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第2章:聖女認定の儀式
第31話 儀式の後
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意識を失ったシトラスを胸に抱きながら、ギーグが憎々し気に告げる。
「シトラスを毒殺しようなど、絶対に許すものか。
――ラファエロ殿下はどうなると思う?」
エルメーテ公爵が背もたれに背中を預けながら、少し思案して応える。
「我々の追及を恐れるなら、今夜か明日の間に殿下の命が奪われかねない。
死ぬのは構わんが、少しでも情報を吐いてから死んでもらいたいものだ」
ティベリオが心配そうにシトラスを見つめていた。
「猛毒を飲むなんて無茶をして、本当にこの子は大丈夫なのでしょうか」
シトラスの表情を見つめていた母親――カタリーナがティベリオに応える。
「シトラスは私とギーグの娘。この子が大丈夫と言ったのだから、もう大丈夫よ。
私たち、身体の頑丈さは折り紙付きだもの。
聖神様の加護があったなら、問題ないわ」
アンリがシトラスを心配そうに見つめながら告げる。
「ですが今回のことは、狡猾な宰相らしからぬ一手だったように思います。
父上、これはどういうことなのでしょうか」
「……おそらく、陛下の独断先行だろう。
宰相が知恵を授けたが、それだけでは物足りなかった陛下とラファエロ殿下が勝手に動いたのだと思う。
毒の入手経路などは隠蔽して宰相に辿り着かないようにしているだろう。
だがラファエロ殿下から情報が漏れれば、陛下も共犯者ということが露見して聖教会から反逆者として認定される。
そうなれば王族はダヴィデ殿下だけが残り、以後は宰相が国政を思うままにすることが難しくなる。
だから早々にラファエロ殿下を回収したのだろう」
聖神に反逆した国王の一族など、聖教会が強く出れば取りつぶしとするのは簡単だ。
そうなればシトラスが選んだ夫が次の王位を継ぐことになる。
それまでは重臣が国政を担うことになるが、次期王妃が確定するシトラスを抱えたエルメーテ公爵の発言力は大きなものとなる。
逆に現王家を擁立していた宰相派閥は、大きく発言力を落とす。
それを防ぐため、今回は『婚約を断られたラファエロ殿下が勝手に聖女の毒殺を図った』ということにでもするのだろう。
話を聞いたアンリが顔をしかめた。
「王族を殺してでも己の立場を守りたいというのですか、あの宰相は」
「あれはそういう男だ。
シトラスが『亡者の巣くう世界』と呼び、忌み嫌う社交界に君臨する男だからな。
その亡者の王が宰相だ。
だが今回のことで現王家は大きく力を落とした。
世継ぎだったラファエロ殿下はいなくなり、現王家が存続するとしてもダヴィデ殿下が次の王になる。
ダヴィデ殿下は良識ある人間だ。シトラスにとって好材料と言える」
シトラスの顔を見つめたまま、アンリがぼそりとつぶやく。
「シトラスを守るために、これから私はどうしたら良いのだ」
そのつぶやきに、エルメーテ公爵が応える。
「シトラスの心を支えられる男になってみろ。
お前がそんな男になれば、お前とシトラスの婚姻を進め、次の王位をお前が受け継ぐ道を用意してやっても良い」
「……王妃の道など、シトラスにはふさわしくないと思えます。
シトラスは野に咲く花、貴族の世界は似合いません」
エルメーテ公爵が窓の外を見ながら告げる。
「私もそう思う。だが現王家が取りつぶしになれば、シトラスが王妃となる必要が出てくる。
それを避けるとしたら、ダヴィデ殿下に立派な王となってもらうしかない。
未だ宰相に擁立されたままのダヴィデ殿下では、望み薄と言えるだろう」
ギーグがシトラスを見つめながら、エルメーテ公爵に尋ねる。
「シトラスはこれから、どうなると思う? 私は貴族社会に明るくない。教えてくれないか」
「年の近い貴族令息が、こぞってシトラスに近寄ってくるだろう。
希代の聖女が選ぶ男であれば、貴族でなくても王位を継ぎかねない。
シトラスは争奪戦に巻き込まれ、これから苦労をする事になる」
「……この子に、望む男と添い遂げ、穏やかに生きる未来はないのか」
「難しい、と言わざるを得ないな。
だが毒虫のような貴族令息は、我々が徹底して排除してみせよう。
これからシトラスには、深窓の令嬢となってもらう。
身体が弱いと言う噂を利用し、外部との接触を極力絶つのだ。
その上で厳選した令息たちと引き合わせ、その中から選んでもらう――それがマシな未来だろう」
アンリがシトラスの頭を撫でながら告げる。
「シトラスがそのような道を納得するでしょうか。
いつも人々を救いたいと焦っていました。
深窓の令嬢など、シトラスが受け入れるとは思えません」
「そこはなんとか策を考えてみるさ。
要は人々を救済している実感を得られれば納得してくれるはずだ。
グレゴリオ最高司祭とも相談をしてみよう」
周囲の人々の心配をよそに、シトラスは穏やかな寝息を立てていた。
シトラスを乗せた馬車は静かに公爵家別邸へ向かい、駆けて行った。
****
目を覚ますと、そこは別邸にある私の部屋だった。
法衣からネグリジェに着替えさせられている。
窓の外を見ると、まだ夕方になる前のようだ。
ベッドサイドのハンドベルを鳴らすと、レイチェルがあわてて部屋にやってきた。
「お嬢様! お目覚めですか!」
「ええ、もう大丈夫ですわ。
それよりお腹が空いてしまいました。何か食べるものはないかしら」
「では軽食を用意して参ります。そのままお待ちください」
レイチェルは他の侍女に指示を出したあと、急いで部屋の外に向かっていった。
……いや、そんなに焦らなくても。
お腹は空いてるけど、餓死する寸前って訳じゃないし。
私は他の侍女たちに普段着に着替えさせてもらった。
儀式は終わったので、もう法衣になる必要もない。
それにしても、猛毒を飲んで無事だなんて……聖神様の奇跡って凄いんだなぁ。
さすがにかなり力を使って疲れ切ったけど。
レイチェルが戻ってきて、フルーツの盛り合わせを出してくれた。
紅茶と共にフルーツをお腹に納めて行く。
ん~甘くておいしい。毒を飲んだ後だからか、余計に美味しく感じてしまう。
小皿をぺろりと平らげると、レイチェルが微笑まし気に笑みをこぼした。
「毒を飲んだと聞いて心配しておりましたが、どうやら心配は不要のようですね。
ですがそれ以上は夕食に差しさわりがありますので、我慢なさってください」
「はーい。
ところで、お父様やお兄様はどうしているのかしら」
「旦那様は聖教会へ出かけられました。
アンリ様はお部屋におられると思います。
お呼びしましょうか?」
「いえ、それなら別に構いません。
お母様はどうしてらっしゃるの?」
「お部屋にいらっしゃるかと」
「そう、ではお母様のところへ行きます」
私はレイチェルを連れてお母様の部屋へ向かった。
****
部屋の中ではお母様が物憂げに紅茶を口にしていた。
何か考え事をしているようだ。
「お母様、少しよろしいでしょうか」
私の声で、お母様がこちらを見た。
「まぁシトラス! 目が覚めたのね、よかった……それで、どうしたの?」
私は部屋の中に入り、お母様の正面のソファに腰を下ろした。
「この後、夜会に参加するのではないのですか?
私は用意をしなくても構わないのですか?」
前回の人生では儀式の後、私を歓迎する夜会が催された。
あの通りであれば、これから夜会の支度をしなければならないはず。
だけど別邸の中はそんな気配がなくて、不思議に感じていた。
「夜会の予定はあったけれど、延期になったわ。
ラファエロ殿下の不祥事があったから、それの後始末が済むまで夜会は開かれないでしょう。
それにあなたは毒を飲んだのよ? ヴァレンティーノはそれを口実に夜会をキャンセルして、領地に戻るつもりみたい」
どうやら、本当に大事になったみたいだ。
まぁ聖神様への反逆は大逆罪だもん。死罪は免れないからね。
それが第一王子なんだから、予定が全部キャンセルになっても仕方がない。
「王家はそれに納得しているのですか?」
お母様が優しく微笑んだ。
「今は聖教会の力がとても強いのよ。
あなたは前代未聞の奇跡を起こしてみせたわ。
あれであなたが希代の聖女だと、民衆も認めたはず。
つまりグレゴリオ最高司祭やヴァレンティーノの発言力は、今の時点で王家よりも強いものになっているの」
第一王子が聖女を毒殺しようとしたんだから、王家の権威はかなり落ちたよね。
となると、次の王位の問題が浮上してくるんじゃないかな。
「お母様、正直に仰ってください。
次の王位は誰が次ぐと考えておいでですか?」
私のまっすぐな視線を受けて、お母様が困ったように微笑んだ。
「あなたは頭が回る子ね。
そんなに心配しなくても、ヴァレンティーノがなるだけあなたの望む形になるように努力してくれるはずよ。
あなたは王位なんて継ぎたくないのでしょう?」
私は正直にうなずいた。
だけど権威が失墜した王家と希代の聖女、周囲がどちらを選ぶかと言ったら、たぶん私が選ばれるだろう。
現王家が生き残る道は、ダヴィデ殿下に私が嫁ぐ未来くらいだ。
ダヴィデ殿下に拒絶感はないけれど、義父があの陛下になるのはさすがに無理かな。
お母様が苦笑を浮かべた。
「今は深く考えないで頂戴。
あなたはあなたの人生を歩むことを、できれば考えて欲しいの。
それが私たちの願いよ」
私個人の人生か……でも私は聖女としての人生を優先しなければならない。
だから私個人の幸せなんて、今は考えられる時じゃない。
でもお母様たちにそんなことを言っても、納得はしてもらえないだろう。
「わかりました。では失礼します」
私はお母様にそう告げて部屋を後にした。
「シトラスを毒殺しようなど、絶対に許すものか。
――ラファエロ殿下はどうなると思う?」
エルメーテ公爵が背もたれに背中を預けながら、少し思案して応える。
「我々の追及を恐れるなら、今夜か明日の間に殿下の命が奪われかねない。
死ぬのは構わんが、少しでも情報を吐いてから死んでもらいたいものだ」
ティベリオが心配そうにシトラスを見つめていた。
「猛毒を飲むなんて無茶をして、本当にこの子は大丈夫なのでしょうか」
シトラスの表情を見つめていた母親――カタリーナがティベリオに応える。
「シトラスは私とギーグの娘。この子が大丈夫と言ったのだから、もう大丈夫よ。
私たち、身体の頑丈さは折り紙付きだもの。
聖神様の加護があったなら、問題ないわ」
アンリがシトラスを心配そうに見つめながら告げる。
「ですが今回のことは、狡猾な宰相らしからぬ一手だったように思います。
父上、これはどういうことなのでしょうか」
「……おそらく、陛下の独断先行だろう。
宰相が知恵を授けたが、それだけでは物足りなかった陛下とラファエロ殿下が勝手に動いたのだと思う。
毒の入手経路などは隠蔽して宰相に辿り着かないようにしているだろう。
だがラファエロ殿下から情報が漏れれば、陛下も共犯者ということが露見して聖教会から反逆者として認定される。
そうなれば王族はダヴィデ殿下だけが残り、以後は宰相が国政を思うままにすることが難しくなる。
だから早々にラファエロ殿下を回収したのだろう」
聖神に反逆した国王の一族など、聖教会が強く出れば取りつぶしとするのは簡単だ。
そうなればシトラスが選んだ夫が次の王位を継ぐことになる。
それまでは重臣が国政を担うことになるが、次期王妃が確定するシトラスを抱えたエルメーテ公爵の発言力は大きなものとなる。
逆に現王家を擁立していた宰相派閥は、大きく発言力を落とす。
それを防ぐため、今回は『婚約を断られたラファエロ殿下が勝手に聖女の毒殺を図った』ということにでもするのだろう。
話を聞いたアンリが顔をしかめた。
「王族を殺してでも己の立場を守りたいというのですか、あの宰相は」
「あれはそういう男だ。
シトラスが『亡者の巣くう世界』と呼び、忌み嫌う社交界に君臨する男だからな。
その亡者の王が宰相だ。
だが今回のことで現王家は大きく力を落とした。
世継ぎだったラファエロ殿下はいなくなり、現王家が存続するとしてもダヴィデ殿下が次の王になる。
ダヴィデ殿下は良識ある人間だ。シトラスにとって好材料と言える」
シトラスの顔を見つめたまま、アンリがぼそりとつぶやく。
「シトラスを守るために、これから私はどうしたら良いのだ」
そのつぶやきに、エルメーテ公爵が応える。
「シトラスの心を支えられる男になってみろ。
お前がそんな男になれば、お前とシトラスの婚姻を進め、次の王位をお前が受け継ぐ道を用意してやっても良い」
「……王妃の道など、シトラスにはふさわしくないと思えます。
シトラスは野に咲く花、貴族の世界は似合いません」
エルメーテ公爵が窓の外を見ながら告げる。
「私もそう思う。だが現王家が取りつぶしになれば、シトラスが王妃となる必要が出てくる。
それを避けるとしたら、ダヴィデ殿下に立派な王となってもらうしかない。
未だ宰相に擁立されたままのダヴィデ殿下では、望み薄と言えるだろう」
ギーグがシトラスを見つめながら、エルメーテ公爵に尋ねる。
「シトラスはこれから、どうなると思う? 私は貴族社会に明るくない。教えてくれないか」
「年の近い貴族令息が、こぞってシトラスに近寄ってくるだろう。
希代の聖女が選ぶ男であれば、貴族でなくても王位を継ぎかねない。
シトラスは争奪戦に巻き込まれ、これから苦労をする事になる」
「……この子に、望む男と添い遂げ、穏やかに生きる未来はないのか」
「難しい、と言わざるを得ないな。
だが毒虫のような貴族令息は、我々が徹底して排除してみせよう。
これからシトラスには、深窓の令嬢となってもらう。
身体が弱いと言う噂を利用し、外部との接触を極力絶つのだ。
その上で厳選した令息たちと引き合わせ、その中から選んでもらう――それがマシな未来だろう」
アンリがシトラスの頭を撫でながら告げる。
「シトラスがそのような道を納得するでしょうか。
いつも人々を救いたいと焦っていました。
深窓の令嬢など、シトラスが受け入れるとは思えません」
「そこはなんとか策を考えてみるさ。
要は人々を救済している実感を得られれば納得してくれるはずだ。
グレゴリオ最高司祭とも相談をしてみよう」
周囲の人々の心配をよそに、シトラスは穏やかな寝息を立てていた。
シトラスを乗せた馬車は静かに公爵家別邸へ向かい、駆けて行った。
****
目を覚ますと、そこは別邸にある私の部屋だった。
法衣からネグリジェに着替えさせられている。
窓の外を見ると、まだ夕方になる前のようだ。
ベッドサイドのハンドベルを鳴らすと、レイチェルがあわてて部屋にやってきた。
「お嬢様! お目覚めですか!」
「ええ、もう大丈夫ですわ。
それよりお腹が空いてしまいました。何か食べるものはないかしら」
「では軽食を用意して参ります。そのままお待ちください」
レイチェルは他の侍女に指示を出したあと、急いで部屋の外に向かっていった。
……いや、そんなに焦らなくても。
お腹は空いてるけど、餓死する寸前って訳じゃないし。
私は他の侍女たちに普段着に着替えさせてもらった。
