5 / 17
2-1 辺境の日常、しかし訪れる“違和感”
しおりを挟む
第2章 2-1 辺境の日常、しかし訪れる“違和感”
翌朝。
私は大きく伸びをしながら、柔らかいベッドからゆっくりと起き上がった。
(……ふふ。なんて静かで平和な朝ですの)
開け放たれた窓からは湖の風がそよぎ、鳥が歌い、森が揺れている。
王都のような喧騒も、断罪だの婚約破棄だの、人間関係のいざこざも一切ない。
ここは私の、誰にも邪魔されない“隠居の楽園”だ。
……と、それは昨日までの話。
今日は、ほんの少しだけ違った。
「…………」
階段を降りてキッチンに入ると、テーブルには温かいスープと焼きたてのパン、そしてハーブティーが並んでいた。
(朝食……? え……わたくし、作ってませんわよ?)
すると、背後から低い声がした。
「おはよう、エレノア様」
「きゃあっ!?」
振り返ると、エプロン姿のゼノが立っていた。
白いシャツの袖をまくり、髪は少し濡れている。
どうやら早朝に湖で身支度を済ませたらしい。
「ま、ま、ま、ゼノ様!? なんですの、その……その……」
「朝食を作っただけだが?」
「“だけ”じゃありませんわ! なぜ作ったのですの!?」
「護衛として当然のことだ」
「護衛は料理までするものですの!?」
「エレノア様だけの場合は、そうだ」
「偏った根拠ですわ!!」
しかし、テーブルに並ぶ料理は完璧だった。
パンは香ばしく、スープは滋味深く、ハーブティーは優しい香り。
(……悔しいけれど、ものすごく美味しそうだわ)
「座るといい。冷める」
「……いただきますわ」
席につくと、ゼノが向かい側に静かに座った。
まるで朝食を共にするのが当然かのように。
ひと口スープをすすると、身体が温まる。
「……美味しいですわ」
「良かった」
ゼノの声は淡々としているが、どこか嬉しそうだ。
(……この男、絶対に料理上手ですわね)
静かな朝。
それだけで幸せだった。
けれど――。
◆ ◆ ◆
朝食が終わった後、ゼノは裏庭で剣を振り、私は家の掃除と洗濯をしていた。
風が優しく吹き、湖が光を弾く。
(ああ……なんて、平和……)
そう思った矢先だった。
コテージの少し先、森の陰から――じぃぃぃっ……と視線を感じた。
「……ん?」
気のせいかしら?
いや、気のせいではない。
視線が刺さっている。
(まさか……また殿下?)
あの男ならやりかねない。
しかし視線に悪意はなく、もっと別の……“興味深そうに覗く視線”だった。
ゼノが剣を引き、すぐに異変に気付く。
「エレノア様。下がれ」
「ま、また何か?」
「……誰かいる。隠れているつもりだが未熟だ」
ゼノは鋭い眼差しで森を見据えた。
「出てこい」
すると、小柄な影がビクリと震え――木の影から、ひょこ、と顔を出した。
「…………え?」
現れたのは――小さな女の子だった。
まだ十歳にも満たないだろうか。
薄い金髪を三つ編みにし、古びたワンピースを着ている。
その瞳は湖のような青。
彼女は私を見るなり――
「……あなたが、“湖の魔女様”?」
「湖の……魔女……?」
ゼノの剣先がピタリと止まった。
「エレノア様に対して失礼だろう。誰が魔女だ」
「ち、ちがうもん! 村の人がそう言ってたもん!!
『湖のほとりにすごい綺麗な魔女様が引っ越してきた』って!」
「誰が言い出したんですの!?!?」
思わず叫びそうになる。
女の子は胸の前で手をぎゅっと握ると、真剣な表情で続けた。
「おねがい……お母さんを助けて……!」
「!!!」
その一言で、空気が一変した。
◆ ◆ ◆
聞けば、この湖の近くの村で“原因不明の病”が広がっているらしい。
最初は軽い咳と発熱だけだったが、数日で呼吸が苦しくなり、寝込んでしまうという。
医師も薬師も原因を突き止められず、村人たちは「呪い」だとか「魔物の仕業」だとか騒ぎ始めているらしい。
「で、でも!
『魔女様なら何とかできる!』って村のおじいちゃんたちが……」
「だから誰が魔女ですのーーーー!!」
私の叫びが湖に響いた。
けれど女の子の瞳は真剣そのものだった。
「お母さん……ずっと苦しそうなの……。
お願い……助けて……」
そんな顔を見て、断れるはずがない。
(ああもう……! どうして隠居生活のはずが、こんな展開になるんですの!?)
