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成り立てほやほや王女殿下の初外交
07 小国舐めんなよ
「……それはそれは、選択を完全に間違えましたね、エンドキサン王国は」
帰って来た私たちは、出迎えてくれたラリーお兄様とダラキューロ様にあったことを報告。
にっこりと微笑みながら、ダラキューロ様は感想を述べた。
目、笑ってないわ。
「大国だから、下に見たんだろうな」
これはラリーお兄様。
「でしょうね。小国とはいえ、一国の扱いではありませんもの。ベルケイド王国はエンドキサン王国の属国でもないのに。そもそも、国の大きさで優劣を判断するなんて、失礼にもほどがありますわ」
周辺諸国間では、大国だからそれが許されていたんだろうけど、ベルケイド王国がそれを許すって考えたのが大間違い。慢性化し過ぎて、そのへんの感覚が完全に麻痺してたみたいね。
「友好国としてのサインをする前ってところが、エンドキサン王国の間抜けなところだな」
心底呆れながら、ラリーお兄様は言う。
「緊急だと招集したわりには、会議をしたのは到着してから三日後。その時に交していたら、多少は対応も変わってたのに。ほんと、間抜けですわ。詰めが甘過ぎです。それにしても、表の評価と本質があまりにも違うことに驚きましたわ」
エンドキサン王国の評判はすこぶる良かったのに。
「それを勉強することができたんだ、ミネリアにとっては成果があったな。……まぁ、そんな間抜けな国だから、他国の侍女であるリアスのことを辱めることができたんだろ。普通、できないからな」
ごもっともです、ラリーお兄様。
私とラリーお兄様が話していると、クククと笑う声が聞こえた。お父様だ。
「今、さぞかし慌ててるだろうな、あいつら」
お父様が愉快そうな声に、私の口元にも笑みが浮かぶわ。
「陛下が追い返して、代わりの者が訪れたらもぬけの殻。転がるように王城に戻り、報告している頃かしら。慌てて、国境を封鎖したりして」
私はコロコロと笑いながら答える。
エンドキサン王国にも意地があるからね。なんとしてでも、ベルケイド王国と友好関係になろうとするわ。それはそれで、周辺諸国にはどう映るかな。かなり、心象は悪くなると思うけど。ジワジワとくるわよ、これ。
「なら、俺たちも同じように国境を封鎖するだけだ」
お父様はニヤリと笑いながら言った。
全員頷く。
友好国じゃないもの。国交自体を断絶してもおかしくないからね。商会もエンドキサン王国以外にツテがあるし、特に困らない。食料も輸入していないし、魔石などの日用品に関しても、自国でじゅうぶん補充できる。もちろん、魔法具製作もね。
リアスを虐めたこと、絶対に許しはしない。
ベルケイド王国を小国だと思って舐めんじゃないわよ。
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