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3-2 揺らぐ沈黙――アナスタシアの“本当の弱さ”
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第3章 偽りの夫婦、揺れ動く心
3-2 揺らぐ沈黙――アナスタシアの“本当の弱さ”
温室の騒動から一夜が明けた。
アナスタシアはベッドの上で目を開けたものの、胸に重く沈むものがあった。
――いつもなら、朝の光は優しいはずだった。
だが今日は、胸の奥に絡みつくような不安が離れなかった。
(花が……全部、枯れかけてしまって……)
昨日の光景が脳裏を過ぎり、アナスタシアはそっと目を閉じる。
自分でも驚くほど、心が傷ついていた。
温室の花々は、彼女がこの屋敷で“最初に好きになれた場所”だったのだから。
その時、扉をノックする音がした。
「アナスタシア、入っていいか?」
ルキウスの声だった。
アナスタシアは慌てて姿勢を整え、返事をした。
「……どうぞ、旦那様」
扉が開くと、ルキウスが朝の光を背にして立っていた。
その顔を見た瞬間、胸の奥にある重さが少しだけ揺らいだ。
「具合はどうだ」
「大丈夫ですわ。ただ、少し……気持ちの整理がつかなくて」
「そうだろうな。あんなことがあれば、無理もない」
ルキウスはベッド脇の椅子に腰を下ろした。
彼の近さにアナスタシアの心臓が小さく跳ねる。
「アナスタシア。私は、言わなければならないことがある」
「え……?」
「昨夜、温室の土を調べさせた。混入していた毒は“枯死の灰”。植物を急激に枯らすものだ」
アナスタシアの顔から血の気が引いた。
「では……花はもう……」
「助けられるものは助ける。今、庭師と調合師を呼んで対処させている」
いつになく強い声だった。
まるで彼が“自分が責任を負う”と言っているような響きで。
「旦那様……どうしてそこまで……」
「君の大切なものだからだ」
「っ……」
その言葉はまっすぐで、誤魔化しがなかった。
アナスタシアは胸を押さえ、俯く。
(……泣きそうなんて、言えるわけがありませんわ)
白い結婚とは“互いに干渉しない関係”。
そういう約束のはずだった。
なのに。
ルキウスは、誰よりも深く踏み込んでくる。
「アナスタシア、昨日……泣いただろう」
「泣いてませんわ!」
「強がるな」
「強がってなんて……」
「君は、泣き顔を隠すのがとても下手だ」
「っ……!」
アナスタシアは言葉に詰まった。
ルキウスの声は厳しくなく、むしろ痛いほど優しい。
――その優しさが、胸を苦しめる。
「花が枯れたのは、私が守り切れなかったせいだ。
だから、君がどれほど悲しんだか……考えると、胸が締めつけられる」
「旦那様……そんなこと……」
「君は気づいていないだけだ。誰よりも、心が繊細だ」
アナスタシアは大きく目を見開く。
そんなふうに言われたことは、生涯で一度もなかった。
(……わたくしは、扱いづらい娘だと、ずっと言われてきましたのに)
家族からも、元婚約者からも。
泣かない、強情、自分勝手だと。
でも本当は違う。
泣けば弱いと思われるのが怖くて、ただ必死に隠していただけ。
「わたくし……怖かったのです。
あの温室だけが、この屋敷で安心できる場所でしたのに……
それを失いかけたことが……」
言葉が震え、アナスタシアは唇を噛んだ。
自分が弱音を吐いていることに驚きながら。
しかし、ルキウスは怒らなかった。
むしろ静かに微笑んだ。
「……アナスタシア。ようやく本音を言ってくれたな」
「え……?」
「君が強がるのは分かっていた。
自分を守るためだとな」
彼はゆっくり手を伸ばし、アナスタシアの手の甲に触れた。
その手に――温もりが宿る。
「安心しろ。
温室は必ず元に戻す。
君がもう一度笑えるように、必ず」
アナスタシアの胸に熱いものが広がり、視界がにじんだ。
(……どうしてこの人は、こんなにも優しいの……?