でも――。
「エレノア様」
ゼノが小さく呼ぶ。
「……行くつもりだな?」
「……行かない、と言えると思って?」
「思っていない」
ゼノは小さく笑う。
「俺が護る」
胸がほんの少し温かくなる。
◆ ◆ ◆
準備を整え、私たちは少女リーネに案内されて森の小道を歩いていた。
「湖の魔女様、本当にありがとう!」
「やめて、その呼び名……!」
「え、違うの?」
「違いますわ! 私はただの“隠居したい元令嬢”ですの!!」
「……へんきょ? げんれじょう?」
「説明は後でいい。まずは様子を見るぞ」
ゼノが周囲を警戒しつつ私たちを守るように歩く。
森を抜けると、小さな村が広がっていた。
だが――その空気は重かった。
家々からは咳の音。
外に出ている人々の顔色も悪く、皆どこか不安げだ。
「これが……」
「はい……村の人、みんな怖がってて……」
少女リーネの家に案内されると、扉の向こうから弱々しい咳が聞こえた。
「お母さん!」
リーネが駆け寄る。
痩せ細った女性が息も絶え絶えに横たわっていた。
(これは……ただの風邪じゃありませんわね)
私は女性の額に手を当て、その手を握った。
熱は尋常ではない。
しかし魔法の気配は感じない。
「……ゼノ様」
「わかるか?」
「はい。これは“呪い”でも“魔物の毒”でもありませんわ」
「医師が原因不明と言っていた病か」
「ええ。でも……」
私は女性の呼吸を見つめた。
「この症状、どこかで見た記憶がありますわ」
「記憶?」
「はい。王都の薬草研究院で、昔読んだ古い薬学書に……似た記述が」
胸の奥で嫌な予感がざわついた。
(……もしかして、この村に何か“外から持ち込まれたもの”が?)
その時、ゼノが低く呟いた。
「エレノア様……村の外に“馬車の跡”があった」
「馬車?」
「それも……王都から来た印がある」
「…………」
胸のざわめきが強くなる。
(まさか……殿下の件と関係がありますの?
王都の混乱が、こんな場所にまで……?)
だとしたら、これはただの病では終わらない。
「エレノア様、どうする?」
「決まっていますわ」
私は女性の手をそっと握り直した。
「――助けますわ。この村全体を」
そう宣言すると、リーネの小さな瞳がぱぁっと輝いた。
「魔女様……!」
「だから魔女じゃありませんわ!!」
叫びながらも、私は腹をくくった。
(……隠居生活は守る。
でも困っている人は見捨てませんわ)
その決意を胸に、私は深く息を吸い込んだ。
---
翌朝。
私は大きく伸びをしながら、柔らかいベッドからゆっくりと起き上がった。
(……ふふ。なんて静かで平和な朝ですの)
開け放たれた窓からは湖の風がそよぎ、鳥が歌い、森が揺れている。
王都のような喧騒も、断罪だの婚約破棄だの、人間関係のいざこざも一切ない。
ここは私の、誰にも邪魔されない“隠居の楽園”だ。
……と、それは昨日までの話。
今日は、ほんの少しだけ違った。
「…………」
階段を降りてキッチンに入ると、テーブルには温かいスープと焼きたてのパン、そしてハーブティーが並んでいた。
(朝食……? え……わたくし、作ってませんわよ?)
すると、背後から低い声がした。
「おはよう、エレノア様」
「きゃあっ!?」
振り返ると、エプロン姿のゼノが立っていた。
白いシャツの袖をまくり、髪は少し濡れている。
どうやら早朝に湖で身支度を済ませたらしい。
「ま、ま、ま、ゼノ様!? なんですの、その……その……」
「朝食を作っただけだが?」
「“だけ”じゃありませんわ! なぜ作ったのですの!?」
「護衛として当然のことだ」
「護衛は料理までするものですの!?」
「エレノア様だけの場合は、そうだ」
「偏った根拠ですわ!!」
しかし、テーブルに並ぶ料理は完璧だった。
パンは香ばしく、スープは滋味深く、ハーブティーは優しい香り。
(……悔しいけれど、ものすごく美味しそうだわ)
「座るといい。冷める」
「……いただきますわ」
席につくと、ゼノが向かい側に静かに座った。
まるで朝食を共にするのが当然かのように。
ひと口スープをすすると、身体が温まる。
「……美味しいですわ」
「良かった」
ゼノの声は淡々としているが、どこか嬉しそうだ。
(……この男、絶対に料理上手ですわね)
静かな朝。
それだけで幸せだった。
けれど――。
◆ ◆ ◆
朝食が終わった後、ゼノは裏庭で剣を振り、私は家の掃除と洗濯をしていた。
風が優しく吹き、湖が光を弾く。
(ああ……なんて、平和……)
そう思った矢先だった。
コテージの少し先、森の陰から――じぃぃぃっ……と視線を感じた。
「……ん?」
気のせいかしら?
