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キヌさんの苦手な所
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先生が吉田さんに取っ捕まえられて泣く泣く原稿を書いてる頃、私は台所で夕飯を作っていました。
勿論、すぐ側にキヌさんが居ました。
「あんた偉く楽しそうに吉田さんと話してたじゃないの」
キヌさんのチクリと刺のある言葉に私は手を止めました。
「ええまぁ……」
キヌさんにあまり男性関係について話したくありませんでした。
ですが、キヌさんはズケズケと聞いてきます。
「で、何処まで進んだの?」
「何処までとは?」
「野暮ったいね。あんだけ話してて何もないなんて有り得ない。あたし分かってんだからね」
キヌさんのこうゆう遠慮のない発言が苦手です。
しかし、隠した所ですぐバレてしまうと思ったので正直に話しました。
「活動写真を一緒に見に行くことになりました」
「ほらやっぱり。あの男、あんたのこと好いてるんだよ。で、あんたはどうなの?」
「いや……私は……特に」
活動写真に誘われたのは嬉しかったですが、まだ吉田さんを好いているというかというと微妙でした。
「まだ出会って初めてですから。まだ特に何とも……」
「ふーん。そうかい。あたしはね、出会ってその日の内に先生の床に入ったんだ」
「そうなんですね」
キヌさんは会話の節々に自慢を入れてきます。私と張り合っているかのようです。
「はぁ~でも、今じゃ先生に呼ばれることもなく、梅ばっかり可愛がって。
毎晩、梅と寝室を共にして……ウッウッ!」
急にキヌさんが泣き出しました。
えっ?と思いましたが、キヌさんは泣いています。
さっきまで私に偉そうな態度を取っていたのに今度は汐らしい姿を見せてきました。
情緒が荒れ狂う日本海のように不安定なキヌさんに私は声を掛けます。
「大丈夫ですよ。先生は今一時的に梅さんの所に行っているだけです。しばらくしたらキヌさんの所に戻ってきますよ」
全くもって思っていないことでしたが言っておきました。
「ウッウッ!先生にもう一ヶ月も抱かれてない」
一ヶ月……意外と最近抱かれているなと思いつつ、キヌさんを慰めます。
「たった一ヶ月じゃないですか。先生も執筆活動もあるし、忙しいんですよ」
するとその言葉に激昂したキヌさんが胸ぐらを掴んできました。
「忙しい?何をあんたが分かってる!入ってきて四日目のあんたじゃないか!それに一昨日、先生に頬を触られて赤くなってたのを見たぞ!あんたも先生の事狙ってるのか!」
どうしたらそうゆう解釈になるんだかキヌさんの怒りは止まりません。
「違いますよ!離してください!」
「字も読めない馬鹿の癖に!男に取り入るのは上手いんだね!」
“馬鹿”そう言われてカチンときましたがここで騒げば乱闘になってしまいます。
冷静に言い返しました。
「大丈夫です。私は先生とは何の関係も持ちません」
「ほんとか!」
キヌさんの怒号が聞こえてきたのかツネさんとイネさんがやって来ました。
「これ!キヌ!落ち着け」
「止まれ!また女中が辞めてくぞ」
ツネさんとイネさんの仲裁により、少し冷静さを取り戻したのかキヌさんは私の胸ぐらを掴むのを辞めました。
「フンッ」
キヌさんは、そう鼻を鳴らすと持ち場に戻って夕飯を作り始めるのでした。
勿論、すぐ側にキヌさんが居ました。
「あんた偉く楽しそうに吉田さんと話してたじゃないの」
キヌさんのチクリと刺のある言葉に私は手を止めました。
「ええまぁ……」
キヌさんにあまり男性関係について話したくありませんでした。
ですが、キヌさんはズケズケと聞いてきます。
「で、何処まで進んだの?」
「何処までとは?」
「野暮ったいね。あんだけ話してて何もないなんて有り得ない。あたし分かってんだからね」
キヌさんのこうゆう遠慮のない発言が苦手です。
しかし、隠した所ですぐバレてしまうと思ったので正直に話しました。
「活動写真を一緒に見に行くことになりました」
「ほらやっぱり。あの男、あんたのこと好いてるんだよ。で、あんたはどうなの?」
「いや……私は……特に」
活動写真に誘われたのは嬉しかったですが、まだ吉田さんを好いているというかというと微妙でした。
「まだ出会って初めてですから。まだ特に何とも……」
「ふーん。そうかい。あたしはね、出会ってその日の内に先生の床に入ったんだ」
「そうなんですね」
キヌさんは会話の節々に自慢を入れてきます。私と張り合っているかのようです。
「はぁ~でも、今じゃ先生に呼ばれることもなく、梅ばっかり可愛がって。
毎晩、梅と寝室を共にして……ウッウッ!」
急にキヌさんが泣き出しました。
えっ?と思いましたが、キヌさんは泣いています。
さっきまで私に偉そうな態度を取っていたのに今度は汐らしい姿を見せてきました。
情緒が荒れ狂う日本海のように不安定なキヌさんに私は声を掛けます。
「大丈夫ですよ。先生は今一時的に梅さんの所に行っているだけです。しばらくしたらキヌさんの所に戻ってきますよ」
全くもって思っていないことでしたが言っておきました。
「ウッウッ!先生にもう一ヶ月も抱かれてない」
一ヶ月……意外と最近抱かれているなと思いつつ、キヌさんを慰めます。
「たった一ヶ月じゃないですか。先生も執筆活動もあるし、忙しいんですよ」
するとその言葉に激昂したキヌさんが胸ぐらを掴んできました。
「忙しい?何をあんたが分かってる!入ってきて四日目のあんたじゃないか!それに一昨日、先生に頬を触られて赤くなってたのを見たぞ!あんたも先生の事狙ってるのか!」
どうしたらそうゆう解釈になるんだかキヌさんの怒りは止まりません。
「違いますよ!離してください!」
「字も読めない馬鹿の癖に!男に取り入るのは上手いんだね!」
“馬鹿”そう言われてカチンときましたがここで騒げば乱闘になってしまいます。
冷静に言い返しました。
「大丈夫です。私は先生とは何の関係も持ちません」
「ほんとか!」
キヌさんの怒号が聞こえてきたのかツネさんとイネさんがやって来ました。
「これ!キヌ!落ち着け」
「止まれ!また女中が辞めてくぞ」
ツネさんとイネさんの仲裁により、少し冷静さを取り戻したのかキヌさんは私の胸ぐらを掴むのを辞めました。
「フンッ」
キヌさんは、そう鼻を鳴らすと持ち場に戻って夕飯を作り始めるのでした。
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