私は秘書?

陽紫葵

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私は秘書?

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次の日、時間通り、上篠さんをホテルまで迎えに行き、一緒に会社に向かった。
車を駐車場に停めてから、直で11階まで行き、すぐに仕事に取り掛かった。
「仕事は、殆どが書類整理なんだ。上がってきた書類をチェックして、サインして、提出する。これが俺の仕事。丹代は、書類作成と、時間ある時に俺のサポートだな。ま、追々わかってくだろ」
仕事の流れは、社内の事だから、大体は把握できる。
「明日は本社に行かなきゃいかないから、今日の内にこっち出る」
「忙しいですね」
「ま、仕事だしな」
明日の朝じゃなく、今日の内ってのも、家族が待っているからじゃないだろうか?なんて、想像も出来る。
「どうした?」
「いえ」
仕事中は、黙々と、私語もなく過ぎた。
お昼は、同じ階の休憩室で食べた。私は最近、お弁当を持参してて、その日もそうだった。
「お、美味しそうじゃん。俺の分は?」
「ないですよ」
「じゃあ、交換しない?」
上篠さんはコンビニ弁当だった。
「いいですけど」
「サンキュ」
交換して食べ始めた。
「おぉ、美味い。安定だな。いや、前より美味いかも」
以前にもお弁当作ったことあるし、家でも料理をふるまっていた。
上篠さんも料理は得意だった。飲食店でバイト経験もあるからだとか。
「うん、懐かしい味だ」
喜んでいいんだろうか?美味しそうに食べている顔が、少年っぽくて微笑ましい。
奥さんは、料理しないんだろうか?仕事忙しい人だとは聞いたことある。
我が社は5時半が定時で、5時になった頃、
「悪い、俺もう出なきゃ。定時になったら帰っていいから、あと頼むな」
「あの、送ってかなくていいんですか?」
「あぁ、タクシーで行くから大丈夫。じゃ、よろしくな」
「はい、お疲れ様です」
上篠さんが帰ってから、時間まで仕事をし、帰ることにした。
この部屋にはカードをかざすドアキーがあって、この部屋のキーは上篠さんと私しか開けられないことになっている。オートロックなので、ドアを閉めれば自動ロックされる。
1階には駅の改札のようなゲートがあって、カードをかざして通り抜ける。今までのフロアでの仕事はそれ以降はドアもなく出入り出来ていた。支社長室は特別だ。
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