いや、気のせいではない。
視線が刺さっている。
(まさか……また殿下?)
あの男ならやりかねない。
しかし視線に悪意はなく、もっと別の……“興味深そうに覗く視線”だった。
ゼノが剣を引き、すぐに異変に気付く。
「エレノア様。下がれ」
「ま、また何か?」
「……誰かいる。隠れているつもりだが未熟だ」
ゼノは鋭い眼差しで森を見据えた。
「出てこい」
すると、小柄な影がビクリと震え――木の影から、ひょこ、と顔を出した。
「…………え?」
現れたのは――小さな女の子だった。
まだ十歳にも満たないだろうか。
薄い金髪を三つ編みにし、古びたワンピースを着ている。
その瞳は湖のような青。
彼女は私を見るなり――
「……あなたが、“湖の魔女様”?」
「湖の……魔女……?」
ゼノの剣先がピタリと止まった。
「エレノア様に対して失礼だろう。誰が魔女だ」
「ち、ちがうもん! 村の人がそう言ってたもん!!
『湖のほとりにすごい綺麗な魔女様が引っ越してきた』って!」
「誰が言い出したんですの!?!?」
思わず叫びそうになる。
女の子は胸の前で手をぎゅっと握ると、真剣な表情で続けた。
「おねがい……お母さんを助けて……!」
「!!!」
その一言で、空気が一変した。
◆ ◆ ◆
聞けば、この湖の近くの村で“原因不明の病”が広がっているらしい。
最初は軽い咳と発熱だけだったが、数日で呼吸が苦しくなり、寝込んでしまうという。
医師も薬師も原因を突き止められず、村人たちは「呪い」だとか「魔物の仕業」だとか騒ぎ始めているらしい。
「で、でも!
『魔女様なら何とかできる!』って村のおじいちゃんたちが……」
「だから誰が魔女ですのーーーー!!」
私の叫びが湖に響いた。
けれど女の子の瞳は真剣そのものだった。
「お母さん……ずっと苦しそうなの……。
お願い……助けて……」
そんな顔を見て、断れるはずがない。
(ああもう……! どうして隠居生活のはずが、こんな展開になるんですの!?)
でも――。
「エレノア様」
ゼノが小さく呼ぶ。
「……行くつもりだな?」
「……行かない、と言えると思って?」
「思っていない」
ゼノは小さく笑う。
「俺が護る」
胸がほんの少し温かくなる。
◆ ◆ ◆
準備を整え、私たちは少女リーネに案内されて森の小道を歩いていた。
「湖の魔女様、本当にありがとう!」
「やめて、その呼び名……!」
「え、違うの?」
「違いますわ! 私はただの“隠居したい元令嬢”ですの!!」
「……へんきょ? げんれじょう?」
「説明は後でいい。まずは様子を見るぞ」
ゼノが周囲を警戒しつつ私たちを守るように歩く。
森を抜けると、小さな村が広がっていた。
だが――その空気は重かった。
家々からは咳の音。
外に出ている人々の顔色も悪く、皆どこか不安げだ。
「これが……」
「はい……村の人、みんな怖がってて……」
少女リーネの家に案内されると、扉の向こうから弱々しい咳が聞こえた。
「お母さん!」
リーネが駆け寄る。
痩せ細った女性が息も絶え絶えに横たわっていた。
(これは……ただの風邪じゃありませんわね)
私は女性の額に手を当て、その手を握った。
熱は尋常ではない。
しかし魔法の気配は感じない。
「……ゼノ様」
「わかるか?」
「はい。これは“呪い”でも“魔物の毒”でもありませんわ」
「医師が原因不明と言っていた病か」
「ええ。でも……」
私は女性の呼吸を見つめた。
「この症状、どこかで見た記憶がありますわ」
「記憶?」
「はい。王都の薬草研究院で、昔読んだ古い薬学書に……似た記述が」
胸の奥で嫌な予感がざわついた。
(……もしかして、この村に何か“外から持ち込まれたもの”が?)
