放置令嬢 選択スキルでスローライフ満喫します 聖女をお探しのようですが私は関係ありません

しろこねこ

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7 できる令嬢

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背中に大きな剣を背負ったジルと歩いて街はずれの森に行く。
かっこいいね。さすが私のピンクさん。
大きな街道には領地の境に関所があって守衛がいるけど、森には自由に行ける。
亜空間ポケットがあるけどあんまり人に言ったらダメなやつだからちゃんと鞄もってるよ。
ななめがけリュックみたいな感じで、もしもの時にリュックから出したふりをしながら私の亜空間ポケットから出せる位置にずらせるタイプ。
あいかわらず私の亜空間ポケットは本物のポケットがないと出せなくて、何もないところからは出せないんだよね。
イメージの問題だと思うんだけど。
小さい時からネコ型ロボットが刷り込まれてるからだね。
刷り込み恐るべし。

初心者むけなのは薬草採取なんかの常時クエストで、ハージっていう薬草なんかは簡単に見つかる。
ジルさんは毒がある草とかを教えてくれながら、さりげなく周囲の警戒もしてくれてる。
森の浅いところだから強暴な魔獣が出る事はないらしいけど、この辺でもスライムなんかはいるみたい。
レッドモンキーは長い手を伸ばして人の食べ物とか取ってっちゃうんだって。

「ルチア、ヒナタ草だ。見つけにくいから初心者にはいい金になる。」

ジルが見せてくれたヒナタ草をじっくり見る。
ふむふむヒナタ草ですね。
私はヒナタ草と念じながら細目で森を見渡した。

「はは。ルチア、おもしろい顔してどうし「あったあ。」

細目で見るとピンクのもやが数か所見つかった。
かけよって採取して「ジルさん、ありましたよ。」とジルに見せる。
同じ事を繰り返すこと数回。
私の手には12本のヒナタ草。そしてなぜか呆然とするジル。

「ジルさん?どうかしましたか?
見てください。ヒナタ草こんなに見つかりました。」
「あ、ああ。いや、こんなに簡単に見つからないはずなんだが…。」
「そうなんですね。じゃあ、今日はついてますね。」
「ついてる?そうだな…?」

なんだか腑に落ちな表情のジルだけど、気にしないで採取を続けよう。

昼過ぎになってジルが休憩にしようと岩の上に腰を下ろした。
お昼を食べない冒険者も多いみたいだけど、私は体力ないからお腹がすいちゃうんだよね。
ジルの隣に腰かけた私は亜空間ポケットからサンドイッチを取り出した。
ふふ。できる女はいつでも鞄に食べ物を常備しておくものなんだよ。テレビで女子アナが言ってたよ。

「ジルさん、サンンドイッチですけど良かったら。あとスープも。」

ジルにサンドイッチを渡してスープも取り出す。
風のスキルで「彫刻」の魔法が使えるようになったんだよね。
スープは「彫刻」で作った木の器によそって収納してあるのだ。
もちろん亜空間ポケットの中は時間停止してるから熱いものは熱いまま。
便利だね。

「ああ、ありがとう。って、どこから?ってか、熱っ、スープ熱っ!」

「あ、すみません。熱かったですね。」

失敗。こういう時のためにちょっとしたテーブルがあるといいね。
ジルが固まってるけど、こういう時は提供者から食べた方がいいのかな?
ほら、毒は入ってないですよーってアピるために。
サンドイッチをひと口かじってからジルにおすすめする。

ようやく食べ始めたジルと並んでむしゃむしゃと食べていると、急に目の前にレッドモンキーの顔が現れて、ニタッと歯をむき出しにして笑うと食べかけのサンドイッチを持ち去られてしまった。

「きゃあ。」

驚いた拍子にジルに思い切り寄りかかってしまう。

「あ、すみません。」
「いや、こちらこそすまない。理解不能な事があった気がして警戒を怠っていた。」

ジルが手についた土を払いながら謝ってくれる。私こそ申し訳ない。
ジルは私を支えたときに地面に手をついてしまったらしい。
よく見ると手のひらが汚れて血がにじんでいる。

「ジルさん、血が。」
「ああ、手をついたところにとっがた石があった。たいしたことない。」
「でも、あ、せめて汚れを洗わせてください。」

ジルに怪我をさせてしまったことが申し訳なくて、せめて傷の洗浄をさせてほしいと私は水を出した。
ホントは消毒とかできるといいんだけどなと思いながら手のひらの汚れた部分に水をかけていくと、汚れとともに擦り傷もすーっと消えていく。
えーっ。傷あったよね?なかった?え。でも、血が出てたし。

「あー、ジルさん、よかった。怪我してなかったみたいですね。綺麗になりましたよ。…すっごく。」

内心バクバクしながら、ほとんど棒読みでジルに告げる。

「は?いやいやいや、待て。確かに…いや、気のせいか?」

手のひらを凝視しながらジルがぶつぶついってるけど、そう気のせい気のせい。




ジルとギルドに戻り、クエストの精算をしてもらった。

「ルチアちゃん初クエストお疲れさま。
おお、ヒナタ草がこんなに?さすがジルだね。」

ウィルが手早く薬草を数えるのを見ながら私が採取したんだけどねと思った。
ヒナタ草は1本銀貨1枚でハージ草の1束大銅貨2枚にくらべてだいぶ高額だったため、今日の成果は大銀貨1枚銀貨8枚大銅貨6だった。
I級としてはかなりのもんだよとウィルに褒められた。




家に帰ってステータス確認する。

「…やっぱり。」

「光」のスキルが増えてた。
「光」のスキルと言えば、灯りと治療とか、まあ聖女ってやつだね。
いやいや誰にも言えないわ。
ジルの手のひらにかけた水はポーションみたいな感じになっちゃったんだ。
ジルのおかげだね。さすがピンクオーラの男、ジル。

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