婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ

鍛高譚

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第3章:婚約破棄の真相──王太子と聖女の醜聞

6. 父王の裁き──暴かれた偽の聖女

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6. 父王の裁き──暴かれた偽の聖女

 エドワードが謁見の間へ連れて来られたのは、それから小一時間ほど経ってからだった。彼はセシリアを伴っており、まるで国王に歯向かうかのように威圧的な態度すら感じさせる。
 しかし、国王の顔を見るや否や、その余裕も一瞬で吹き飛ぶ。玉座の前には、ロザリーや重臣たちがずらりと並び、明らかにただならぬ雰囲気を放っていたからだ。

「父上……これは、一体どういうことです?」

 エドワードは戸惑いを隠せず、セシリアもまた怯えた顔でロザリーたちを睨む。すると、国王は低く咳払いしてから、先ほどの証拠書類を取り上げた。

「エドワード。お前は王太子であるにもかかわらず、セシリア・ブランシュと結託し、王室の財政を私物化していたという疑いがある。さらに、彼女は偽の神託を用いてお前を操っていたそうだが、何か釈明はあるか?」

「なっ……!?」

 エドワードは顔を真っ赤にして、怒りと困惑が入り混じった表情を見せる。

「父上、それは誤解です! セシリアは正真正銘の聖女であり、私は彼女の力によって真実の愛に目覚めたのです! ロザリーやその取り巻きが、私たちを陥れるために偽の情報を流しているに違いありません!」

「それでは、お前はこの資金の流れをどう説明する? “聖女のための寄付”という名目で集めた金が、一部貴族の懐に消えているという事実がここにある。」

 国王が示す書類は、どれも決定的な証拠がそろっていた。エドワードは必死に否定しようとするが、一方のセシリアは涙を浮かべながら小声で呟くだけだ。

「私は、神の御心を伝えただけ……そんな汚職なんて知らない……。」

「セシリア、お前……。」

 エドワードはセシリアを見るが、彼女はそっと視線を逸らす。そこには“聖女の清らかさ”など微塵も感じられず、ただ追いつめられた人間特有の醜さが浮かび上がっている。
 王弟フィリップがここで言葉を挟んだ。

「王太子殿下。もし本当にセシリア殿が聖女であるならば、こうした金の動きに不明瞭な点など生じるはずがないでしょう。しかも、あなたが彼女を妄信するあまり、正規の報告を行わずに勝手な決裁を重ねた事実もある。国王陛下としては、これを重大な背信行為とみなさざるを得ない。」

「叔父上……あなたまで……!」

 エドワードは唇を震わせる。だが、この場にはロザリーをはじめ、重臣たちや国王の近い側近が集っており、彼を擁護する者はほとんどいなかった。ひときわ力のある貴族も、多くはセシリアに懐疑的であり、特にアーデン家が握っている証拠には太刀打ちできないことを悟っている。
 こうして、エドワードが必死に取り繕おうとしても、その嘘はもはや通じない。
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