その時、ゼノが低く呟いた。
「エレノア様……村の外に“馬車の跡”があった」
「馬車?」
「それも……王都から来た印がある」
「…………」
胸のざわめきが強くなる。
(まさか……殿下の件と関係がありますの?
王都の混乱が、こんな場所にまで……?)
だとしたら、これはただの病では終わらない。
「エレノア様、どうする?」
「決まっていますわ」
私は女性の手をそっと握り直した。
「――助けますわ。この村全体を」
そう宣言すると、リーネの小さな瞳がぱぁっと輝いた。
「魔女様……!」
「だから魔女じゃありませんわ!!」
叫びながらも、私は腹をくくった。
(……隠居生活は守る。
でも困っている人は見捨てませんわ)
その決意を胸に、私は深く息を吸い込んだ。
---
11
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
『白い結婚』が好条件だったから即断即決するしかないよね!
三谷朱花
恋愛
私、エヴァはずっともう親がいないものだと思っていた。亡くなった母方の祖父母に育てられていたからだ。だけど、年頃になった私を迎えに来たのは、ピョルリング伯爵だった。どうやら私はピョルリング伯爵の庶子らしい。そしてどうやら、政治の道具になるために、王都に連れていかれるらしい。そして、連れていかれた先には、年若いタッペル公爵がいた。どうやら、タッペル公爵は結婚したい理由があるらしい。タッペル公爵の出した条件に、私はすぐに飛びついた。だって、とてもいい条件だったから!
本物聖女の力は無力でした ――見世物レベルの聖女のおかげで婚約破棄されました――**
鷹 綾
恋愛
魔法が存在しないと信じられていた世界に、
突如として現れた「本物の聖女」。
空中浮遊、瞬間移動、念動力――
奇跡を披露した平民の少女は、たちまち市民の熱狂を集め、
王太子はその力に目を奪われる。
その結果、
王太子の婚約者だった公爵令嬢アストリアは、
一方的に婚約を破棄されてしまった。
だが、聖女の力は――
・空中浮遊は、地上三十センチ
・瞬間移動は、秒速一メートル
・念動力は、手で持てる重さまで
派手ではあるが、実用性は乏しい。
聖女の力は、見世物レベル。
少なくとも、誰もがそう判断していた。
それでも人々は喝采し、
権威は少女を縛り、
「聖女」という立場だけが一人歩きしていく。
そんな中、婚約破棄された公爵令嬢アストリアは、
ある違和感に気づき始める。
――奇跡よりも、奪われているものがあることに。
派手な復讐はない。
怒鳴り返しもしない。
けれど静かに、確実に、
“正しさ”は明らかになっていく。
見世物にされた奇跡と、
尊厳を取り戻す少女たちの物語。
---
『婚約破棄された令嬢、白い結婚で第二の人生始めます ~王太子ざまぁはご褒美です~』
鷹 綾
恋愛
「完璧すぎて可愛げがないから、婚約破棄する」――
王太子アルヴィスから突然告げられた、理不尽な言葉。
令嬢リオネッタは涙を流す……フリをして、内心ではこう叫んでいた。
(やった……! これで自由だわーーーッ!!)
実家では役立たずと罵られ、社交界では張り付いた笑顔を求められる毎日。
だけど婚約破棄された今、もう誰にも縛られない!
そんな彼女に手を差し伸べたのは、隣国の若き伯爵家――
「干渉なし・自由尊重・離縁もOK」の白い結婚を提案してくれた、令息クリスだった。
温かな屋敷、美味しいご飯、優しい人々。
自由な生活を満喫していたリオネッタだったが、
王都では元婚約者の評判がガタ落ち、ざまぁの嵐が吹き荒れる!?
さらに、“形式だけ”だったはずの婚約が、
次第に甘く優しいものへと変わっていって――?
「私はもう、王家とは関わりません」
凛と立つ令嬢が手に入れたのは、自由と愛と、真の幸福。
婚約破棄が人生の転機!? ざまぁ×溺愛×白い結婚から始まる、爽快ラブファンタジー!
---
「君を愛することはない」と言われたので、私も愛しません。次いきます。 〜婚約破棄はご褒美です!