白い結婚のはずなのに……)
涙がこぼれそうになり、アナスタシアは慌てて顔をそむけた。
「泣いてもいい」
「な、泣いてませんわ!」
「アナスタシア。泣き顔も、私は好きだ」
「~~~~っ!」
耳まで真っ赤になり、アナスタシアは言葉にならない声を上げた。
(ど……どうしてそんなことを言えますの……!)
白い結婚のはずなのに。
距離を置くはずなのに。
胸の奥がきゅうっと締めつけられる。
(これではまるで……本当の夫婦みたいではありませんか……!)
---
その時、外から慌ただしい足音が響いた。
執事が駆け込んでくる。
「旦那様! 報告がございます!」
「話せ」
「……倉庫からも“枯死の灰”が見つかりました!」
「!!」
アナスタシアは息を呑んだ。
「倉庫には……わたくしの道具が……」
「アナスタシア」
ルキウスは迷わず彼女の手を握った。
「もう一人で行動するな。
いいな?」
その声は鋭く、けれど強烈に優しかった。
アナスタシアの胸が震える。
(守られたい……
そんなこと、今まで思ったことがありませんでしたのに……)
彼がそばにいるだけで、安心できる。
その幸福に甘えてしまいたくなる――危うさと甘さが入り混じった感情。
「旦那様……わたくし……」
言いかけた時、ルキウスが静かに言った。
「アナスタシア。君は一人で抱え込まなくていい」
「……!」
「この家にいる限り、君は必ず守られる。
私はそのために、君を迎えたのだから」
アナスタシアの唇が震えた。
(契約のため……ではなく?
わたくしを……守るため……?)
自分の胸に宿ったこの感情の名前を、アナスタシアはまだ知らない。
ただ――
心が痛いほど、彼を求めていることだけは分かっていた。
(……白い結婚のままでは、きっと……もういられませんわ)
---
3-2 揺らぐ沈黙――アナスタシアの“本当の弱さ”
温室の騒動から一夜が明けた。
アナスタシアはベッドの上で目を開けたものの、胸に重く沈むものがあった。
――いつもなら、朝の光は優しいはずだった。
だが今日は、胸の奥に絡みつくような不安が離れなかった。
(花が……全部、枯れかけてしまって……)
昨日の光景が脳裏を過ぎり、アナスタシアはそっと目を閉じる。
自分でも驚くほど、心が傷ついていた。
温室の花々は、彼女がこの屋敷で“最初に好きになれた場所”だったのだから。
その時、扉をノックする音がした。
「アナスタシア、入っていいか?」
ルキウスの声だった。
アナスタシアは慌てて姿勢を整え、返事をした。
「……どうぞ、旦那様」
扉が開くと、ルキウスが朝の光を背にして立っていた。
その顔を見た瞬間、胸の奥にある重さが少しだけ揺らいだ。
「具合はどうだ」
「大丈夫ですわ。ただ、少し……気持ちの整理がつかなくて」
「そうだろうな。あんなことがあれば、無理もない」
ルキウスはベッド脇の椅子に腰を下ろした。
彼の近さにアナスタシアの心臓が小さく跳ねる。
「アナスタシア。私は、言わなければならないことがある」
「え……?」
「昨夜、温室の土を調べさせた。混入していた毒は“枯死の灰”。植物を急激に枯らすものだ」
アナスタシアの顔から血の気が引いた。
「では……花はもう……」
「助けられるものは助ける。今、庭師と調合師を呼んで対処させている」
いつになく強い声だった。
まるで彼が“自分が責任を負う”と言っているような響きで。
「旦那様……どうしてそこまで……」
「君の大切なものだからだ」
「っ……」
その言葉はまっすぐで、誤魔化しがなかった。
アナスタシアは胸を押さえ、俯く。
(……泣きそうなんて、言えるわけがありませんわ)
白い結婚とは“互いに干渉しない関係”。
そういう約束のはずだった。
なのに。
ルキウスは、誰よりも深く踏み込んでくる。
「アナスタシア、昨日……泣いただろう」
「泣いてませんわ!」
「強がるな」
「強がってなんて……」
「君は、泣き顔を隠すのがとても下手だ」
「っ……!」
アナスタシアは言葉に詰まった。
ルキウスの声は厳しくなく、むしろ痛いほど優しい。
――その優しさが、胸を苦しめる。
「花が枯れたのは、私が守り切れなかったせいだ。
だから、君がどれほど悲しんだか……考えると、胸が締めつけられる」
「旦那様……そんなこと……」
「君は気づいていないだけだ。誰よりも、心が繊細だ」
アナスタシアは大きく目を見開く。
そんなふうに言われたことは、生涯で一度もなかった。
(……わたくしは、扱いづらい娘だと、ずっと言われてきましたのに)
家族からも、元婚約者からも。
泣かない、強情、自分勝手だと。
でも本当は違う。
泣けば弱いと思われるのが怖くて、ただ必死に隠していただけ。
「わたくし……怖かったのです。
あの温室だけが、この屋敷で安心できる場所でしたのに……
それを失いかけたことが……」
言葉が震え、アナスタシアは唇を噛んだ。
自分が弱音を吐いていることに驚きながら。
しかし、ルキウスは怒らなかった。
むしろ静かに微笑んだ。
「……アナスタシア。ようやく本音を言ってくれたな」
「え……?」
「君が強がるのは分かっていた。
自分を守るためだとな」
彼はゆっくり手を伸ばし、アナスタシアの手の甲に触れた。
その手に――温もりが宿る。
「安心しろ。
温室は必ず元に戻す。
君がもう一度笑えるように、必ず」
アナスタシアの胸に熱いものが広がり、視界がにじんだ。
(……どうしてこの人は、こんなにも優しいの……?
白い結婚のはずなのに……)
涙がこぼれそうになり、アナスタシアは慌てて顔をそむけた。
「泣いてもいい」
「な、泣いてませんわ!」
「アナスタシア。泣き顔も、私は好きだ」
「~~~~っ!」
耳まで真っ赤になり、アナスタシアは言葉にならない声を上げた。
(ど……どうしてそんなことを言えますの……!)
白い結婚のはずなのに。
距離を置くはずなのに。
胸の奥がきゅうっと締めつけられる。
(これではまるで……本当の夫婦みたいではありませんか……!)
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その時、外から慌ただしい足音が響いた。
執事が駆け込んでくる。
「旦那様! 報告がございます!」
「話せ」
「……倉庫からも“枯死の灰”が見つかりました!」
「!!」
アナスタシアは息を呑んだ。
「倉庫には……わたくしの道具が……」
「アナスタシア」
ルキウスは迷わず彼女の手を握った。
「もう一人で行動するな。
いいな?」
その声は鋭く、けれど強烈に優しかった。
アナスタシアの胸が震える。
(守られたい……
そんなこと、今まで思ったことがありませんでしたのに……)
彼がそばにいるだけで、安心できる。
その幸福に甘えてしまいたくなる――危うさと甘さが入り混じった感情。
「旦那様……わたくし……」
言いかけた時、ルキウスが静かに言った。
「アナスタシア。君は一人で抱え込まなくていい」
「……!」
「この家にいる限り、君は必ず守られる。
私はそのために、君を迎えたのだから」
アナスタシアの唇が震えた。
(契約のため……ではなく?
わたくしを……守るため……?)
自分の胸に宿ったこの感情の名前を、アナスタシアはまだ知らない。
ただ――
心が痛いほど、彼を求めていることだけは分かっていた。
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