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聖国の大神官長様、今度は遊びに来る
02 女子会
しおりを挟む私がベッドに入るまで、ユーリ様はポンポンと叩き続ける。
押し強いわね。それに、しつこい。
軽く溜め息を吐いてから、仕方なしにベッドに入ると、すっごく嬉しそうに笑うユーリ様。
顔面偏差値が高い人間って得よね……つくづく、そう思うわ。平凡な私が同じことをしても様にはならないもの。反対にやるなって言われそうだわ。喜ぶのは、イシリス様ぐらいね。
「……一度してみたかったのです。女子会っていうものを」
隣で横になると、ユーリ様はそんなことを言い出した。
「女子会ですか……」
よく知ってたわね、その単語。でも……ちょっと違うと思う。私自身したことないから言えないけど、美味しい紅茶とかお菓子を食べながらするやつじゃないの?
「ミネリア様、女子会って、主に恋バナとかが主流ですよね」
恋バナって……世俗から一番離れた場所にいる貴女の口から聞くとは思わなかったわ。
「まぁ……確かに、それが一番の話題ですが、もしかして、ユーリ様、誰か意中の方でもいるのですか!?」
考えてみれば、ユーリ様に婚約者がいてもおかしくはないわね。全然想像できないけど。信仰している神は創世神様、夫婦神だもの、神官や修女が恋をして夫婦になることも珍しくないし。離婚はなかなかできないけどね。
でも、ユーリ様がね……
「……一応、婚約者はいます」
お~~ユーリ様に!! 断然、興味出てきたわ!!
「どのような方ですか!?」
すっごく、食い付いてしまったわ。
「ミネリア様がよく知っている方です。でも、近々、婚約破棄をしようと考えています」
苦笑しながら、ユーリ様は告げる。
婚約破棄って、穏やかじゃないわね。でも、ユーリ様の身分なら、さほど問題なくできるだろうけど。っていうか、文句言えないよね~。
う~ん、私が知っている人で、近々、婚約破棄をされそうな問題を起こした未婚男性……となると、一人しか思い浮かばない。
もし、私の想像通りなら、とんだとばっちりよね。身内に馬鹿がいたせいで。まぁ馬鹿の対処が遅過ぎたのは、自分たちのせいだし、ある意味自業自得っていうか……可哀想だとは思うけど。同情はしない。
「……まさか、エンドキサン王国の王太子殿下?」
思い浮かんだ人物を口にする。
確か……婚約者はいるって聞いたことはあるわ。でも、社交界に一度も姿を現していないから、本当に婚約者がいるか、話題になってたのを小耳に挟んだことがあるわね。
ユーリ様が婚約者なら、社交界には顔出せないわ。とんだ騒ぎになるもの。無理無理。
というか、一国がそんなに力持っていいの? そっちの方が疑問だわ。そう言えば、私、ユーリ様のこと何も知らないわね。例えば、出身地とか。エンドキサン王国なのかな? それとも、別の国の王族?
「はい。幼少時からの婚約者です。そもそも、婚姻しても別居確定でしたが。でも、それも終わりです」
別居確定って……結婚の意味あるの?
疑問に感じたけど、それぞれの意向があるから、あえて訊かなかった。代わりに、婚約破棄の理由を訊いてみる。
「なぜ? って訊いてもいいでしょうか?」
まぁ、だいたいの理由はわかるけど。
「自分の身内を制御できない者に、私の伴侶はつとまりません」
でしょうね。
キッパリと笑顔で切り捨てたユーリ様の目は、ちっとも笑っていなかった。
二人だけの女子会、まだまだ続きそうです。
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