・クロフォード公爵が交わした会話は要約すると、そんな感じで、第1印象はお互いに良くありませんでした。
一緒に住んでいる義父母は優しいのですが、義妹はものすごく意地悪です。でも、そんな事を気にして、泣き寝入りする性格でもありません。
結婚式の次の日、旦那様にお話したい事があった私は、旦那様の執務室に行き、必要な話を終えた後に帰ろうとしますが、何もないところで躓いてしまいます。
一瞬、私の腕に何かが触れた気がしたのですが、そのまま私は転んでしまいました。
「大丈夫か?」と聞かれ、振り返ると、そこには長い白と黒の毛を持った大きな犬が!
でも、話しかけてきた声は旦那様らしきものでしたのに、旦那様の姿がどこにも見当たりません!
「犬が喋りました! あの、よろしければ教えていただきたいのですが、旦那様を知りませんか?」「ここにいる!」「ですから旦那様はどこに?」「俺だ!」「あなたは、わんちゃんです! 旦那様ではありません!」
※カクヨムさんで加筆修正版を投稿しています。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法や呪いも存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
※クズがいますので、ご注意下さい。
※ざまぁは過度なものではありません。
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる