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風呂敷発見
しおりを挟むここはアルテナ子爵家。
私、リリィ・アルテナは15歳。年齢だけで言えば可愛い盛りで、お姫様のように愛されてもおかしくないはずだ。だけど現実はそう甘くない。
「リリィ! 何をボサッとしているのよ!」
ドンッ、と姉のサラが椅子を蹴飛ばす。おっと、これは怒りのモードだな。私の短い人生経験で得た統計によれば、サラ姉様がこのモードに入ると、10分以内に何かしらの雑用が押し付けられる。
「す、すぐに動きます!」
私は慌てて立ち上がり、サラ姉様のお気に入りのドレスを取りに階段を駆け上がった。心の中では文句を垂れ流しながらも、顔では満面の笑みを浮かべている。演技力には自信があるのだ。
そんな日々が続くある朝のことだった。
目が覚めると、頭がズキズキ痛む。何これ、風邪? それとも昨日姉様に押し付けられた階段掃除がハードすぎた?
痛みと共に、妙な感覚が頭に流れ込んできた。なんだろう、この光景。オフィス? パソコン?
えっ、えっ、待って。これは私の記憶? いや、私、まだ15歳だし、こんなもの知らないはず……。
「……これ、私、前世持ち?」
うん、そうみたいだ。どうやら私は元の世界では、バリバリ働いていたキャリアウーマンだったらしい。名前は確か「青山玲奈」、30歳。独身で自由気ままに生きてた……いや、全然自由じゃないじゃん! 残業続きでブラック企業にいた記憶がリアルすぎる!
「二度目の人生、こんな家で終わらせられるかーっ!」
それからというもの、私は「自由になる方法」を模索し始めた。奴隷のように使われる毎日に嫌気が差していたのだ。
ある日、暇を見つけて屋敷の倉庫を漁ることにした。昔の私の経験上、こういう場所には何かしら面白いものが眠っている。
「お、これいい感じ!」
埃をかぶった古い箱を開けると、中には鮮やかな布が入っていた。色とりどりで柔らかい手触り。「これ、何に使うんだろう?」
その布を広げると、突然ふわっと光が溢れた。
「ひゃあっ!」
慌てて手を離したけど、布は宙に浮いたまま。やばい、魔法のアイテムじゃんこれ!
すると、布から音が響いた。
「風呂敷の使用者として認定しました。どうぞご自由にお使いください。」
風呂敷? なんだそれ。とりあえず説明を求めてみると、この布は時間を巻き戻す力があるらしい。え、もしかして例のあいつのホニャララ風呂敷?めっちゃ欲しかったやつ!無敵じゃない?
最初に試してみたのは、こっそりつまみ食いしたクッキーの箱だ。昨日の夜、姉様が全部平らげて空になってたやつ。
風呂敷を被せて、「時間を戻して」とつぶやくと……。
「えっ、本当に戻った!」
箱の中には新品のクッキーが詰まってる! 思わず歓喜の声を上げた私だけど、その時の脳内セリフはこれだった。
「これ、絶対お金稼げるやつだ!」
この風呂敷、やり直しが効くと分かればこっちのものだ。私はさっそくサラ姉様への「小さな復讐」を開始することにした。
まずはドレス。姉様の高級ドレスをこっそり汚す、姉様が騒ぎ出したらこっそり新品にもどす。姉様は怒り狂うけど、汚れがないのでかえってまわりに変な目で見られる。
次は母。彼女の趣味である刺繍の完成品を風呂敷で巻き戻して未完成に戻す。地道に積み重ねた作業が台無しになる様子を見て、思わず口元が緩んでしまった。
風呂敷を使いこなすうち、私は気づいた。この道具さえあれば、家を出て自由になれるのではないか?
ただし問題が一つ。私には「自由になった後」の計画がまだない。せっかくの風呂敷を無駄にしないためにも、周到に準備を整える必要がある。
ある日、市場に行く用事を任された私は、風呂敷の力で魚屋の値段交渉を完璧にやり直した。「時間巻き戻し」によって、魚屋のおじさんから「商才がある」と褒められる始末。
「お嬢ちゃん、よかったらうちで働かないか?」
15歳児に何を言ってるんだおじさん。でも、この誘いは悪くない。人脈を増やすのは自由への第一歩だ。
そんな私の活動を嗅ぎつけたのか、サラ姉様が突然、「リリィ、最近妙に調子に乗ってるわね」と詰め寄ってきた。しまった、バレたか?
いや、ここで焦ってはいけない。風呂敷がある限り、私は無敵だ。姉様の追及に対しては「風呂敷で過去を巻き戻して言い逃れ」のコンボで対抗。姉様はますます苛立ち、最後には泣きながら母に訴えていたけど、母が「姉として器が小さい」と一蹴して終了。
「この家、やっぱり私の居場所じゃないな。」
風呂敷を片手に、私は屋敷を抜け出す計画を立て始めた。
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