放浪人
恋愛
【「愛さない」と言ったのはあなたです。私はもっとハイスペックな次(夫)と幸せになりますので、どうぞお構いなく!】
侯爵令嬢リディアは、建国記念舞踏会の最中に、婚約者である王太子レオンハルトから婚約破棄を宣言される。 「君を愛することはない!」という王太子の言葉は、国中に響く『公的拒絶誓約』となってしまった。
しかし、リディアは泣かなかった。 「承知しました。私も愛しません。次いきます」 彼女は即座に撤退し、その場で慰謝料請求と名誉回復の手続きを開始する。その潔さと有能さに目をつけたのは、国の行政を牛耳る『氷の宰相』アシュ・ヴァレンシュタインだった。
「私の政治的盾になれ。条件は『恋愛感情の禁止』と『嘘がつけない契約』だ」
利害の一致した二人は、愛のない契約結婚を結ぶ。 はずだったのだが――『嘘がつけない契約』のせいで、冷徹なはずの宰相の本音が暴走! 「君を失うのは非合理だ(=大好きだ)」「君は私の光だ(=愛してる)」 隠せない溺愛と、最強の夫婦による論理的で容赦のない『ざまぁ』。
一方、リディアを捨てた王太子は「愛さない誓約」の呪いに苦しみ、自滅していく。 これは、悪役令嬢と呼ばれた女が、嘘のない真実の愛を手に入れ、国中を巻き込んで幸せになるまでの物語。
お金がありすぎて困っておりますの(悪役令嬢ver.) ~悪役令嬢は噂も相場も支配しますわ~
ふわふわ
恋愛
「お金がありすぎて、困っておりますの」
ヴァレンティス侯爵家当主・シグネアは、若くして膨大な資産と権限を手にした“悪役令嬢”。 しかし彼女は、金にも噂にも振り回されない。
──ならば、支配すればよろしいのですわ。
社交界を飛び交う根拠のない噂。 無能な貴族の見栄と保身。 相場を理解しない者が引き起こす経済混乱。 そして「善意」や「情」に見せかけた、都合のいい救済要求。
シグネアは怒鳴らない。 泣き落としにも応じない。 復讐も、慈善も、選ばない。
彼女がするのはただ一つ。 事実と数字と構造で、価値を測ること。
噂を操り、相場を読まず、裁かず、助けず、 それでもすべてを終わらせる“悪役令嬢”の統治劇。
「助けなかったのではありませんわ」 「助ける必要がなかっただけです」
一撃で終わる教育的指導。 噂も相場も、そして人の価値さえも―― 悪役令嬢は、今日も静かに支配する。
老伯爵へ嫁ぐことが決まりました。白い結婚ですが。
ルーシャオ
恋愛
グリフィン伯爵家令嬢アルビナは実家の困窮のせいで援助金目当ての結婚に同意させられ、ラポール伯爵へ嫁ぐこととなる。しかし祖父の戦友だったというラポール伯爵とは五十歳も歳が離れ、名目だけの『白い結婚』とはいえ初婚で後妻という微妙な立場に置かれることに。
ぎこちなく暮らす中、アルビナはフィーという女騎士と出会い、友人になったつもりだったが——。
完璧すぎると言われ婚約破棄された令嬢、冷徹公爵と白い結婚したら選ばれ続けました
鷹 綾
恋愛
「君は完璧すぎて、可愛げがない」
その理不尽な理由で、王都の名門令嬢エリーカは婚約を破棄された。
努力も実績も、すべてを否定された――はずだった。
だが彼女は、嘆かなかった。
なぜなら婚約破棄は、自由の始まりだったから。
行き場を失ったエリーカを迎え入れたのは、
“冷徹”と噂される隣国の公爵アンクレイブ。
条件はただ一つ――白い結婚。
感情を交えない、合理的な契約。
それが最善のはずだった。
しかし、エリーカの有能さは次第に国を変え、
彼女自身もまた「役割」ではなく「選択」で生きるようになる。
気づけば、冷徹だった公爵は彼女を誰よりも尊重し、
誰よりも守り、誰よりも――選び続けていた。
一方、彼女を捨てた元婚約者と王都は、
エリーカを失ったことで、静かに崩れていく。
婚約破棄ざまぁ×白い結婚×溺愛。
完璧すぎる令嬢が、“選ばれる側”から“選ぶ側”へ。
これは、復讐ではなく、
選ばれ続ける未来を手に入れた物語。
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる