2 / 9
風呂敷の活用法
しおりを挟む「リリィ、また何かやらかしたんでしょ!」
サラ姉様がヒステリックに叫ぶ声が聞こえる。でも私は、そんなの聞いちゃいない。今は忙しいんだ――屋敷を抜け出す準備で!
完璧な脱出計画を立てる
「さて、自由になるにはまず何が必要だろう?」
風呂敷を握りしめながら、私は机に向かって考えを巡らせる。
1. お金:外の世界で生きるにはお金が必要だ。
2. 住む場所:路頭に迷うわけにはいかない。
3. 人脈:力になってくれる大人を見つけるべし!
「ふむ、やっぱりまずはお金だな。」
私は家の中で価値のありそうなものを探し始めた。
財産を確保する
「この絵画は……高そうだけど、持ち出すのは大変だな。」
倉庫や母の部屋をこっそり漁ってみるも、大きすぎたり目立ちすぎたりして持ち出せそうにないものばかり。
そんな中で目をつけたのが、母の宝石箱だ。
「これなら小さいし、簡単に隠せる!」
私は母の留守中にこっそりと箱を開けた。キラキラ輝く宝石たちに、思わず心の中で小躍りする。タイム風呂敷を使えば、盗んだ痕跡を消すことだってできるのだ!
母の宝石を巡る攻防戦
だが、宝石を箱から取り出してポケットに入れようとした瞬間、運の悪いことに母が部屋に戻ってきた。
「リリィ! あなた、何をしてるの!」
しまった、早すぎたか?
しかし私は冷静だった。すぐにタイム風呂敷を取り出し、「さっきの時間に戻れ!」と念じた。
……次の瞬間、私は母が部屋に入る直前の時間に戻っていた。慌てて宝石箱を元の位置に戻し、部屋から逃げ出す。
「ふぅ、危なかった。」
これで母に気づかれることはない。やっぱり風呂敷、便利すぎる!
人脈を広げる
次に必要なのは住む場所。外の世界で頼れる人を見つけなければならない。
そう思い立った私は、市場で仲良くなった魚屋のおじさんを訪ねることにした。
「お嬢ちゃん、また来たのかい? 今日は何を買うんだ?」
「おじさん、私、仕事探してるんだけど。」
「……は? 仕事?」
15歳児が仕事を探しているなんて普通なら冗談にしか聞こえないだろう。でも私はタイム風呂敷を使って何度も交渉を繰り返し、とうとうおじさんから「配達の手伝い」を頼まれることになった。
配達中のハプニング
魚屋のおじさんの手伝いを始めたその日、私はさっそくトラブルに巻き込まれる。
「リリィちゃん、これを隣町まで運んでくれ!」
「はーい!」
軽々と答えたものの、途中で野良犬の群れに遭遇。魚の匂いにつられて追いかけてくる犬たちに、私は全速力で逃げ出した。
「や、やばい! このままじゃ魚が!」
ここでも風呂敷が大活躍。犬に追いつかれる寸前で時間を巻き戻し、別の道を選ぶことで難を逃れた。
「ふぅ……助かった。」
魚屋の手伝いを続けるうち、私は市場で顔を覚えられるようになった。そして、ついに一人の親切な老婆が声をかけてくれる。
「まあまあ、こんな小さな子が一人で頑張ってるのね。うちに泊まりにおいで。」
こうして私は、魚屋の配達を続けながら市場の近くに住む老婆の家に居候することになった。脱出の第一段階はこれでクリアだ!
母と姉の追跡
だが、私の不在に気づいた母と姉が黙っているはずがなかった。
「リリィがいなくなったですって? 一体どこへ行ったの!」
姉様は召使いたちを総動員して私を探し始めた。市場にも捜索の手が伸びてきて、私は老婆の家に隠れながらやり過ごす。
「リリィ! 出てきなさい!」
市場中に響く姉様の声を聞きながら、私は心の中で勝ち誇っていた。
「ふふん、もう自由なんだもんね!」
だが、母と姉の追跡はどんどん激しさを増していった。このままでは老婆にも迷惑がかかると思い、私は最終的に市場を離れる決意をする。
「おばあちゃん、今までありがとう。次の町に行くね。」
「リリィちゃん、気をつけてね。」
老婆に別れを告げ、私は再び風呂敷を手にして旅に出た。この時点で、お金、人脈、そして住む場所という三つの条件をすべて揃えた私は、完全に自由を手に入れる準備が整っていた。
52
あなたにおすすめの小説
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
ボク地方領主。将来の夢ニート!
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
とある事情から名ばかり辺境伯として辺境の地へ飛ばされた家柄のラドウィンは仕事をしたくない。
昼間に起きて、本を読み、飯を食って寝る。そんな暮らしの為だけに生きるラドウィンの元に皇帝からの使者がやって来た。
「大規模な反乱の鎮圧に出ろ」その命令を受けたラドウィンの、何としても命令をサボる戦いが始まる。
彼女が微笑むそのときには
橋本彩里(Ayari)
ファンタジー
ミラは物語のヒロインの聖女となるはずだったのだが、なぜか魔の森に捨てられ隣国では物語通り聖女が誕生していた。
十五歳の時にそのことを思い出したが、転生前はベッドの上の住人であったこともあり、無事生き延びているからいいじゃないと、健康体と自由であることを何よりも喜んだ。
それから一年後の十六歳になった満月の夜。
魔力のために冬の湖に一人で浸かっていたところ、死ぬなとルーカスに勘違いされ叱られる。
だが、ルーカスの目的はがめつい魔女と噂のあるミラを魔の森からギルドに連れ出すことだった。
謂れのない誤解を解き、ルーカス自身の傷や、彼の衰弱していた同伴者を自慢のポーションで治癒するのだが……
四大元素の魔法と本来あるはずだった聖魔法を使えない、のちに最弱で最強と言われるミラの物語がここから始まる。
長編候補作品
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
雨の少女
朝山みどり
ファンタジー
アンナ・レイナードは、雨を操るレイナード家の一人娘。母キャサリンは代々その力を継ぐ「特命伯爵」であり、豊穣を司る王家と並び国を支える家柄だ。外交官の父ブライトは家を留守にしがちだが、手紙や贈り物を欠かさず、アンナは両親と穏やかな日々を送っていた。ある日、母は「明日から雨を降らせる」と言い、アンナと一緒に街へ買い物に出かける。温かな手を引かれて歩くひととき、本と飴を選ぶ楽しさ、それはアンナにとってかけがえのない記憶だった。
やがて雨が降り始め、国は潤ったが、異常気象の兆しが見え始める。キャサリンは雨を止めようと努力するが、うまくいかず、王家やサニダ家に助けを求めても返事はない。やがて体を壊し、キャサリンはアンナに虹色のペンダントを託して息を引き取った。アンナは悲しみを胸に、自らの力で雨を止め、空に虹をかけた。
葬儀の後、父はすぐ王宮へ戻り、アンナの生活は一変する。ある日、継母ミラベルとその娘マリアンが屋敷に現れ、「この家を任された」と告げる。手紙には父の字でそう記されていた。以来、アンナの大切な物や部屋までも奪われ、小屋で一人暮らすことになる。父からの手紙はミラベルとマリアンにのみ届き、アンナ宛てには一通も来ない。ペンダントを握って耐える日々が続いた。
「なろう」にも投稿しております。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる