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第2章:夫の愛人と親友になりましたわ
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そうこうしているうちに、侍従から「そろそろお時間です」と声がかかる。アルベルト様には他にも公務があるらしく、わたくしも今日の打ち合わせが済めば公爵家に戻ってよいことになっていた。
リリア様も、今後は王宮の一角に滞在して過ごすことになるらしい。もちろん公には“王太子殿下が支援している平民女性”という名目だが、事実上は愛人として招かれているに等しい。今のところ彼女は執務に関与せず、ひっそりとした部屋で暮らす予定だという。
別れ際、わたくしはリリア様と「またお会いしましょうね」と微笑み合った。そしてアルベルト様に対しては「殿下、公務頑張ってくださいませ」と軽く頭を下げる。すると彼はわたくしを少しばつが悪そうに見て、ひとこと囁いた。
「……ありがとう、ルチアーナ。リリアと仲良くしてくれると、本当に助かる」
「いえいえ、感謝されるようなことは何も。わたくし自身も、リリア様とお話しできるのは楽しいですよ。では、失礼いたしますわ」
そうして、わたくしは上機嫌で王宮を後にした。正直、ここまでスムーズにリリア様との関係を築けるとは思っていなかったが、わたくしの予想以上に彼女は素直で控えめで、とても良い子だった。これなら、本当に“親友”のように仲良くなれるかもしれない。
もちろん、わたくしの狙いは“アルベルト様を完全にリリア様に託して、自分は好き勝手に暮らす”こと。愛の修羅場などまったく興味がないし、むしろアルベルト様がリリア様に首ったけでいてくれれば、わたくしは宮廷内での自由を獲得しやすい。おそらくリリア様も、「わたしのせいでルチアーナ様を不幸にしていないだろうか……」という心配を抱かずに済むだろう。お互いウィンウィンの関係と言える。
その夜、公爵家の書斎に戻ったわたくしは、上機嫌で机に向かっていた。まっさらなノートを開き、今後の王宮生活で実現したいことをいくつかメモしている。たとえば、王家が所有するという広大な図書室に通い詰めて珍しい書物を読みあさるとか、紅茶の研究を深めるために学術書を取り寄せるとか……。
そうやってわくわくしながら未来の計画を立てていると、扉をノックする音がした。
「ルチアーナ様……失礼いたします。お休みの準備をなさる頃かと思いまして……」
入ってきたのはメイドのソフィアだった。彼女はいつもの落ち着いた表情で、しかしわたくしの机の上に並んだメモ書きを見て、首を傾げている。
「ずいぶん大量に書き込んでいらっしゃるのですね。何か新しいご計画でも?」
「ええ、王宮に行ったらやりたいことが山ほど出てきたの。ソフィアにもいろいろ手伝ってもらいたいわ。書物の整理をしたり、紅茶の品種を調べたり……。とにかく自由に動けるように、今から準備しておくの」
わたくしが高揚した声で答えると、ソフィアはくすりと笑った。そして「ルチアーナ様がこんなに活き活きした表情をなさるなんて、久しぶりに見ますわ」と小さく呟く。確かに、わたくしはここ数年「将来は王太子妃になる」という重圧に押しつぶされそうだったから、その変化は顕著だろう。
「そう? そんなに浮かれているかしら? でも実際、気分は最高なのよ。アルベルト様がリリア様という方を愛してくれているおかげで、わたくしは自由を手にしやすくなる。おまけにリリア様もとても良い人で、会話が楽しかったの」
「愛人の方と仲良くなるなんて……普通はあまり想像もできないことですよね。でも、ルチアーナ様が楽しそうなら、わたくしも安心しました。挙式まではもう少しです。お疲れが出ませんように、ご自愛ください」
ソフィアが穏やかにそう言ってくれるので、わたくしは「ありがとう。あなたにも色々と負担をかけるけれど、よろしくね」と返す。式の準備に関しては、わたくしが一から十まですべて管理しているわけではなく、両親と執事やメイド長が中心となって進めてくれている。だが、それでも手が回らない細かい用事がいくつもある。ソフィアも休みなく対応してくれているのだから、本当に感謝しきれない。
