言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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聖国の大神官長様、今度は遊びに来る

03 ユーリ様

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「確かに……としか、言えませんね」

 さすがに否定できないわ。

「まさか、あの者が、それほど無能だとは思いませんでした」

「いや……無能とまでは、言えないと思いますわ」

 あの妹と元国王が無能なのは確かだけど、王太子殿下は違うきがする。まぁ、身内に甘いのは認めるけどね。

「無能です。あの妹と元国王が問題を起こすのは、目に見えて明らかだったのに、放置していた。無能でなければ、ありえないでしょう」

 キッパリと否定されたわ。うん、まだ目が笑ってないわね。でも、つい、ポロリと本音が出てしまったわ。「身も蓋もない」ってね。

「ミネリア様は、あの無能をかっているのですか?」

 そうきますよね。ここで、私を敵認定しないでよ。されると非常に困るから。

「かってはいませんよ。ただ、ことを起こした後の対処が早かったなと、思っただけですわ」

「ことを起こさないようにすべきだと、私は思います」

 ユーリ様ならそうするわね。でも、できない時も立場もある。ユーリ様なら、そこはよく理解しているはず。そのユーリ様が言うのだから、何度も助言していたんだと思うわ。

 それを聞かなかったのは、王太子殿下自身。

「それが一番ですわね。ユーリ様は何度も助言したのでしょ」

「した。しかし、言葉を濁すだけで、対処しようとはしなかった。三度目で諦めました」

 ユーリ様から三度も助言されてるのに、聞かないって駄目じゃん。そっか……ユーリ様って、王太子殿下にそれなりに愛情があったのね。そもそも、なぜ王太子殿下と婚約を結んだのか知りたいわね。

「……一つ訊いても、よろしいですか?」

「何をです?」

「王太子殿下とどうして婚約を?」

 私がそう尋ねると、ユーリ様は少し悩んでから話しだした。

 切り出したのはユーリ様なんだからね。

「話すと長くなりますが、私が婚約を交わしたのは、現国王からの申し出です。交わした当時は前国王でしたが」

「元国王ではなく、現国王様……大した手腕ですね」

 ユーリ様に目を付け、婚約を交わすなんて。

「当時、修女の一人でしかなかった、農村の出の私に白矢をたてるなんて、現国王の人を見る目は大したものです」

 自分で自分を誉めるのはいいわ。それよりも、

「はぁ!? ユーリ様って、平民なんですか!?」

 そこが気になるわ。だって、イシリス様とは違うけど、なんというか……侵し難い雰囲気があるっていうか……大神官長様だからだろうけど。

「見えませんか?」

 いたずらっ子のような目をしながら尋ねてくる。

「ええ、見えないわ。私は修女時代のユーリ様を知りませんから」

「……そうですね。ミネリア様は知りませんね」

 なぜか、落ち込むユーリ様。

「だとしたら、ユーリ様って、さぞかし努力と危険な目にあって来たんでしょうね。エンドキサン王国の後ろ盾があったとしても、別の国。細かいところまで目が行き届きませんもの」

 そう告げると、ユーリ様の大きなクリクリとした目が、さらに大きくなった。

「……平民の私が、大神官長になることをおかしいとは思わないのですか?」

 その問いに、私は首を傾げる。

「かえって、安心しましたわ。だって、身分関係なく、力ある者が、その地位に就くことができたのだから」

 これでも私は、ユーリ様を認めているんだから。ユーリ様以外に、大神官長を務めれる人はいないわ。現にイシリス様が認めているんだもの、当然、創世神様もユーリ様を認めている。

 じゃなきゃあ、祈りの時、神々しいものを感じたりしないわよ。

「…………そういうところが、凄く嫌です」

 そう告げるユーリ様の顔は、言葉に反して、泣きそうな顔で笑っていた。

 私とそう年の変わらない少女がそこにいたの。


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