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第3章――動き出す日常と、変わりゆく想い
13話
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お茶会の準備は、思いのほか慌ただしかった。体力をつけるためのリハビリをしつつ、マナーや流行の再学習をし、招待状やメニューの確認などを行う。
母やサラはもちろん、ほかのメイドや執事たちも総出で動いている。特に私が苦労したのは、「10年間で微妙に変わった貴族社会の作法や流行」を把握することだった。
「アーシア様、ティーカップを持つ際の指の角度が……はい、もう少しそっと。昔はこうでしたが、今は持ち手のデザインが変わっておりまして……」
なんて具合に、細かな違いにいちいち戸惑うこともしばしばだ。
サラや母は「そこまで神経質にならなくても」と言ってくれるが、自分では気になってしまう。十年前に覚えたマナーが、今では少し古めかしいと指摘されると、どうしても自信が揺らぐのだ。
「はぁ……なんだか、全部が浦島太郎みたい……」
テーブルマナーの練習を終えて部屋に戻った私は、思わずベッドに倒れ込む。体力的にはそれほど疲れていないが、心がぐったりしていた。
すると、ノックの音がして、サラが盆を抱えて入ってきた。
「アーシア様、お疲れでしょう? リラックス用のハーブティーをお持ちしましたよ。ほんのり甘い香りなので、落ち着くと思います」
「ありがとう、サラ……助かるわ」
私はベッドから起き上がり、椅子に腰掛ける。サラが丁寧にカップを差し出してくれ、その優しい香りにほっと一息つく。
「もう少し気楽に考えていいんですよ。皆さん、アーシア様の大復活を喜んでくださるはずですし、昔を知る方なら『大きくなったわね』って感動してくれるかもしれません」
「……かなぁ。逆に、『え、10年前の知識しかないの? なんだか世間知らずね』って思われるんじゃないかって、怖いんだよ」
私が弱音を吐くと、サラは「ふふっ」と小さく笑う。
「そんなことで見下すような人は、そもそも“親しい関係者”ではありません。きっと、アーシア様を大切に想っている方々が来てくださるんですよ。大丈夫、私もついていますから」
サラの言葉に、自然と頬が緩む。まっすぐに励まされると、気持ちが少しだけ軽くなった。
「……うん。そうだね。私も、やるしかないし……何より、逃げてたらいつまでもこのままだもんね」
ハーブティーを一口飲んで、体の奥からじんわりと温まる感覚を得る。私には、支えてくれる人がこんなにもいる。それだけで、前に進む理由になった。
母やサラはもちろん、ほかのメイドや執事たちも総出で動いている。特に私が苦労したのは、「10年間で微妙に変わった貴族社会の作法や流行」を把握することだった。
「アーシア様、ティーカップを持つ際の指の角度が……はい、もう少しそっと。昔はこうでしたが、今は持ち手のデザインが変わっておりまして……」
なんて具合に、細かな違いにいちいち戸惑うこともしばしばだ。
サラや母は「そこまで神経質にならなくても」と言ってくれるが、自分では気になってしまう。十年前に覚えたマナーが、今では少し古めかしいと指摘されると、どうしても自信が揺らぐのだ。
「はぁ……なんだか、全部が浦島太郎みたい……」
テーブルマナーの練習を終えて部屋に戻った私は、思わずベッドに倒れ込む。体力的にはそれほど疲れていないが、心がぐったりしていた。
すると、ノックの音がして、サラが盆を抱えて入ってきた。
「アーシア様、お疲れでしょう? リラックス用のハーブティーをお持ちしましたよ。ほんのり甘い香りなので、落ち着くと思います」
「ありがとう、サラ……助かるわ」
私はベッドから起き上がり、椅子に腰掛ける。サラが丁寧にカップを差し出してくれ、その優しい香りにほっと一息つく。
「もう少し気楽に考えていいんですよ。皆さん、アーシア様の大復活を喜んでくださるはずですし、昔を知る方なら『大きくなったわね』って感動してくれるかもしれません」
「……かなぁ。逆に、『え、10年前の知識しかないの? なんだか世間知らずね』って思われるんじゃないかって、怖いんだよ」
私が弱音を吐くと、サラは「ふふっ」と小さく笑う。
「そんなことで見下すような人は、そもそも“親しい関係者”ではありません。きっと、アーシア様を大切に想っている方々が来てくださるんですよ。大丈夫、私もついていますから」
サラの言葉に、自然と頬が緩む。まっすぐに励まされると、気持ちが少しだけ軽くなった。
「……うん。そうだね。私も、やるしかないし……何より、逃げてたらいつまでもこのままだもんね」
ハーブティーを一口飲んで、体の奥からじんわりと温まる感覚を得る。私には、支えてくれる人がこんなにもいる。それだけで、前に進む理由になった。
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