儀式は終わったので、もう法衣になる必要もない。
それにしても、猛毒を飲んで無事だなんて……聖神様の奇跡って凄いんだなぁ。
さすがにかなり力を使って疲れ切ったけど。
レイチェルが戻ってきて、フルーツの盛り合わせを出してくれた。
紅茶と共にフルーツをお腹に納めて行く。
ん~甘くておいしい。毒を飲んだ後だからか、余計に美味しく感じてしまう。
小皿をぺろりと平らげると、レイチェルが微笑まし気に笑みをこぼした。
「毒を飲んだと聞いて心配しておりましたが、どうやら心配は不要のようですね。
ですがそれ以上は夕食に差しさわりがありますので、我慢なさってください」
「はーい。
ところで、お父様やお兄様はどうしているのかしら」
「旦那様は聖教会へ出かけられました。
アンリ様はお部屋におられると思います。
お呼びしましょうか?」
「いえ、それなら別に構いません。
お母様はどうしてらっしゃるの?」
「お部屋にいらっしゃるかと」
「そう、ではお母様のところへ行きます」
私はレイチェルを連れてお母様の部屋へ向かった。
****
部屋の中ではお母様が物憂げに紅茶を口にしていた。
何か考え事をしているようだ。
「お母様、少しよろしいでしょうか」
私の声で、お母様がこちらを見た。
「まぁシトラス! 目が覚めたのね、よかった……それで、どうしたの?」
私は部屋の中に入り、お母様の正面のソファに腰を下ろした。
「この後、夜会に参加するのではないのですか?
私は用意をしなくても構わないのですか?」
前回の人生では儀式の後、私を歓迎する夜会が催された。
あの通りであれば、これから夜会の支度をしなければならないはず。
だけど別邸の中はそんな気配がなくて、不思議に感じていた。
「夜会の予定はあったけれど、延期になったわ。
ラファエロ殿下の不祥事があったから、それの後始末が済むまで夜会は開かれないでしょう。
それにあなたは毒を飲んだのよ? ヴァレンティーノはそれを口実に夜会をキャンセルして、領地に戻るつもりみたい」
どうやら、本当に大事になったみたいだ。
まぁ聖神様への反逆は大逆罪だもん。死罪は免れないからね。
それが第一王子なんだから、予定が全部キャンセルになっても仕方がない。
「王家はそれに納得しているのですか?」
お母様が優しく微笑んだ。
「今は聖教会の力がとても強いのよ。
あなたは前代未聞の奇跡を起こしてみせたわ。
あれであなたが希代の聖女だと、民衆も認めたはず。
つまりグレゴリオ最高司祭やヴァレンティーノの発言力は、今の時点で王家よりも強いものになっているの」
第一王子が聖女を毒殺しようとしたんだから、王家の権威はかなり落ちたよね。
となると、次の王位の問題が浮上してくるんじゃないかな。
「お母様、正直に仰ってください。
次の王位は誰が次ぐと考えておいでですか?」
私のまっすぐな視線を受けて、お母様が困ったように微笑んだ。
「あなたは頭が回る子ね。
そんなに心配しなくても、ヴァレンティーノがなるだけあなたの望む形になるように努力してくれるはずよ。
あなたは王位なんて継ぎたくないのでしょう?」
私は正直にうなずいた。
だけど権威が失墜した王家と希代の聖女、周囲がどちらを選ぶかと言ったら、たぶん私が選ばれるだろう。
現王家が生き残る道は、ダヴィデ殿下に私が嫁ぐ未来くらいだ。
ダヴィデ殿下に拒絶感はないけれど、義父があの陛下になるのはさすがに無理かな。
お母様が苦笑を浮かべた。
「今は深く考えないで頂戴。
あなたはあなたの人生を歩むことを、できれば考えて欲しいの。
それが私たちの願いよ」
私個人の人生か……でも私は聖女としての人生を優先しなければならない。
だから私個人の幸せなんて、今は考えられる時じゃない。
でもお母様たちにそんなことを言っても、納得はしてもらえないだろう。
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