リリア様も、今後は王宮の一角に滞在して過ごすことになるらしい。もちろん公には“王太子殿下が支援している平民女性”という名目だが、事実上は愛人として招かれているに等しい。今のところ彼女は執務に関与せず、ひっそりとした部屋で暮らす予定だという。
別れ際、わたくしはリリア様と「またお会いしましょうね」と微笑み合った。そしてアルベルト様に対しては「殿下、公務頑張ってくださいませ」と軽く頭を下げる。すると彼はわたくしを少しばつが悪そうに見て、ひとこと囁いた。
「……ありがとう、ルチアーナ。リリアと仲良くしてくれると、本当に助かる」
「いえいえ、感謝されるようなことは何も。わたくし自身も、リリア様とお話しできるのは楽しいですよ。では、失礼いたしますわ」
そうして、わたくしは上機嫌で王宮を後にした。正直、ここまでスムーズにリリア様との関係を築けるとは思っていなかったが、わたくしの予想以上に彼女は素直で控えめで、とても良い子だった。これなら、本当に“親友”のように仲良くなれるかもしれない。
もちろん、わたくしの狙いは“アルベルト様を完全にリリア様に託して、自分は好き勝手に暮らす”こと。愛の修羅場などまったく興味がないし、むしろアルベルト様がリリア様に首ったけでいてくれれば、わたくしは宮廷内での自由を獲得しやすい。おそらくリリア様も、「わたしのせいでルチアーナ様を不幸にしていないだろうか……」という心配を抱かずに済むだろう。お互いウィンウィンの関係と言える。
その夜、公爵家の書斎に戻ったわたくしは、上機嫌で机に向かっていた。まっさらなノートを開き、今後の王宮生活で実現したいことをいくつかメモしている。たとえば、王家が所有するという広大な図書室に通い詰めて珍しい書物を読みあさるとか、紅茶の研究を深めるために学術書を取り寄せるとか……。
そうやってわくわくしながら未来の計画を立てていると、扉をノックする音がした。
「ルチアーナ様……失礼いたします。お休みの準備をなさる頃かと思いまして……」
入ってきたのはメイドのソフィアだった。彼女はいつもの落ち着いた表情で、しかしわたくしの机の上に並んだメモ書きを見て、首を傾げている。
「ずいぶん大量に書き込んでいらっしゃるのですね。何か新しいご計画でも?」
「ええ、王宮に行ったらやりたいことが山ほど出てきたの。ソフィアにもいろいろ手伝ってもらいたいわ。書物の整理をしたり、紅茶の品種を調べたり……。とにかく自由に動けるように、今から準備しておくの」
わたくしが高揚した声で答えると、ソフィアはくすりと笑った。そして「ルチアーナ様がこんなに活き活きした表情をなさるなんて、久しぶりに見ますわ」と小さく呟く。確かに、わたくしはここ数年「将来は王太子妃になる」という重圧に押しつぶされそうだったから、その変化は顕著だろう。
「そう? そんなに浮かれているかしら? でも実際、気分は最高なのよ。アルベルト様がリリア様という方を愛してくれているおかげで、わたくしは自由を手にしやすくなる。おまけにリリア様もとても良い人で、会話が楽しかったの」
「愛人の方と仲良くなるなんて……普通はあまり想像もできないことですよね。でも、ルチアーナ様が楽しそうなら、わたくしも安心しました。挙式まではもう少しです。お疲れが出ませんように、ご自愛ください」
ソフィアが穏やかにそう言ってくれるので、わたくしは「ありがとう。あなたにも色々と負担をかけるけれど、よろしくね」と返す。式の準備に関しては、わたくしが一から十まですべて管理しているわけではなく、両親と執事やメイド長が中心となって進めてくれている。だが、それでも手が回らない細かい用事がいくつもある。ソフィアも休みなく対応してくれているのだから、本当に感謝しきれない。
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