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第4章 ざまぁ! そして溺愛の未来へ
22話
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母との再会
審問が終わった翌朝、リゼットのもとに一通の手紙が届いた。差出人は母マリア。
内容は「父の身に大変なことが起きてしまった。私はこれから先どうすればいいのか。せめて一度だけ、あなたに会って話がしたい」というものだった。
リゼットは迷わずアレクシスに相談したところ、「邸にお呼びして構わない」と言ってくれた。実家の屋敷は公爵家の権限停止により混乱しており、さらにガイウスを糾弾するための調査員が出入りしている。落ち着いた場所で話すには、シュヴァルツ邸に招くほうが安全だった。
そして翌日、母マリアは侍女を一人連れて、シュヴァルツ邸を訪れる。玄関でリゼットが出迎えると、彼女は今にも消え入りそうな面持ちで「ごめんなさいね……」と繰り返した。
応接室に案内し、落ち着いて座ってもらうと、マリアは深いため息とともに話し始めた。
「本当に……こんなことになってしまって。ガイウスは……あの人は昔から功名心が強かったけれど、まさかここまで悪辣な手段に手を染めていたなんて……」
その瞳には涙が浮かんでいる。母もまた被害者に近い立場だろう。貴族夫人として夫の行動を制止する手段はなく、それでいて同罪として扱われる危険もある。
「お母様、私が言える立場ではないかもしれないけれど、もし本当に関わっていないなら、こちらの屋敷で保護します。アレクシス様も了承済みです。どうか……無理なさらないで」
リゼットがそう告げると、マリアは目を丸くし、「アレクシス様が……? 本当にそんなことを……?」と戸惑いを露わにする。
「ええ。アレクシス様は私の意見を尊重してくださいます。お母様まで父と一緒に罪を問われる必要はない、と言ってくれているの」
「リゼット……。あなたは昔から優しかったけれど、さらに強くなったのね。あの冷静沈着なシュヴァルツ侯爵が、あなたの意思を認めてくれているのね……」
母マリアは涙混じりに微笑む。政略結婚とはいえ、リゼットが幸せそうに見えるのは大きな救いだろう。
「ただ……ガイウスは私に『お前は絶対にこちらへ残れ』と言ってきたわ。私が夫人として留まっていないと、一縷の望みすら失う、と。……でも、あの人が何をどうあがいても、もうどうにもならないのは分かっているのに」
深い嘆息とともにマリアの声が震える。夫への愛情は残っているのか、それとも恐怖なのか――きっと、本人にも整理がつかないのだろう。
「お母様……もし辛いのなら、すべてを棄ててもいいんです。アレクシス様が助力してくださるなら、新しい生活を始めることも不可能じゃありません」
「そんなこと、私に許されるのかしら……? 私はエヴァンティア公爵家の妻であり、長い間それを支えてきたわ。何もかも……失うことになるわよ」
「それでも、命や自由を損ねるよりはマシでしょう? あの人に最後まで付き従うかどうか、お母様がご自分で決めるしかありません」
切実なリゼットの訴えを聞き、マリアは涙をこぼしながら黙り込む。数秒、数十秒と無音の時間が流れたのち――小さく震えた声で答えた。
「……わかったわ。正直、ガイウスがこんなにも自分勝手な人だったなんて、今さら愚痴を言いたくなるくらい驚いているの。娘の幸せすら踏みにじるなんて……私には信じられない」
そしてマリアは、リゼットの手をきゅっと握り返す。
「……この先、何があっても、あなたは自分の幸せを見失わないで。私は……もう疲れたわ。ガイウスの側で過ごす気力はない。私もシュヴァルツ邸に匿ってもらえるのなら、そうさせてほしい」
リゼットはうなずき、母の手を握り返す。こうしてマリアは、事実上ガイウスから離れて、シュヴァルツ邸に身を寄せることになった。
審問が終わった翌朝、リゼットのもとに一通の手紙が届いた。差出人は母マリア。
内容は「父の身に大変なことが起きてしまった。私はこれから先どうすればいいのか。せめて一度だけ、あなたに会って話がしたい」というものだった。
リゼットは迷わずアレクシスに相談したところ、「邸にお呼びして構わない」と言ってくれた。実家の屋敷は公爵家の権限停止により混乱しており、さらにガイウスを糾弾するための調査員が出入りしている。落ち着いた場所で話すには、シュヴァルツ邸に招くほうが安全だった。
そして翌日、母マリアは侍女を一人連れて、シュヴァルツ邸を訪れる。玄関でリゼットが出迎えると、彼女は今にも消え入りそうな面持ちで「ごめんなさいね……」と繰り返した。
応接室に案内し、落ち着いて座ってもらうと、マリアは深いため息とともに話し始めた。
「本当に……こんなことになってしまって。ガイウスは……あの人は昔から功名心が強かったけれど、まさかここまで悪辣な手段に手を染めていたなんて……」
その瞳には涙が浮かんでいる。母もまた被害者に近い立場だろう。貴族夫人として夫の行動を制止する手段はなく、それでいて同罪として扱われる危険もある。
「お母様、私が言える立場ではないかもしれないけれど、もし本当に関わっていないなら、こちらの屋敷で保護します。アレクシス様も了承済みです。どうか……無理なさらないで」
リゼットがそう告げると、マリアは目を丸くし、「アレクシス様が……? 本当にそんなことを……?」と戸惑いを露わにする。
「ええ。アレクシス様は私の意見を尊重してくださいます。お母様まで父と一緒に罪を問われる必要はない、と言ってくれているの」
「リゼット……。あなたは昔から優しかったけれど、さらに強くなったのね。あの冷静沈着なシュヴァルツ侯爵が、あなたの意思を認めてくれているのね……」
母マリアは涙混じりに微笑む。政略結婚とはいえ、リゼットが幸せそうに見えるのは大きな救いだろう。
「ただ……ガイウスは私に『お前は絶対にこちらへ残れ』と言ってきたわ。私が夫人として留まっていないと、一縷の望みすら失う、と。……でも、あの人が何をどうあがいても、もうどうにもならないのは分かっているのに」
深い嘆息とともにマリアの声が震える。夫への愛情は残っているのか、それとも恐怖なのか――きっと、本人にも整理がつかないのだろう。
「お母様……もし辛いのなら、すべてを棄ててもいいんです。アレクシス様が助力してくださるなら、新しい生活を始めることも不可能じゃありません」
「そんなこと、私に許されるのかしら……? 私はエヴァンティア公爵家の妻であり、長い間それを支えてきたわ。何もかも……失うことになるわよ」
「それでも、命や自由を損ねるよりはマシでしょう? あの人に最後まで付き従うかどうか、お母様がご自分で決めるしかありません」
切実なリゼットの訴えを聞き、マリアは涙をこぼしながら黙り込む。数秒、数十秒と無音の時間が流れたのち――小さく震えた声で答えた。
「……わかったわ。正直、ガイウスがこんなにも自分勝手な人だったなんて、今さら愚痴を言いたくなるくらい驚いているの。娘の幸せすら踏みにじるなんて……私には信じられない」
そしてマリアは、リゼットの手をきゅっと握り返す。
「……この先、何があっても、あなたは自分の幸せを見失わないで。私は……もう疲れたわ。ガイウスの側で過ごす気力はない。私もシュヴァルツ邸に匿ってもらえるのなら、そうさせてほしい」
リゼットはうなずき、母の手を握り返す。こうしてマリアは、事実上ガイウスから離れて、シュヴァルツ邸に身を寄せることになった。
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